川に花-1話
ヨルは概念。世界を観測する。
アサを知りたい。 彼女は。
ちょっとめんどくさい。
全てがうまくいっていた
それがもどかしかった
なろうと思えばっ
私はインフルエンサー
アイドルにもなれっ..
….そういう事を考えるよりも
目の前の敵が結構強い
時計の針は3を指す
外は真っ黒 私の部屋は白基調
蛍光灯の灯りで白は際立ち、
外界の黒、家である内は白
で分断されている。
自然的な光景ではないが
テクノロジーが改革された今現在
真冬の外は黒 暖房が効いた部屋は白
オセロのような分断は何一つ
ファンタジーではない
現代を生きる若者であれば
ごく自然な光景であろう
【ドゥルアアアアア!!!!!!!!!
※生体反応異常 !備えてください!】
ダークナイトファンタジーの音が響く
「あーいつものパターンね」
コントローラーは最小限の動き
そう、全てがうまくいっている
—-♫⭐︎⭐︎
【ヴァア嗚呼ああああ!!ギュリュルルル】
少しだけやけくそになりたい願望を
隠しながら生きている
現実的で地味な私の部屋は
私から見てもまぁまぁ汚い
非現実光景はテレビのモニターに映る
高校3年の冬、JKとして過ごす最後の冬
コントローラーをガチャっと押して、ぼふっと布団に置いた
その後にまた視線は変わる
決定打のコマンドは
【←✖️✖️ 〇〇〇▲】
ぐにゃりと体を横にまた目線を変える
モンスターエナジーが机に置いてある
あぐらをかいていた私は、
首を真上に向けて口元に缶を当て
ぽんぽんと雫を貪った
【ズヴウゥバン!!〜♫⭐︎⭐︎♫♫♫〜〜〜
ミッションコンプリート!お疲れ様です】
毎度この子の声は可愛い
ダークナイトファンタジーは大袈裟だ
何回も敵を倒したこのゲームの名は
【ダークナイトファンタジー】
また視線は自意識で変わる
TVの四角から小さいスマホの四角へと
視覚移動、
流れるYouTubeのショート動画にも
モンスターエナジーが映っていた。
動画のタイトル
「川というジュースを飲みました」
モンスターエナジーの三本線のロゴが
川に見えるという小ネタだった
少し見てiPhoneの画面を縦になぞった
次の景色はもう思いだせないだろう
何度も何度もスマホを指で縦に
なぞる。エナジードリンク
のみならず、貪るように
映像コンテンツも過剰に摂取した
体に悪い事ばかり。
何時間か過ぎた
部屋の灯りとテレビゲームをつけっぱなしの
まま外へ出た
川というジュース、妙に心に残る
「くだらねぇ」と心の内で呟いて
口角は右側だけが上がる
2/22 6:16 私は優等生な女子高生
グレる理由もない私の中の
ヤケクソは
仲間内でドンキ•ホーテでたむろする事ではない
親から貰ったお小遣いを
ファミリーマートに向かい
おでんに変換することだ。
まだ寝ているであろう両親に
「どこに行ってたの?」と
ツッコまれるのも嫌だから
音がなるだけ小さくなるよう気配を殺す
【カッ…チャン. スチャ】
鍵を閉めた、外へ出た、
夜中と朝の端境の空気。
2月の終わりの張り詰めた寒さ
私は990円で購入したサンダルで歩く
形は、クロックス似ている
クロックスは正規品だと高いらしい
靴下はもこもこと分厚い
今日はずっとこの靴下
上着は兄のクロムハーツ?という
ブランドのパーカーを勝手に着て
中には無印良品のトレーナー
2月終わりの張り詰めた寒さに
耐える為に頼るのは
分厚い二着のトレーナーだ
私は一人、藍色の夜の終わり
田舎の住宅街に溶けんで
一人言を放ちながら歩いた
「岩永ゆり18歳川という飲み物を紹介します」
さっき見た川というジュース
動画のタイトルが頭から離れはない
そして、憧れのない世界ほど
一人遊びとごっこあそびを繰り返すものだ
動画投稿とか死んでもやらんと心に誓う。
決意でもなく、スローガンでもなく
言葉通り私のやりたくない事
4月になればまた大学生活
….苦い成功体験から嫌気を予習した
15分かけて歩き白と緑の見慣れた看板に
に立ち会う、文字は青い。
【テレレレ レレーレ テレ レレレー】
部屋よりも白いファミリーマートににまた
現実を感じた。
