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修学旅行二日目 メインイベントは、ハラハラ、ドキドキの連続だ!

 修学旅行二日目。

 【みどり】達はこの日のメインイベントであるプロ野球の観戦を始めた。

 初めて生で観戦するプロ野球では色んな事に驚かされるが、その試合はと言うと……。

 

 修学旅行二日目。

 いよいよ、この日のメインイベントであるプロ野球の観戦が始まった。

 その試合が行われる球場は君が代が流れる間は厳かであったが迫力ある音楽へと変わると、

場内アナウンスと共に西園寺が推しているチームの選手がそれぞれの守備位置へと向かっていった。

 それから本日の始球式が行われ、それは何処かのお偉いさんみたいだったけど、

その方が投げたボールは見事、ノーバウンドでキャッチャーミットに治まった。

 そして、会場からは溢れんばかりの拍手と完成が沸き起こった。

 その後に音楽が変わると、マウンドに今日の先発ピッチャーが上がった。

 すると、どよめきとも取れる大歓声が沸き起こった。

 勿論、このイベントの主催者である西園寺はその先発ピッチャーに釘づけである。

 いや、それはどうもこの球場にいる観客の多くがそうだった。

「みどりさん。あの最後に会場入りなされた方はかなりの人気者のようですね?」

「そうみたい、ハイカラさん」

 ハイカラさんとは、私の隣にある通路に立っている、黒髪で、日本人形のような顔をした、

年齢不詳の女性の幽霊の事である。

 ハイカラさんは、私の守護霊で、人では私にしか見えず、声も聞こえない。

 なので、チケットがなくても入れたという訳だ。

 そんなハイカラさんは、私の修学旅行に同伴してくれている。

「あのピッチャーの人は、球界一のピッチャーらしくって、今度、メジャーにいっちゃうんだって!」

「メジャー……ですか?」

「アメリカの野球の事!

 野球をやっている人なら一度は憧れる舞台なんだって西園寺君が言ってた!」

「なるほど……。あの箸を返さない殿方がねぇ……」

 ちなみに、こういう風に私とハイカラさんは心の中で話す事も出来る。

 なので大音量のこの空間においてもハイカラさんの声は、はっきりと聴こえるという訳だ。

「しかし、この野球観戦の応援の声の大きさに楽器による演奏、それに歌が加わると、

とても熱気があってよろしいですね!」

「本当、迫力があって凄いとしか言えないよ!」

 プロ野球の試合において、ホームと、ビジターなるものがあるらしい。

 そして、ルール上、ビジター、つまり訪問者のチームが先行の表の回で攻撃し、

それから裏の回の攻撃なるものでホーム側のチームの攻撃になるという事だ。

 その攻撃の間、各チームの独特の応援があり、その雰囲気だけでも楽しめるものである。

 最後に付け加えると一つの回で三つのアウトを取れば攻撃するチームが入れ替わるらしい。

 大体、こんな事を西園寺は熱く語っていた気がする。

 その後にも誰がお薦めだのを言っていた気もするけど、申し訳ない事にあまり覚えていない。

 そんな中、あっさりすぎる程西園寺いち推しピッチャーは三人のバッターを打ち取ってしまい、

西園寺が応援しているチームの攻撃が始まろうとした。

 すると、西園寺を含め、皆が一斉に立ち上がった。

「な、何何⁉ 何でみんな立つの?」

「宮本さん、小松さん!

