十二月のクラスマッチで燃え上がる瞳の親友を私は目の当たりにした
もう十二月を迎え【みどり】達の中学ではクラスマッチが行われようとしていた。
本日はそのクラスマッチのメンバー選びの日である。
クラスマッチの競技はドッヂボールだ。
そして、やる気のない【みどり】は、すごすごとコートに向かうのだが……。
あの十一月の記憶に残る四者面談が終わり本格的な冬である十二月に突入した。
いよいよ、高校受験まで日がない事は恐ろしい。
そんな今年度は本当に月日が経つのが早く感じた。
でも、こんな大事な時期だというのに中学校のイベントはやはりあるもので、
まさかのクラスマッチがあるのだ。
「みどりちゃん、文ちゃん! さぁ~って、はりきって行こう!」
「文ちゃん! 美雪ちゃんは元気だねぇ……」
「小松さん! 本当に宮本さんは元気だねぇ……」
中学三年生のクラスマッチ。
私達の中学校では、ドッジボールをするのだ。
だけど、個人競技が得意な私は団体競技はあまり得意ではない。
しかも、あのボールが右往左往に飛び交うドッジボールである。
ボールが怖くて、逃げてしまうに決まってる。
出来る事なら補欠でありたいと願う私なのだ。
でも、それは文も同じみたいでクラスマッチの間は私と話したいなんて言っている。
だけど、美雪だけは違った。
美雪は走るのは苦手だけど、球技全般は得意なのである。
なので、クラスマッチの練習だというのに、このハイテンションなのだ。
ちなみに本日のクラスマッチの練習で本番のクラスマッチのメンバーが確定する。
なので、クラスマッチの練習である今回、私達が補欠になる事はない。
今回のクラスマッチの練習で、せめて美雪と文と同じチームなら文句はないと思う私だった。
けど、運河悪いのが私らしく、私は親友二人と別のチームとなった。
さらに、八木と同じチームとなってしまったのである。
そんな運の持ち主である私は、すごすごと美雪達とは違うコートに入った。
すると、私を心配したハイカラさんから声を掛けられた。
「みどりさん、大丈夫ですか?」
「まあ、何とかねぇ……」
私が心の中で話している、黒髪で、日本人形のような顔をした、
年齢不詳の女性の幽霊は、ハイカラさん。
私の守護霊である。
ハイカラさんは幽霊で、私以外の人に見えず、声も聞こえないので、
ドッジボールのコート内にいても誰にも気づかれない。
きっと、ボールもすり抜けるので、大丈夫だ。
「しかし、みどりさん。ドッジボールとは如何なる球技なのですか?」
「人にボールを投げつけて、退場させる球技だよ!」
「まあ、何と恐ろしい⁉」
ドッジボールに対する嫌悪感で棘がある言い方しか出来なかった私はコートのライン際に陣取った。
どうせ、すぐにボールに当たってコートの外に行くのだから構わない。
そもそも、それが目的だ。
だって、早くボールに当たってコートの外に出れば、
まずクラスマッチのメンバーに選ばれる訳がないのだから。
そう思っていた。
けれど、試合が始まっても一向にボールが私の処に来ない。
これは、絶対におかしい……。
そう思った私がハイカラさんを見ると、案の定、ハイカラさんは例の扇子を扇いでいた。
「ハイカラさん⁉ 何をしてるの?」
「いえ。みどりさんにボールが当たっては大変ですので!」
「そうじゃなくってぇ! 今日はすぐに当りたいの‼」
「何故です⁉」
時既に遅かった。
私のチームは私と八木を残し、勝利してしまったのだ。
そうなると、当然、こうなってしまう。
「小松! お前やるじゃないか!
