第3話 適正診断しました
この世界には属性診断と適正診断がある。属性診断は魔法の属性を調べるもの、適正診断は魔法がどのくらい自分に合っているのかを診断するのだ。診断は0から5の6段階。
0は無能力、1は微能力、2は弱能力、3は中能力、4は強能力、5は天能力と言われている。世界の平均は2から3と言われている為、そのくらい有れば魔法使いとして名乗れるレベルだ。
今はクレアのほうきに乗って街を目指していた。そして私はクレアに聞いてみたい事があった。
「師匠はどの属性がどのくらいの適正なのですか?」
「私?私は6属性、適正は全て5だよ。」
「はい?」
聞き間違えだろうか……私はもう一度聞いてみた。
「今何と……」
「6属性、全て5だよ。あはは信じられないでしょー」
私は一呼吸置いて……
「嘘でしょー!天才じゃないですか!」
「いやー、それほどでもないかなー。」
そんな人初めてみた。学校で天才と呼ばれてた人がいたけれど。その人でも3属性、適正1つが4、2つが3くらいだったのだからこの数値は異常であった。
「ちなみに天能力って天才って意味じゃないって知ってた?」
「えっ?ええ、確か、先天性という意味だと本で読んだ事があります。」
「ちぇー、知ってたかー。」
頬を膨らませてつまらなさそうにするクレアが凄く可愛いかった。年上だけどクレアの膨らませた頬をツンツンとしてみた。
「ツンツンしないでー。」
反応は紛れもなく子供のそれだ。でも可愛い……
しばらく飛んでいると街が見えてきた。しかしもう日が沈む寸前である。
「なんとか今日中に着いたわ。」
「ここはなんて街なんですか?」
「ここはエストタウンよ。結構大きな街だからちょくちょく来るんだ。」
「エストタウン……私の居た街からは山を3つも越えて来ないといけないんですね。」
私は今、飛んできた空を見てポツリと呟いた。
「どうしたの?セーラちゃん。」
「いや……遠くまできたなーって……」
「帰りたい?」
「……ううん。クレアさんがいるもの寂しくないです。」
私はクレアの手を握った。クレアの頬が少し赤くなってる様に見えた。
(言ったら照れるかな?)
なんて思っていると。
「セーラちゃん顔赤いよー。」
「ゆ、夕日のせいですよ!」
ニヤニヤしながら笑うクレア……私が言おうとした事を逆に言われて私の方が照れてしまう。
「さぁ、今日の宿を決めましょう。お昼食べてないからお腹空いちゃったー。」
「私もです!どこか良いお店知ってるんですか?」
こんな話をしながら今日は夕食を食べた後、宿屋で休む事にした……
が……
「ねぇ、クレアさん。」
「何かな?セーラちゃん。」
ニコニコと笑うクレアに私は尋ねた。
「何で私のベッドにいるんですか?ベッドは2つあるんですよ?」
「人肌が恋しいから今日は一緒に寝てほしいのだ。」
上目遣いで私を見てくるクレア……反則である。
「しょうがないですね?師匠の頼みですから聞きますよ。」
「やったー!」
という感じで私たちは同じベッドで眠る事にするのでした。
次の日、適正診断をする為に魔法統括ギルドに来ていた。
「人が多いですね。よく見ると大人の方もいますね。」
「大人になってから開花する場合もあるからね。でもセーラちゃんはそこには並ばないよ。」
「えっ?どうしてですか?」
「あそこは一般的な魔法適正を診断をするところ。セーラちゃんは新種だからこっちなのだー。」
そう言うとクレアは私の手を引いて、魔法統括ギルドの裏口へと連れて来られた。
「あの……盗みなんて……しませんよね?」
「しないわよ!人聞が悪いわよ!」
だって真正面から入らないなんておかしいもの。そう思っても致し方ないと思う。
「表で新種の魔法が出ましたなんて言ったらギルド内が大混乱になるでしょ。だから裏口から行くのよ。」
「そういう事ですね。納得しました。」
そうして中に入ると静かだった。
「こっちだよ。着いてきてね。」
「はい……」
