みんなの応援で絶対勝つぞCクラス!
クラスマッチの最終戦を前に【みどり】は暫しの休息を取っていた。
そして、【みどり】が次の試合を観戦していると、何と【みどり】達のクラスの男子が負けてしまった。
悔しがる【西園寺】を見て【みどり】に芽生えた思いとは……。
次のクラスマッチの試合が行われる前、私は取り合えず給食をいただく事にした。
本日はクリームシチューに、コッペパンの組み合わせなので、ほっとしている。
いや、寧ろ喜んでいる。
その素晴らしい組み合わせの給食をいただく為、私は美雪の後ろに並んでいた。
「ねえ、みどりちゃん。今日の給食、美味しそうだね!」
「そうだね、美雪ちゃん!」
そして、私の後ろには文が並んでいた。
「文ちゃんもシチュー、好き?」
「うん、好きだよ。しかも、今日はパンだから良かった!」
「やっぱりこの組み合わせにはパンだよねぇ?」
私が苦笑いで、ご飯と牛乳の組み合わせが嫌という気持ちを表すと、
文は笑って「そうだよね」て伝えてきた。
そうこうしている内に、シチューが装われた茶碗を受け取る順番が回って来た。
だが、ここで美雪が物言いをした。
「ちょぉーっと、平井⁉
私のより、みどりちゃんの方が多くない?」
「気のせいだ」
平井は気のせいだと言ったが、そうではない。
明らかに私の方が多い気がする。
私が苦笑いをしていると、平井が話し掛けてきた。
「小松さん、次の試合もがんばれよ!
応援してっからな!」
「ふふ。平井君、ありがとう。がんばるね!」
「こらぁっ! 平井! 私だって試合出てるんだぞ‼」
「はいはい。宮本さんも応援してる」
平井に適当にあしらわれた美雪は不服そうに前に進んだ。
そして、私は平井のお玉半分の応援に感謝して前に進んだ。
それから給食を完食しリラックスして、次の試合に備えていた。
すると、ハイカラさんが声を掛けてきた。
「みどりさん。次の戦いに備えて、しっかりと休んでくださいね!」
「戦いって、ハイカラさん……」
苦笑いしている私が話している、黒髪で、日本人形のような顔をした、
年齢不詳の女性の幽霊は、ハイカラさん。
私の守護霊である。
ハイカラさんは時々、このような変な事を言うけど、
人では私以外に見えないし、声も聞こえないので大丈夫なのだ。
「でも、次に当るBクラスは強敵みたいだね」
「ですね。
私も見物させていただいておりましたが、
三人程恐ろしく球を投げる速度が速い方がいらっしゃいますね!
しかも、その方々は性格に相手の肩や、足元と言った所に当てていましたよ?」
「うぅ……。今度こそ、当てられちゃいそうだなぁ……。
当たったら、きっと痛いだろうなぁ……」
「何を弱気な事をおっしゃってるのです⁉
まだ試合は始まっていないのですよ?
そのような悪い未来だけを考えていると本当にそうなってしまいます!」
ハイカラさんは妙にはりきっている。
けれど、私がネガティブになるのも仕方がないのだ。
実はBクラスの担任は花田である。
なので、このようなスポーツには熱が入っている。
どうやら総合優勝を狙っているとか。
しかも伊藤の仕入れた情報によると、あの体育祭のリベンジを果たすべく、
私達のクラスを目の敵にしているらしい。
ちなみに、元陸上部の生徒はかなりいる。
そして、先程まで行われていた試合で、Bクラスの男子は一敗している。
なので是が非でも男女が私達のクラスから勝をもぎ取り、総合優勝の座を狙って来るのである。
そんなやる気が見える息が合った掛け声が隣のBクラスの教室から聞こえて来た。
なにやら、
「妥当Cクラス!」
「絶対勝つぞ、Bクラス!」なんて声が聞こえる。
相当Bクラスは熱が入っているのが分かった。
それが分かると、私はまた苦笑いをしてしまった。
本日は何度目だろうか。
そんな事を考えながら私は体育館に向かって行った。
そして始まった最終戦。
金箔した試合が続いていたが、何と私達のクラスの男子は負けてしまったのだ。
「えぇんっ! 負けちゃったぁ……。うぅ‼ 何課とっても悔しい‼」
「そうだね、「美雪ちゃん!」
そんなにやる気があった訳ではないのに、私は悔しくなってきた。
それは、西園寺達の悔しがりようを見たからだろう。
先程の試合、私達のクラスの男子は西園寺一人を残し、相手のクラスも一人残す形だった。
だが、不意を突かれた西園寺が当てられ、負けてしまったのである。
だから、西園寺が特に悔しがっていた。
それを伊藤と、大隈が宥めていたが、西園寺の悔しさが晴れる事はなかった。
その西園寺の様子を見ていたら、私は負けるという事が嫌になった。
私は、今までこんな気持ちになった事はない。
だから、とても不思議だったけど、
この気持ちのおかげで次の私達の試合で勝ちたいと思う気持ちが強くなった。
その為には、私は絶対にボールに当たる訳にはいかない。
集中して、逃げる事だけを考えるんだ。
そう気合いを入れ、コート内に入った。
そして、試合は始まった。
ジャンピングボールの結果、選考は私達のクラスとなった。
これは少し優勢ではないのか?
