兄の話-3話
仰げば尊し歌詞は曖昧だ
けれど覚えてないとこの歌詞は誰かが覚えている。そして私が覚えてる歌詞は誰かが忘れてる
心を一つに なってないからこそ
信頼があったというか、
いやはや、心、バラッバラすぎ
私は紅雷女学院の
卒業式を徹夜で迎え、今現在合唱の最中
疲労困憊だが徹夜で眠気と戦う
私の頭の中はとても忙しがない
泣きじゃくるような声にも納得し
腹から出てない声にも納得
口パクをするほど
私はパンクロックではない
だがしかし平然とやってのける
ラストJKもいる、音や声にならない
口パクの気配を汲み取る私の地獄耳
一度も喋ったことない隣のラストJK
からはとめどなくなく鼻水の音が聞こえる
チラチラ気づかれずに
見る事が上手いと自負する私
隣の彼女は胸がいっぱい….
その筈だ。
私には分かる、見るか、見るか?
横を見てみる!
….!!!
【大きい…っ!】
やはり胸がいっぱいだった。
……昨日は徹夜をしてしまいたくなるような夜
になった
———兄ががホストをの仕事をトんだから
久々に実家に帰った兄、彼が家で暴れた昨晩、
晩御飯はぶり大根だった。
兄の岩永翔太
はホストクラブに勤め出し
初月でNo.1になったという
当日の売り上げが最高位のキャストが
カラオケを披露するという
「ラストソング」通称「ラスソン」
ホストというカルチャーが
メディアで取り上げられる昨今
夜の世界に馴染んでは
いけない未成年の私も「ラスソン」という
単語は把握している
ラスソンを幾度なく歌ってきたという
逸話を残す翔太
夜の世界での源氏名はクロル
ホストを初めて二ヶ月になる頃かな?
実家で寛ぐ兄に尋ねる
「お兄ちゃんラスソン何歌うの?」
「ん?あぁ SILENT VOICE KILL」
兄の売れ方は一過性だと確信した。
コイツのセンスはいつも攻撃的
コイツは歌がまぁ上手いのか?
上手い?..うん上手いしモテてる?多分
実力があるのかないのかどうかは知らないが
私は兄を認めたくない
幼少の頃から兄は人並み以上に運動神経はいい
サッカーボールでリフティングをずっとしてたのを見てたが、部活はしたくなかった兄
兄は日頃外を走り回っていて
小学生の頃の運動会、リレーは
毎年最後の走者だった
そして、兄の翔太は昔から
ファッションに凝っている
母の薫、高校生〜バイト代で
高い服を買っていた為、ずっとお洒落だ。
アパレルの勤務経験もあり年を重ねた母は
シックな装いが多い
兄の翔太も負けじとセンスはいい
兄が奇抜な服を着てるのは何度も見てきたが
浮ついて見えたことはなかった。
チャラいのにうざくない、
ドクロきてるのに痛くない、
柄に柄でも色相間は理に適ってる
兄は「翔太」という 系統になっていた。
それでもお兄ちゃんが高校生の頃
たまーーにそれは「変っ」と思う
服を着てる事が私の中で年2回くらい
あった。
そういえばあの服見ないな?と思い
服の所在を尋ねる
「あの、紫と黄色の服って」
「あーあれ、プレってたから売った」
次の週、衣装部屋で変な服
は畳まれて置いてあった。
ファッションの系統変化?とかではなく
個性的な友達や遊んでた女の子から
もらった服だったんだろうな?
もらいものは貶さない
けれど着たくはない服への言い訳や
隠し方にもセンスがあった
そして、もらったであろう
服は兄は手放さない
そして兄が着ない服を母は部屋着にする
….母は全てを着こなしてしまう
正直、お洒落な二人を見てると
自身のファッションに対して
自身を失う毎日だ、さらに
母と兄、2人についていない大きな要因
「ADHD」という発達障害
今となればよく耳にする言葉、
常識のある父は世間に知られる前の早い段階で
【もらえるもんはもらっとこう】
と薫と翔太
二人同時に精神科へと促した、父の健は
「診断が降りて手帳を見せたら美術館とか
映画館の料金安くなるらしいよ」
と病識があり偏見がない父の健は
家族を連れ出す
受診後の二人の感想は同じだ
「質問なげぇテストうぜぇ」
帰りの車運転は父、助手席に兄、隣に母。
私は乗り心地のいい1番後ろ
母が隣で私の手を握ってくれている
——
「あれ、どういう意味の形でどういう意味であーむかつっ.. っおいかぁちゃんみろよ!!」
「あっしょーたっなに!待って今パンツ食い込んでるなに!」
「おいて!!あれ!あれ!何あれ!!
なんかハゲたおっさんジェラピケ着てね!!」
「あーっあれ !あっあれっいやっあれ!違う!
ジャラピケじゃないよあれね
えっやっっばっえ!イッセイミヤケの新作
なんでじーさんがきてんの!!