じゃあ、クラスマッチの選手はお前で決まりだな!」
花田はこういう思い込む所がある。
私が違うと言っても、分かってくれない。
なので、私は見事クラスマッチで行われるドッジボールの選手に選ばれてしまったのだ。
当然、そのチームには八木がいて、せめてもの救いが美雪がいる事だった。
「あんっ! メェメェに負けちゃったぁ‼ 悔しい‼」
「でも、最後まで宮本さんと八木さん、凄かったね!」
クラスマッチの練習が終わり、教室に戻るまでの間、美雪と文は話していた。
二人の話は先程行われたドッジボールの話で盛り上がっている。
確かに、文が言うように美雪と八木は凄かった。
美雪達二人でほとんどの女子にボールを命中させ、コートの外に送り出してしまったのだから。
そして、最後は美雪 VS 八木という形になった。
その二人の対決を私はコートの中から見守っていたのだ。
はっきり言って、どちらが勝ってもおかしくなかったと思う。
それは時の運みたいなもので今回は八木に軍配が上がったけど、
次はどうなるのかは分からないと言ったところだ。
でも先程の試合で、もし美雪が勝っていたら私と美雪が対決していた訳で……。
いや、そんな事はどうでもよくて、今、考えなくてはならないのは来週のクラスマッチ本番である。
ちなみに、クラスマッチのドッジボールの参加人数は一チーム一二人だ。
そして、私達のクラスの女子の人数は一六人である。
さらに付け加えると、私のクラスの女子の中で運動部は〇人だ。
なので進んでクラスマッチに参加する者等、美雪以外にはいないので、
私が補欠に回る事はないのである。
こうして私がクラスマッチの参加メンバーになる事は揺るがないものとなってしまった。
「でも、みどりちゃんがクラスマッチの選手に選ばれるなんて思ってもみなかったなぁ」
「私もそう思う。誰か代わってほしい……」
「まあまあ、小松さん! 元気出してよ!」
「文ちゃん……。応援しててね。クラスマッチじゃあ、すぐにコートの外に出るから!」
「もう、小松さんったら……」
私がそう言い、呆れた文がそう言ったその時、
「そんなの駄目だよ!」
と、美雪が声を張り上げた。
その声は、まだまだ演劇部だった時と変わらなかった。
「美雪ちゃん⁉」
「みどりちゃん! みどりちゃんはクラスの代表になったんだよ!
私達は、クラスみんなの期待を背負ってるんだよ?」
「いや、別にそこまではないか、と……」
駄目だ。
今の美雪に何を言っても、聞いてくれそうにはない。
だって、美雪の瞳には漫画のような熱血の炎が燃え上がっているのが見えるのだから。
そして、何故かハイカラさんまでもが燃えている。
「うぅ……。何で、ハイカラさんまでそんなにやる気があるの?」
「私の失態で、みどりさんがそのクラスマッチとやらの戦に参加する事となったのです!
こうなってしまったら、最後まで私は、みどりさんを応援いたします!」
「はは……。それはどうも……」
「それにですね、みどりさん。メェメェの輩に何を言われるのか分かり兼ねますよ?
一生、足を引っ張った打の、やる気がなかっただの。
それでもよろしいのですか?」
「そ、それは嫌だなぁ!」
私は心の中でハイカラさんと話していてそれに気付いた。
先程のクラスマッチの練習の活躍で当然、八木もクラスマッチの選手に選ばれている。
その八木がいる中、ただでさえ足手纏いの私が、唯やる気がなくアウトになったら、どうなる?
八木に嫌味を言われるのは、間違いない。
しかも、一生だ!
まあ、今後私の生活で八木と遭遇するかは分からないのだが……。
その事も嫌だったけど、もっと嫌だったのは、やる気がある美雪の足をそういう形で引っ張る事だ。
そう考えた私は先程迄の考えを改めた。
「美雪ちゃん、ごめんね!」
「みどりちゃん、分かってくれたの? 嬉しい!」
「ううん。みんなの期待とかは分からないけど、私、美雪ちゃんの為にがんばるよ!」
私は、その改めた考えを述べた。
すると、美雪はぽかんとした顔になったけど、すぐに満面の笑みになって私に抱き着いてきた。
そうされると私は何だかやる気が出て来て、
文の応援迄加わると来週のクラスマッチに少しだけやる気が出て来た。
まあ、やる気が出たからと言って、私が出来る事は大してないのだが。
だけど、美雪達のサポートぐらいは出来るはず。
それぐらいは、やってやるんだ!
私は、そう心に決め、来週行われるクラスマッチに備えた。
私は、小松 みどり。
はぁ……。
ああは言ったものの、やっぱりドッヂボールは嫌だなぁ……。
ボールに当たりたくないし、当てたくない!
ううんっ!
どうすればいいの?
へ?
私にアドバイスって……。