そう思ったのも束の間、ボールはあっけなく相手のクラスのものとなり、攻撃されてしまった。
しかも、一人、コートの外に送り出されてしまったのだ。
「うむむ……。もう、一人やられちゃった⁉」
美雪は難しい顔をして、そう言った。
その顔からは先程迄の試合での余裕は全くなくなっていた。
その美雪の顔を見ると私は不安になったけど、自分に今やれる事に集中した。
かと言っても、劣勢なのは変わらなかった。
だけど、八木はそれを打ち壊す勢いで、相手のコートにボールを投げ込んだ。
すると、八木が投げたボールは見事ハイカラさんが言っていた三人の内の一人に当り、
コート外に送り出す事に成功したのだ。
「す、凄い、八木さん!」
「へぇ、メェメェの奴、やるじゃん?
まさか、上ださんをアウトに出来るなんてね!」
上田とは、ハイカラさんが言っていた三人の内の一人である。
ちなみに、残り二人は斎藤、三原という名前だ。
「みどりちゃん、メェメェになんか負けてられないね!」
「そうだね、美雪ちゃん!」
その八木の凄さに私達は気合いが入った。
そして、私達を応援する声にも……。
「宮本さん! 小松さん! がんばってぇ‼」
文も一段と大きな声を出してくれている。
それに、木田の声も、平井の声も聞こえる。
あと伊藤と大隈の声もだ。
彼等に至っては、私に自分たちの仇を取って、なんて言ってる。
その無茶ぶりとも取れるふざけた感が、不思議と緊張感を取ってくれ、私の体は軽くなった。
だから、私はハイカラさんの力を借りなくても、ボールを見失う事がなかった。
そうやって試合は五分五分のペースで進んでいた。
だけど、ここで思わぬトラブルが発生した。
「あちゃちゃ! 獲れなかったか……」
「み、美雪ちゃん、大丈夫?」
「平気、平気! あん、でも悔しい‼」
そのトラブルとは美雪がボールに当ってしまったという事だ。
これで私達のクラスは、私を含め二人だけとなった。
勿論、残っているのは八木である。
そして、相手は上田と斎藤である。
どうしよう……。
もう、隣には美雪はいない。
相手にはあの二人。
外野みも強敵がいっぱいいる。
もし狙われたら、どこに逃げればいいの?
私は美雪がいなくなると考えると色々な不安に襲われていった。
もしかしたら負けるかもしれない。
その気持ちが大きくなった。
でも、そんな私に美雪が声を掛けてきた。
「みどりちゃん、大丈夫?」
「あっ、うん! 何とかね……」
「ごめんね。でも、私、ちゃんと外野からサポートするから!
だから、試合が再会されたら、まず私にボールを回してね!」
美雪はあきらめていなかった。
その美雪を見ると、また負けたくないという気持ちが大きくなってきた。
だから、
「美雪ちゃん……。分かった!」
と、言って、私が頷くと、美雪も頷き、外野まで走っていった。
そして、私は今回のクラスマッチで初めて触るボールを持ち、前を向いた。
俺の名前は、平井 雄平。
今日は給食当番だ。
俺はみんなの皿に平等にシチューを入れている……つもりだ。
決して自分のを多くしたりはしていない。
ふっ……。
まあ、小松さん、次の試合もがんばれや。
期待してっからな!
大隈、宮本、うるさい‼