「え?!かぁちゃん、何で今ミヤケ?服だよ服!てか
三宅あいつよー俺が間違えてあいつの体操着持って帰ったくらいでわざわざいじめられてるとか
ほざいて泣きやがってぇってっぇえ!
うわっえぐい!えぐいえぐいて!!!!虹!」
「うわぁ!!!えぐいてー!!!
可愛い!綺麗〜〜!」
幼い頃の私の言葉
「お前が1番可愛いよ」
3人は口を揃えた————
ADHDの診断が降りたものの
二人は地頭は悪くはない
薫は無理矢理にでもコンビニで働いてたので
母の整頓術は大雑把だけどまとまりがある
アパレルでも整理整頓が基本だった。
忘れ物、無くしものが多い兄は
鞄をもう持たない事して
外で出たゴミはコンビニのゴミ箱へ捨てるそうだ
「ポケットティッシュだけは
アウターにだいたいはいってるんだよな」
とめちくちゃなようで理にはかなってる。
服が好きな母と兄、父がマイホームを
建てた一室を衣装部屋にしてくれた。
母がルームコーディネートをしている為、衣装部屋は部屋はセレクトショップのようなリビングになった
誰かがいれば自分の部屋に
一息ついたら自分の部屋へが暗黙の了解。
ここで揉めた事は不思議とない
寛げるように茶色いのソファ
季節に合わせ素材のブランケットを添え
各々幅を取らない漫画やゲーム
趣向品を置く。
白基調でコーディネートされた部屋、
そこから私も服を借りてた時期はある
けれど今は自分の服は自分で着る事が多い
..服を借りる事に関しては苦い思い出もある。
【ファッションもう一周回ったよね】
2人の服は着こなす事がとても難しい
そして2人からのこの言葉は80回以上聞いた
派手な服も無地も両方着るのは持ってるから
着てる「だけ」意外とお洒落はすぐに飽き「ている」と何回も同じ話
その割には癖が強く毎日コーディネートが違う
一日二回外に出るなら一日二回
ニュアンスが変わる。
そして一貫して二人は
「今日変?」と聞いてこない
だが、兄の翔太が服を選ぶ時
「どっちがいい?」をわざわざ「私」に聞く
妹の私は1番嫌いな質問になった
本当にわからなかった
….テキトーに「こっち」と指差す
….兄はふーんとだけ
指差した方を着る
言葉の保険とも違うしこの感覚に
私はムカムカとすふ
母と兄は何回も何回も同じ話し
そして、兄の嫌悪が濃くなる
最大の要因
実力も無いくせに趣向だけは一丁前な所、
——兄の翔太は歌手に憧れていた
小学2年くらいの頃かな?
兄が歌う JPOPが好きだった
音程は大まかあっているし、
何より一生懸命な歌い方が素敵だった。
そのままでいてほしかった
……なのに兄はヴィジュアル系由来の
音楽ばかりを好んで聴くようになり
それ以降兄の歌にはムカムカした
だが下手ではない、高音がムカつく
しゃくりあげるなと毎回思う。
中1に差し掛かる頃、
家族でカラオケに行かなくなった
兄はデスボイスにまで手を出し
毎回声がガラッガラになるまで歌う為
趣味の合う友達とだけ
遊ぶように促した意外や、兄は
「いやぁそうだよなぁ」と腑に落ちる
だが彼の芸術への追求はとにかく深い
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無限に探求する兄
曖昧な過去の台詞だが
中1の頃
「HIP HOPはUSしか聞かない」
「日本の商業音楽聴くやつバカ」
ネットで見繕った玄人のような
意見ばかりを社会に出ていない子供が述べる
歌の努力は歌謡から英語歌詞に変わり
早口のラップ獣のようなシャウト
やデスボイスに変わっていく
家で歌う彼の歌は上手いのかどうか
もよく分からない
半端な高レベル歌声にイライラする毎日。
美声かもしれない?と思って聴くや否や
突然と
「ヴォオオオオオオオオアアア!!!!!!」
シャウトする兄、Ipodから流れる
大音量の洋楽
「うるさい!翔太!」
家族の中で1番うるさい母が怒鳴り
隣にいた父も
「うぉおっ!!ごっっほっんうう、!!翔太すご
っ出せる気がせん。」
真似したくても父は雄叫びが真似出来なかった
私のヘイトは兄に溜まっていく
散らかるリビングに奇声が続く
飲みかけのペットボトルが散乱
そして兄は一方的に私に音楽を語る、
服とか顔がちょっとカッコイイのがムカつく
海外のメタルの発声方法
を専門用語ばかりを並べて語る
「ガテラル」 「グロウル」
「外タレは胸の成りから規格外」
「90年代のV系のボーカルは異質」
「あのラッパーはフロウがエグい」
「その辺のやつは音楽の解像度ない」
知らない言葉を色々並べるが、
共通点がある。
兄はボーカルの事しか語らない
ギターの事や楽曲の展開とかそういう話は
まるでしない察している
「歌」の話しか
「できなかった。」 痺れを切らし
ある日音楽を熱弁する兄に、私は
「詳しいよねミュージシャンになれば?」
と告げた。
兄はバンドをするために軽音学部に入った事は知っている、そしてすぐに幽霊部員になった事も。
知っていた事をあえて知らない体で聞く
兄は支離滅裂な言い訳を始めた
———-
「お前になーわかっかなぁこのジレンマあのな
所詮日本で!音楽で!売れてる奴なんて!
