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いよいよ始まったクラスマッチで、まずは私達のクラスの応援だ!

 いよいよクラスマッチの日となった。

 まずは【みどり】達は男子の試合の応援をする。

 その試合では【西園寺】、【伊藤】、【大隈】といったお馴染みのメンバーが見事な連係プレーを見せる。

 果たしてその試合の結果は如何に?

 

 心の準備だけして迎えた中学三年生のクラスマッチの日となった。

 その舞台は体育館である。

 そこにやたらとはりきっている生徒がいた。

 それは、伊藤、大隈、西園寺といったお馴染みのメンバーだ。

 何故彼等がはりきっているのかと言うと、彼等は運動部を引退し体力が有り余っているからである。

 そして、こういう授業がなく思いのまま体を動かすとなると、そうなってしまうようだ。

「しっかし、西園寺達アホ三人組は何てテンションなの?

 他のクラス全部倒すなんて言ってるし……」

「まあ、そうなれば結果的に優勝するんだしねぇ」

「そりゃそうだ! 私達もがんばろうね、みどりちゃん!」

「う、うん!」

 そういう美雪も、かなりはりきっている。

 私はと言うと、そうでもないけど美雪の為にがんばろうと思う。

 私が強制参加させられているクラスマッチのドッジボールは男女別々で二試合同時に行われる。

 そして人試合三〇分の試合時間で先に相手のクラスのコート中にいる生徒全員にボールを当てるか、

試合終了時に相手のクラスよりコート中の生徒の数が多ければ勝つといったシンプルなルールだ。

 本日行われる試合を詳しく言うと、まずAクラスとBクラスの男子、

そして、Cクラスの男子とDクラスの男子の試合が同時に行われる。

 その間、試合に出ていない生徒は各クラスを応援するという訳だ。

 その試合が終わって、次はその組み合わせで女子の試合が行われる。

 これを総当たり戦で行い、勝率が一番高かったクラスが優勝となるのである。

 なので私達は一試合目、私達のクラスの男子を応援するという事になるのだ。

 その為、私は美雪と文と、ハイカラさんとで見学する場所まで歩いていた。

「ねえ、ハイカラさん。どの辺がいいかな?」

「そうですね。やはり、あの中心線の近くがよろしいかと!」

「あそこかぁ……。迫力がありそうだねぇ」

 今、私は、ハイカラさんと心の中で話している。

 何故なら、ハイカラさんは幽霊だからだ。

 私の左隣に居る、黒髪で、日本人形のような顔をした、年齢不詳の幽霊は、

私の守護霊のハイカラさん。

 ハイカラさんは人では私以外に姿は見えず、声も聞こえない。

 そのハイカラさんと私は普通に話す事も出来るが、

今、それをすると他の人から変な目で見られるので、心の中で話しているのである。

 そんなハイカラさんと相談していた見物場所は美雪も良いと言った場所で、

私達の見学場所はそこに決まった。

 そして、いざ試合が始まった。

 まずは、センターラインに両クラスの二人の男子生徒が向き合った。

 そして、ジャンプキャッチにより先攻、後攻が決まるのだが、

ここは元バレーボール部員、伊藤の活躍どころだった。

 伊藤は身長が高いだけでなく、ジャンプ力が飛び抜けており、

余裕でボールを自分のコート内に入れる事が出来た。

 だが、凄いのはそこからだった。

 伊藤が入れたボールを素早く西園寺がキャッチし、そして、即相手クラスの男子に当てたのだ。

 しかも、そのボールは跳ね返りまた私達のクラスの方に入り、

それを今度は大隈がキャッチしまた相手のクラスの男子に当ててしまった。

「さぁすが、伊藤! よくやったぞぉ!」

「うわぁ、西園寺君、凄い!」

「本当だね、文ちゃん!」

「あの料理大臣も負けておられませんね!」

 この連携プレーはまだ序の口で、息の合った三人のプレーはここからだった。

 体つきが良い西園寺は誰からのボールも受け止める事が出来、

伊藤はその身長を生かし外野から回って来た高いボールをいち早くキャッチしていた。

