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修学旅行二日目 夜更かししてお喋りをいっぱいしよう!

 【みどり】は【石川】から解放され、本日休む大部屋にいた。

 そこで、【美雪】と、【ハイカラさん】と、もう一人とで今日あった事を沢山話す事にした。

 そのもう一人とは……。

「うぅーーんっと! 疲れたぁん‼

 しかし、義猿の奴ったら、ちょぉーっと遅くなったぐらいで、

あんなにネチネチ言わなくってもいいと思わない?

 ねぇー、みどりちゃん、ふみちゃん?」

 私達が止まる大部屋で、美雪は背のびをしながらそう言った。

 ちなみに、文ちゃんとは、佐藤 文の事である。

 佐藤は昨日、美雪が戻って来てからすぐにあの事を美雪に謝ったのだ。

 当然、美雪は笑って許し、明日、京都見学を一緒に巡る事を了承してくれたのである。

 そこで美雪は、佐藤と仲良くする為に、ニックネームで呼びたがり、

大して考える間もなく、文ちゃんと呼ぶことにしたのだ。

 そして、何故か私までもがそうなってしまった。

 でも、もっと謎だったのは、文がそう呼んでほしいと言った事だった。

 なので、私もそう呼ぶ事となった。

「まあ、あれぐらいで済んだだけでもいいんじゃないかな?

 美雪ちゃん達があんなに謝ってくれたから、石川先生もそうしてくれたんだと思うよ?」

「ねえ、小松さん。宮本さんって、どんな謝り方をしたの?」

「えっとね、アカデミー主演女優賞を取れるぐらい!」

「ちょっと、みどりちゃん⁉ それ、どういう意味?」

 美雪は私の体をくすぐってきた。

 それでなくても思い出し笑いをしていた私ではとても耐えきれず、笑ってしまった。

 それを見ていた文も笑っていた。

 それから私は何とか今日の自由行動から石川に説教を受けるまでの話をした。

 初めて観戦したプロ野球の試合。

 球場グルメや、雰囲気。

 特にどこのファンでもないのに、ハラハラさせられた事。

 そして、最後に訪れた奇跡。

 その試合観戦中で木田が取っていた謎行為等。

 今日の自由行動であった事を可能な限り、文に話した。

 時々、美雪の主観も入り、文はそれを楽しそうに聴いてくれていた。

 それから石川の説教の話をした。

 石川の説教中、西園寺は「すんません」と言っていたけど、

全然、そんな気がないといった顔をしており、木田も、石川と目を一切、合わす事がなかった事。

 そして、大女優美雪

 私が感じた事を話したけど、美雪はそれを否定する事はなかった。

 そんな私の話を聴き終わった後、文が話し出した。

「色々大変だったんだねぇ。宮本さん、お疲れさま」

「そぉー言ってくれるのは、文ちゃんだけよぅ!

 それはそうと、文ちゃんの処の自由行動は、どうだったの? 楽しかった?」

「まあまあ……、かな?」

 そう言った文から笑顔が消えた。

 美雪は知らなかったのである。

 文の班の自由行動が、どのようにして決まったのかを。

「文ちゃん、何かあったの? 班の人に嫌な事を言われたの?」

「何もないよ。唯、私以外の人はスマホばかり見ててさ。

 特に何も話していないの」

「えぇーーっ‼ 何でみんなスマホを持って来てんのよ?

 先生に言って、荷物チェックしてもらおうかな?」

「美雪ちゃん……。それをしたら、西園寺君に一生、恨まれるよ?」

「別に、恨まれたって構わないけど?」

 このままだと美雪は行動を起こしかねないので、何とか私は説得した。

 すると、しぶしぶだけど美雪は納得してくれ、私の説得を見ていた文にはまた笑顔が戻った。

「あーん! こんな事なら、最初から文ちゃんと同じ班にしとけば良かったぁ!

 メェメェの奴、本当、どこまでも迷惑掛けるんだから!