モテようとしてるキモオタしかいねぇよ!
学校は社会の縮図!まーじでおもんない
本当のパンクはもうねぇんだよおい!
部活入って思ったよね」
昼に起きて夕方学校に行く夕半グレのADHDの
語りはまるでHIP HOPを聴いてるようだった
「俺はなぁ!教室の火の用心って
書いてあるポスターのな!ローカルの女が
なんかムカついた!!
色気もねぇからよぉ
ヤンジャンの袋とじのグラビアに差し替えて
やったんだよ!カルチャーの踏襲!
アートカルチャー!
音楽とそこのカルチャーって密接なのよ
俺はなっ!なっ!きけよ!
しょーもねぇ火の用心の女をな
でけぇおっぱいの女に変えてやった!
びーちくに画鋲を刺した!ボ!ディ!ピアスだ!
パンクの代名詞だろ!!へそんとこに
なんかノリだからあれ!
ニコちゃんマークかいといた お前わかんだろ!
俺のTシャツの!よく着てる
マーク書いといたよ今度中学来てみてみろよ!
あ、もう剥がされてっか、だり
あっはなしとんだんでよ!
諭吉が飛ぶよう楽器を買い集めては
音鳴らす行為が!だ音楽なんだよな!
煩悩まみれの
ボンボンしかやれねぇんだよそもそも
なんで音楽やってんのって?
部員全員に聞いたよ、みーんないっしょ!
どいつもこいつガキなのに
憧れのバンドの誰々さんみたいになりたくて、
とかしかいわねぇしよぁ?!
おめぇら将来社会でるだろ!!
あいつらみたいになる気ねぇだろ!
学生のうちだけでもチヤホヤされて
モテるためですってオメェら全員言えよ!
イカクセェんだよ!てか、
その憧れてるバンドマンのおっさんもな
ファンの女はフツーに抱くし歪んだ音も
説教くさい自由な歌詞も
ぜーーーんぶ!レーベルの言いなりな!
革ジャン着てるけど!なにがロックじゃ!
音楽は金持ちしかできねぇよただ、
その中での暴れた芸術ってのが
ロックなのによ!そこんとこ
わかってねぇインテリ気取りのインキャが
翔太くん悪目立ちはロックじゃないよ
とか能書きたれやがってよ?!
おめぇ?!は!?
商業ロックばっか聴きやがってよぉ!
おめぇら、エレキだっら全部ロックなのかよ!
くだらねぇ所詮日本にパンクはどこにもないなあぁ!!!90年代ー2000年代に
青春を過ごしたかったなぁ!!俺の求めるバイブスは
イカくせぇ島国にはねぇの!」
…..作り話ではないが
話の本質をすげかえてる
支離滅裂だけど意外と本質的な部分もある。
が、問題はそこじゃない….
1
絶対楽譜読めなかったお兄ちゃん
2
ぬるっと演奏を合わせるバンドメンバーの空気が退屈に感じたお兄ちゃん
3
なんだかんだ邦ROCK疎いから会話に混ざれないお兄ちゃん
4
忘れ物が多いから小言の
多い顧問に嫌われたお兄ちゃん
5
歌いたい歌をリクエストした時に演奏隊のレベル
高くて基礎練からやらない?と、促された
….こんな所だろう、
….全て容易に想像はつく
自分の実力を過信してる兄
聴いてる音楽もレベルが高い
けれど一般的な趣向の音楽でも
一生懸命練習してようやくワンフレーズ
演奏できる事にだれた挙句
青春を謳歌する共感しない
バンドを歌う同年代にイライラしたのだろう。
ただ、兄の気持ちも分からなくもない
私は体験入部で吹奏楽部を
見学だけした事がある
体育会系とはまた違う肌に合わない空気は分かる
けれどこの弁明に関しては
部員が何をしたかは話していない
自分の思想しか語っていない。
【楽器を弾きたくなかった】
これに尽きる
の癖に崇拝しているバンドは
兄曰く「ビートルズ」らしい
「やっぱ長く残る音楽が1番なんよなぁ」
と週に一回だけ兄の部屋から聴こえる
ビートルズ
どうせ、インターネットの掲示板の
秀逸な書き込みに影響を受けた、だけだろう
ビートルズも言い訳も
本当に「ついていけない」
だが、兄は中学3年、高校生にかけ
「分からない存在」に変わっていく
「自分語り」と始めてもない音楽をやめた