 外野席では自分達が応援しているチームの攻撃の時には、立って応援するんですよ!」

「そ、そうなの、木田君⁉」

「そんなの知らないわよ! 西園寺、説明しときなさいよ!」

 木田に説明され私達も慌てて立ち上がった。

 ちなみに、私の隣の席は、美雪。

 その美雪の隣には、木田がいて、その隣の席が西園寺である。

 その座席並びで聞こえていないのかいるのか分からないけど、西園寺はスマホ片手に応援を始めた。

 どうやら、この応援の雰囲気を動画の中に収める気でいるみたいだ。

「西園寺、聞いてんのぉ‼」

「宮本‼ うっせぇぞ‼ 雑音が混じるだろうがぁ‼」

「はーーあっ⁉ 何それ‼」

「まあまあ、美雪ちゃん!」

 私が美雪を宥めていると、西園寺が応援しているチームの攻撃が始まり、

先程はなかった登場局が流れ選手が登場したのだ。

 すると、美雪の機嫌が急に直った。

「キャーーッ! みどりちゃん、私、この曲、好きなの!」

「そ、それは良かった……」

「しかも、あの人イケメンじゃん! 私、あの人は応援しようかな?」

「美雪ちゃん、出来たらみんな応援してあげて!」

 美雪はその選手を応援し出した。

 そして、私達の周りでは応援団の演奏に合わせ、この球場中に響きわたる応援歌が選手へ贈られた。

 初めて聞く応援歌だったけれど、何となくその雰囲気に合わせて私も手拍子して応援した。

 こうやって私も美雪も応援に対して、はりきり出したのは良かったけれど、

西園寺が応援しているチームの攻撃もすんなり三人で終わってしまった。

「あーん」っ! もう、攻撃が終わっちゃったぁ‼」

「そうだねぇ……。相手のチームのピッチャーさんも凄いね!」

「んっ、もうっ! 私がこんなに応援したのにがんばってよ!」

「次の打席に来たいしよう!」

 そう言えば、西園寺はこんな事も言っていた。

 野球のスターティングメンバーなるものは九人だと。

 そして、それが一巡すれば、またその選手が打席に立てるのだと。

 そんな事を私が思い出していると美雪が応援している選手が二回目のバッターボックスに立った。

 それは、四回裏の攻撃の一番最初の時だった。

 つまり、西園寺が推しているチームは誰一人、塁に出ていないという事になる。

 なので、美雪はかなり期待していた。

 しかし、そこでもバットに当てるだけの結果となり、美雪は肩を落とした。

 そもそも、今日の試合はどちらのチームも出塁すら出来ていなかった。

 結局、残りのアウトも取られ試合が動かないまま五回まで終了し、グラウンド整理が行われた後、

試合は後半へ突入した。

 相変わらず西園寺いち推しのピッチャーは、すんなり六回の表も抑えたが、

相手のチームは先発ピッチャーを変えた。

 西園寺が応援しているチームは心機一転、攻撃出来るかと思いきや、

相手のチームの選手によるファインプレーでそれは悉く阻止されてしまった。

 そして、七回になると球団応援歌が球場に流れ、各チームのラッキーセブンの攻撃となり、

美雪が応援していた一番バッターにも打席が回ってきたけど、結局試合は動かなかった。

「はあ……。あの人、また打てなかったぁ……」

「そうだねぇ。何とか、勝ってほしいんだけど……」

 試合が動かないせいもあるけど、美雪の口数が少なくなっていった。

 そして、私はと言うと、ハラハラしっぱなしで少しお腹が痛くなり、

元々少ない口数が、ぐんと少なくなってしまった。

 だけど、ハイカラさんは違った。

「何をなされておられるのです‼ 紳士たる者、気合いを入れなさい!」

「ハイカラさん⁉」

 ハイカラさんは八回の裏の攻撃で西園寺が推しているチームが凡退しても応援し続けていた。

 でも、球界の表の攻撃。

 遂に、西園寺いち推しのピッチャーが出塁を許し、ピンチを迎えてしまった。

「うわっちゃぁっ! 相手のチームの人、三塁にいっちゃった……。

 アウトは一つだし、点が取られちゃう!」

 美雪の嘆きの声が聞こえると、私は怖くて試合を観れそうになかった。

 だから、目を閉じて、ひたすら押さえてって願った。

 すると、この球場が寒気の声に包まれた。

「みどりさん‼ あの箸を返さない殿方のいち推しとやらの方は、やりましたよ!」

「ちょっと、みどりちゃん! あのピッチャー、凄すぎなんですけど!」

 ハイカラさんと美雪に同時に言われ、私が目を開けると、

そこには西園寺いち推しのピッチャーが笑顔で他の選手と共にベンチに帰る所が見えた。

 どうやら無事に無失点で乗り切ったようだった。

 こうなるならしっかりと観ておけば良かったと少しだけ後悔した。

 だけど、今の私ではこの空間にいる事だけで心臓が飛び出る程、ドキドキしてた。

 だから、これだけで十分だった。

 なのに、この後に私はもっとドキドキする事となってしまう。


 私は、小松 みどり。

 うぅーん……。

 この後、試合はどうなっちゃうの?

 勝ってほしいけど、見続ける事が出来るかなぁ……。

 ドキドキしすぎて、心臓が飛び出そう!

 それに、何だか嫌な予感がするんだ……。

 この後、悪い事が起きそうな気がする……。


 



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