 大隈はどちらかと言うと司令塔的な役目を担い、的確に西園寺達に指示を出しているようだった。

 私達はその三人の素晴らしい連携プレーに興奮し、エールを送った。

 それは私達だけでなく、私達のクラスを応援している生徒、皆がそうだった。

 相手のクラスの生徒も応援していたけど、西園寺達の連携プレーの素晴らしさと、

それに比例し大きくなっていく私達のクラスの前ではその応援はそよ風ぐらいにしか聞こえなかった。

 そして、試合の主導権を奪った西園寺達は次々と相手クラスの男子にボールを当てていき、

試合開始一五分後には見事勝利を収めていた。

 ほぼその三人が試合を決めてしまったのだけど……。

 取り合えず、凄かったとしか言えない試合だった。

 興奮冷めやらぬ中、西園寺達は息一つ乱さず笑い合っていた。

 そして、クラスメイトの声援に手を振って答えていた。

「ちぇっ、西園寺のアホ達、格好付けちゃってさ!」

「まあ、でも格好良かったよ、美雪ちゃん?」

「本当にそうだったね、小松さん!」

「惚れ惚れする活躍! お見事でした!」

「ハイカラさんったら!」

 私達が笑いながら先程の西園寺達三人の活躍を褒めたたえていると、その三人が近づいて来た。

「よい、宮本さん。俺の活躍、観てくれてた?」

「はいはい。凄かったですよーぉ、大隈!」

「ねえ、佐藤さんはどうだった?」

「伊藤君達が凄すぎて、それしか言えないよ」

「おい、大隈、伊藤! 下らねえ事言ってないで、さっさと行くぞ!」

 美雪達に褒められ上機嫌の大隈、伊藤に対し、西園寺は不機嫌だった。

「何言ってんだよ、西園寺? お前が小松さんにアドバイスしろって言ったんじゃないか!」

「はぁっ⁉ そんな事言ってねえだろうが大隈‼」

「えぇっ? だって、お前さ、小松さんが出る事が心配だって……」

「大隈‼ それは、小松みてえなトロイ奴が出たら負けるから心配してただけだろうが‼」

「えぇー? そうなんか?」

 何やら、大隈と西園寺は楽しそうだった。

 二人をそんな風に私が見ていると、伊藤が話し掛けてきた。

「ところでさ、小松さん。ドッジボールとか出て、大丈夫なの?」

「それが、あんまりねぇ……」

「だろうな! そもそも花田の奴、どうして小松さんを選んだんだよ?」

「それが、偶々最後まで残っちゃったからなの」

「ふーん……」

 苦笑いしている私を見て、伊藤は少し考えた。

「伊藤君?」

「まあ、付け焼刃程度だけど、一応アドバイスしとくわ」

 それから伊藤のアドバイスが始まった。

 まず、私ではボールはキャッチ出来ないとアドバイスされた。

 これはアドバイスなのかと思いながら聴いていると、

ボールを無理にキャッチするのではなく、避ける事を考えろと言われた。

 私に出来るボールを避けるコツは、相手がボールを持っている方に逃げるという事らしい。

 そして、出来るだけ美雪の隣にいる事もアドバイスされた。

 これ等にどんな意味があるのか分からないまま、伊藤はもう一つアドバイスしてきた。

 これは駄目もとで、もしボールを持ったら外野に投げる事!だ、そうだ。

 それ等のアドバイスをもらうと私達の試合を告げるアナウンスがあり、

私は美雪とコート内に向かう事にした。

 その途中、伊藤から受けたアドバイスについて美雪に話した。

「うーん、アドバイスの意味は分かんないけど。

 みどりちゃんが逃げててくれれば、相手のクラスも連携が乱れるんじゃないかな?」

「なるほど!」

「それに、私の隣にいたら、私が守ってあげるよん!」

「もう、美雪ちゃんったら!」

 そんな頼りになる美雪の横で緊張している私の耳に、試合開始のホイッスルが鳴ったのが聞えた。



 俺は、西園寺 清孝。

 うっし! 楽勝だったな!

 伊藤、大隈! この調子でいくぞ!

 おい、小松!

 どこ見てんだよ‼

 ったく、トロイんだから気を付けろよな‼

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