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私の守護霊は、ハイカラさん  作者: 紅p
 一学期
14/75

少しずつ変わり始めた学校生活

 体育祭も無事に終え、【みどり】の中学三年生の六月は始まった。

 だが、その 学校生活は少しずつ変化している。

 そう、それは【みどり】が登校すると、必ずと言って良い程、起こるのだ……。

 体育祭は無事に終わった。

 でも家に帰ると、やっぱり心配性の母は私の怪我を知って、心配性が増したようだった。

 嫌な事もあったけれど、男女混合リレーは無事に一位を取れ、

おまけに私達のチームは、優勝までするという快挙を成し遂げた。

 そうやって、私の中学三年生の五月は過ぎていった。

 そして、六月になり、雨の季節となった。

 相変わらず目覚まし時計変わりのハイカラさんに起こされ、

美雪に連行されるという生活は変わってない。

 だけど、一つだけ変わった事がある。

 それは、私が教室に入ると必ずと言って良い程、起こる。

「小松‼ さっさと、出せ‼」

「はぃーーっ‼」

 まただ。

 今日もまた、西園寺が今日の授業の宿題を見せるように要求してくる。

 西園寺は何故か、五月の体育祭以来、宿題を見せるように要求してくるようになった。

 そして、私は、ハイカラさんとやった宿題のノートをほぼ毎日、見せている。

 西園寺は、私のノートを奪い取り、ホームルームを含めた三〇分程で、

ある程度の宿題を写し終わり、何事もなかったかのように私の机の上にノートを置く。

 これが続くと、最近では慣れてしまい、何とも思わなくなってしまった。

 だけど、そうは思わない人もいる。

「今日もですか……。前言撤回ですね‼」

 そう、一人目は、ハイカラさんだ。

 この黒髪で、日本人形のような顔をした、年齢不詳の女性の幽霊は、私の守護霊のハイカラさん。

 ちなみに、私にしか姿は見えないし、声も聞こえない。

 そして、私とハイカラさんは、心でも会話出来る。

「まあ、西園寺君だから」

「あの箸を返さない殿方は、図々しいにも程があります‼ 宿題は、自身の力でするもの!

 それを、他人のものを盗み見し、自分の手柄とするとは、許しまじ‼」

 そして、ハイカラさんは何所からともなく例の扇子を取り出した。

 ハイカラさんは、この扇子で不思議な現象を起こす。

 私は何度もこの扇子に助けられた。

 けど、今はその助けはいらない。

 なので、私はこう言った。

「ハイカラさん、いいの‼ 私、全然嫌じゃないから‼」

「ですが、私の気が済みません‼」

「そうかもしれないけど、宿題を自分の力でするんなら、

私だって、ハイカラさんの力を借りてるよ?」

「それと、これとは違います!」

「大して変わらないって!

 もし、私の力だけでやった宿題を西園寺君が無理やり奪った時に、その力は使ってよ!

 それまでは、取っておいて!」

「承知しました……」

 ハイカラさんは不服ながらも、私の言う事を聞いてくれた。

 ハイカラさんとのやり取りの間に、西園寺は今日の宿題を写し終わり、

石川の朝のホームルームも終わっていた。

 それから、一時限目の授業が始まるまでの一〇分間に、美雪が私の所に来た。

「みどりちゃん、また、西園寺に見せたの?」

「えっと。うん」

「もう‼ どうして断らないの?」

 そう、二人目は美雪だ。

 何故か、美雪も西園寺の件を良くは思っていない。

「みどりちゃん! 嫌なら、私が言おうか?」

「別に、嫌じゃないよ」

「みどりちゃん、西園寺に脅されてるの?」

「脅されてなんかないって‼」

「脅してなんかねえし‼ 人聞きの悪い事を言うな、宮本‼」

「西園寺⁉ 盗み聞きすんな‼」

「そんなデケエ声で盗み聞きとか、嘘を言うな。それに、小松も嫌じゃないって、言ったろ?