私は中に入るとやっぱり少し不安になった。でもクレアに手を繋いで貰ってるおかげか落ち着いていた。
そして少し歩いて行くと部屋の前でクレアは止まった。
「ここだよ。」
そう言うとクレアは部屋をノックした。すると扉が勝手に開いた。
「ク、クレア。勝手に扉が……!」
「魔法よ。気にしてたらキリがないから行こ。」
そうしてそのまま私の手を引いて中へ入る。中には1人の女性がいた。
「あら、クレア。久しぶりね。」
「久しぶりリザ、相変わらずね。」
その女性はピンクの髪に紫の瞳、肌はとても白かった。
「それでそちらの子は?」
「セーラと言います。初めまして。クレアさんの弟子です。」
私はリザさんに自己紹介をするとクスクスと笑い始めた。
「へぇー、あのクレアが弟子をねー……そうなんだ……」
「あの。何がおかしいのですか?」
私は少しムッとなったので理由を聞く事にした。
「あら、怒りました?ごめんなさいね。ただクレアは弟子を取るなんて事なかったのよ。それに本人も学生の頃、弟子なんて絶対取らないって言ってたからそんな子が弟子を取ったんですもん。少し可笑しくてね……」
話しながらも笑っているリザさん。たぶんこの2人は相当仲が良いのだろう。
「それでリザ、笑い終わったなら適正診断させて貰えない?」
「適正診断?そんなの表門から入ってすれば良いじゃない?」
「ここに来てるって事は大体察してるんでしょ?手間取らせないでよ。」
「全く見た目とは裏腹に可愛げがないなー……」
そう、ここに来てからのクレアは何故かピリピリしている。昨日の夜の様な姿が今は見えないのだ。リザさんが部屋を出ると私はそれとなく話しかけた。
「あの……クレア。」
「何よ?」
やはりピリついていた。
「あの、私何かしましたか?」
「……ごめん後で話すわ。」
そう言うと再び沈黙が降りてきた。気まずい雰囲気でいるとリザさんが部屋に戻ってくる。
「待たせたわね。はい、適正診断用の水晶。」
「ありがとう、セーラ、ここに手を置いて。」
私は言われるがままに手を置く。しかし何も起こらない。
「あの……何も起こらないんですが……」
「大丈夫よ。昨日セーラから貰った魔力がここにあるからをこの魔力を水晶に入れれば反応するわ。」
そう言うとクレアは無色透明な小瓶を出した。
「それが私の魔力ですか……?」
「何も見えないと思うけどね。でもこれを水晶に投げ込むと……」
クレアは水晶に小瓶を投げ込んだ。すると小瓶は音を立てて割れた。しかし水晶の中がいきなり緑色に変色する。
「綺麗な緑ね。まさか新種の魔法を持って来るなんてね。」
「ええ、私も半信半疑だったけどやっぱりこの色は無いわね。緑は緑でもエメラルドグリーンね。」
魔法適正で見られる色は光が黄色、火が赤、土が茶色、闇が黒、水が青、風が白となっている。つまり緑なんて色は存在していないのだ。
「それじゃあセーラ、その中に魔力を流してみて。」
「えっ?私魔力の流し方なんて……」
「そう。分からないのね。じゃあ手を貸して」
「は、はい。」
私は言われるがままにクレアへ手を貸す。そして握られる。
「今この水晶にはクレアの魔力しか入ってないわ。だから私が魔力を流しても反応はしないの。そこで私がセーラの魔力を誘導する形で水晶に送るわ。」
説明を聞いて納得した私はクレアと一緒に手を置いた。そして……
「イタッ……」
やはり何かに引っ張られる様な痛みが腕に走る。これが魔力を流すということみたいだ。そしてそして水晶を見ると綺麗な緑色に染まっていた。
「これは……」
「ええ、これは5、天能力ね。」
私を置いて納得していた2人でした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。4話目は鋭意製作中です。お楽しみに!
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