 しっかし、メェメェの奴、噂だと今、芸能事務所のオーディションを受けに行ってるらしいよ?」

 美雪の噂話は、さておき、八木は初めは修学旅行に参加する意向を示していた。

 だが、途中、参加しない意向を示し、何やら大人の事情なるもので、

違う班にいた文が今の班に入れられ今回の修学旅行の班となったのだ。

「ふふっ、宮本さんって、本当に面白いね!」

「ちょっと、文ちゃんまで⁉ どういう意味なの?」

 そして、美雪は私にした事と同じ事を文にもした。

 私より文の方がくすぐられる事に弱いみたいで、文は笑いながら涙を零していた。

 まだまだ話足りなかったけど、消灯時間となってしまい、私達は就寝する事となった。

 畳張りの部屋で敷布団を敷き、みんなで並んで眠る。

 六月の自然の家キャンプ以来だけど、今日は、ふかふかの敷布団だ。

 全然、寝心地の良さが違う。

 それに疲れも加わっている為、みんなすぐに眠ってしまった。

 私もそうだったけど、どうしてもこの人と話したかったから、少しだけ夜更かしする事にした。

「ハイカラさん、起きてる?」

「はい。起きていますとも」

 ハイカラさんとは、私の傍にいる、黒髪で、日本人形のような顔をした、

年齢不詳の女性の幽霊の事である。

 ハイカラさんは私の守護霊で、人では私にしか見えず、声も聞こえない。

 けど、今は夜中なのでみんなを起こさないようにこうやって心の中で話す事にした。

「ねえ、ハイカラさん。少しだけ、話していい?」

「少しだけですよ?」

 修学旅行の醍醐味の一つは、これである。

 消灯時間が過ぎて、色々な事を話す。

 本来なら友達とそうしたかったところだが、美雪も文もすぐに眠ってしまった。

 それに、一緒に楽しめた事をハイカラさんと話したかったのもある。

 なので、ハイカラさんと話した。

 新幹線に初めて乗った感想。

 雨粒の流れに感動した事。

 それから、晴れ間が見えた時の感動。

 そして、少しだけ不安になってしまった事。

 私の話をハイカラさんは聴いてくれ、時々、ハイカラさんの感想も話してくれた。

 まだ話し足りない私の目は冴えてきて、私は今日の自由行動についてもハイカラさんと話した。

 まずは電車についてだ。

 実は、ハイカラさんがあんなに電車が好きになると思っていなかったので、

私は少しハイカラさんをからかってみた。

 すると、ハイカラさんは、「こほん!」と咳払いし、拗ねてしまった。

 そんな事をしちゃうから、私の目がさらに冴えてきて、話は今日の野球観戦にまで発展した。

 すると、ハイカラさんの機嫌は直り、西園寺の勝手な行為や、木田独特の試合観戦、

それに、美雪と盛り上がって観た野球観戦の話を思い出せる限り話してみた。

 最後に石川に叱られた事も愚痴ってしまったけど、

不思議な事にハイカラさんはずっと笑っていた。

「ハイカラさん……。そんなに、おかしい?」

「ほほ。いえ、みどりさんがお強くなられたと思うと、つい……」

「私が強くなった⁉」

 ハイカラさんに意外な事を言われて、私は、ふと考えてみた。

 確かに、以前の私なら、あの職員室のように泣いていたんだ。

 嫌な思い出だけが残っていた。

 でも、今の私は、違う。

 何と言うか、くすっと笑えた記憶の方が強く残っている。

 その事を再確認出来ると、私は、くすっと笑ってしまった。

 そんな私を見て、ハイカラさんは、ほほっと笑っていた。

 まだ、ハイカラさんと話したい事は、いっぱいあった。

 でも、例の風が、ふわっと、私の頭を撫でた。

 すると、私は、うとうとしてきた。

「みどりさん。今日は、もう遅いですので、おやすみなさい……」

 そして、私は深い眠りについた。

 本当は、もう一つお礼を言いたかった。

 それは、文の事だ。

 ハイカラさんのおかげで私は、文とも友達になれたのだから。

 起きたら、忘れていないだろうか?

 少しだけ心配になった。

 けど、大丈夫。

 どこからかそんな自信が出てくるのが分かった。

 そんな安心感と、ハイカラさんの優しさに包まれて、私は、ぐっすりと眠った。


 私は、佐藤 文。

 小松さん、宮本さん、本当にありがとう。

 私を許してくれて……。

 それに明日の事……。

 へっ⁉ み、宮本さん⁉

 くすぐったいってば!

 分かったから、明日はよろしくね!

 そして、これからも……。


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