 聞いてたのか?」

「それは、脅してたからでしょ‼」

 そして、私は二人から見られた。

 二人共、目で自分が正しいと言えと言うように訴えている。

 別に、西園寺の言う通り嫌ではないけれど、美雪の意見を否定したくない。

 だから、私は答えに困っていた。

 すると、教室のドアが開き、一限目の授業の担当の清水しみず ゆたかが入って来た。

 そのおかげで、一時的だけど私は難を逃れた。

 清水は眼鏡を掛け、眠たそうな目をし、丸顔で、黒髪の短髪の四〇代くらいの男性教師。

 そして、ちょっとふくよかな体形で、身長は左程高くない。

 そんな、清水の理科の授業は面白い。

 今まで私は文系が得意で、理科と数学は得意ではなく、やってこなかった。

 だけど、清水の理科は今までやってきた内容で何が大切かをまとめてくれている、

清水の資料があり、普段の授業とは別にそれに対しての小テストを行ってくれる。

 恐らく、私は理系には行かない。

 けど、清水の理科なら、勉強したくなった。

 だから、定期的にそのテストを受けに行っている。

 そういう風に、この二ヶ月を過ごしていると、清水との距離は縮まった。

 だからかもしれないけど、

「小松、資料を配るのを手伝え」

と、こういう風に雑用を頼まれる事が多くなってしまった。

 よくよく考えると、私は一番後ろの席で、もっと近くに生徒はいるはず。

 でも、清水は、私に雑用を頼む事が多い。

 そして、頼まれたら断れない性格の私は清水の手伝いをする為、席を立つ。

 すると、必ず美雪がこう言う。

「清水っち、私も手伝う!」

 そして、清水も必ず、こう言う。

「さすが宮本。じゃあ、頼むわ」

 こうなって、今日の授業の配布プリントを配る等の雑用を美雪と行い、清水の授業はスタートする。

 それから清水の授業に必死に付いていくと、あっという間に清水の授業は終わる。

 そして、私が清水の授業道具を片付けようとすると、また、西園寺が話し掛けてきた。

「おい、小松‼ さっきのノートを見せろ‼」

「さっきのって、清水先生の?」

「そうだよ‼」

「えっ、で、でも、何で?」

「俺が寝てたからに決まってんだろ‼ あいつは、定期的に授業ノートの提出を求めてくんだよ‼

 恐らく、来週辺りそれをやってくるはずだ‼ こうやって、あいつは内申を決めんだ‼」

「なるほど……」

 私は知らなかったけど、清水はそうやって内申点を決めているらしい。

 私のノートなんかで、清水が良い内申点をくれるとは思えないけど、

西園寺に断る理由もなかったので私が西園寺に清水の授業ノートを渡そうとすると、

三人目の意外な人物が、その行為に苦言を呈してきた。

「西園寺君、そんな事までして、良い内申点をもらいたいのかい?」

 それは、私の前の席の木田だった。

 木田は堂々と、西園寺の前に立ち、また、苦言を呈した。

「西園寺君。勉強とは、自分でしなければ身に全くと言って良い程つかないよ。宿題だってそうだ。

 君は、いつも小松さんの宿題を写しているみたいだが、そんなのでは将来、どうするんだい?

 せめて、授業ノートぐらいは自分の手で仕上げてみてはどうだい?」

 木田は、理路整然とした持論を展開し、西園寺の好意を諫めようとした。

 しかし、そんな事は西園寺には通じなかった。

「意味分かねえんだよ‼ 俺は、こうやって、授業ノートを仕上げるんだ‼」

「あっ⁉」

 西園寺は、やっぱり、私のノートを取り上げた。

「ですから、それは……」

「小松が文句言ってねえんだから、お前が、とやかく言ってんじゃねえよ‼

 なっ、小松‼ 文句ねえよな?」

「あっ、うん」

「ほら見ろ。文句ねえってさ」

 そう言って、西園寺は私のノートを自分の鞄に入れ、教室を出て行った。

 すると、木田は溜息をついて、私を見た。

「全く、西園寺君には困りますね。小松さん、どうして嫌と言えないんですか?」

「別に、嫌じゃないし……」

「ちゃんと断る事こそ、西園寺君の為になるんですよ? 甘やかしたら彼は、駄目な大人になります。

 今後、ああいうのが嫌になったら、僕に言ってくださいね。

 今度は、ちゃんと断ってみせますから!」

「まあ、そうなったら、木田君に頼むね」

 木田は、やっぱり変わってる。

 でも、嫌じゃない。

 こうやって、また、木田の変わっている優しさを知って、私の中学三年生の六月は、スタートした。


 私は、小松 みどり。

 木田君、ありがとう。

 私を気遣ってくれて。

 えっ⁉

 清水先生のも、断るって⁉

 本当に、大丈夫だからぁ‼

 そ、それに、美雪ちゃん⁉

 どうしよう……。

 どうすれば、いいのかな?

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