ピアスを垂らした店員
店員はダルそうに「しゃっまっせー」とだけ
美形寄りの人間、兄を彷彿とさせるから
イケメンは嫌いだ
4個くらい買おうと思ってたおでんは
たまごとちくわの2つに決めた
あまりレジにいたくないからだ。
渡されるパックが小さく済む
袋もいらないから安上がりだ
だが、
「あーあ、大根もいきたかった。」
とだけ心残りの心の声。
おでんを抱えて外にでる。
外で食べるのも恥ずかしい
猫舌だから冷ましたい、
道草を食って時間を稼ぐ、
どうせ休みだし、
無駄な時間に脳内で無駄な
言い訳が始まる
さっきやってたゲームの光景が
まだ頭に残る
徹夜でゲームしたから逆に頭が冴えていた
「敵の生体反応、異常〜備えてください〜」
「地点B〜急げ〜急げ」
ゲームの台詞を繰り返して歩く、
ぼそぼそと呟きノロノロと歩く、
川沿いの道を遠回りして帰路に向かう
歩くところのコンクリートは
白く塗装されていて、
安物の偽物のクロックスで
黒くなってるところだけ、
足で踏んで歩き
おでんの出汁がこぼれないよう気をつけて
また脊髄で浮かんだ言葉を
口にしながら帰路を旅する
「ぅわぁあ〜川というジュースが現れました〜
エナジーレベル8 とても危険です〜
怯むなァ俺達、光の騎士の意思なんのためにあっ」
「あっ…ん?なんこれ」
一人言が現実に切り替わった瞬間だ
目を映すと白く塗装された道にはぽつんと
青く枯れた百合のような花があった
「え〜それでは、川というジュースを紹介しま」
またぶつぶつと自分だけが
口にできる言葉を口にする
呪文のように放ちながら..
!!!…ピカッ…….!!!!!!!!
まばゆい光が私の眼に焼き付いた
無意識、後に青い花を拾っていた事を知る
兄の上着のポケットに入れていた。
「うわぁ!!!!きもっ!
入り込みすぎだろあんなクソゲーに!」
大きい一人言を叫んでしまい
自分自身に辟易とする
【ダークナイトファンタジー】
私一人がオフライン仕様で
夢中になってるゲームと
全くと言っていいほど
同じエフェクトのような閃光の光が
目に映ったのだ白と黒と青と赤
【4:4:1:1 】の割合で空全体に広がる
ゲーム内モンスターに
奥義を決めた後の光の加減と
同じ洗練された美しさだった
現実の景色ではないと即座に判断した。
脳内の幻想。いい歳してゲームと現実の境が
わからなくなる深夜テンション
バカバカしい
..
….
……その嫌悪はまた濃くなる事になる
閃光を観測したその数秒後
私が立っている白いコンクリートの
左前の方の塗装は赤茶色になっていて、
おおよそ50m左前に
【ダークナイトファンタジー】に
登場するかのような
背が高く黒い翼と
黒い角が生えた異形な存在が映っていた。
顔立ちはとても綺麗で美しかった
黒のカーディガンは八つ裂き
黒のスキニーデニムは
所々焼き焦げてまだらに穴が開いて
ダメージデニムと冠する穴の空いた
衣服が流通する現在、
作為的にデザイナーが服を焦がしたのだと
想像した無駄な装飾がない黒いブーツを履いている
ゴシックなアイメイク
黒い髪、乱雑に跳ねた襟足
真っ白な肌には吹き出物の類が一切見えず
長く伸びた首には錆びたチェーン
が鈍く光る。
綺麗な肌に対して退廃的な
ファッションが相反して美しかった
後方にはファミリーマート
白く塗装された地面の左隣には川と住宅
少し右前には異世界のような男性
川と車道と住宅と幻想が
ぽつりと共存していた
赤い軽自動車が一定の音と速さで
私達の髪を揺らし、過ぎ去った
私は呆れた声で彼に話かけた
「え、バースデー?お兄ちゃん
あっ、アサ….」
もう空は青かった
彼に話しかけた。
彼は全体的に黒いが
肌は白くて美しい、
病的で綺麗だった
「……」彼がじっと私を見つめる
「あ、同業か、すみません、
お仕事頑張ってください」
「ヨル」
「ん、あーー時間ないんで」
「あなたはアサか」
「あ、はい」
私は話しかけた人を「兄」と勘違いした
ナンパされても
面倒だから対応のスイッチをすぐに変えた
「あなたはアサか」の
意味を考えるのもすぐにやめる
酔っ払いはめんどくさい。
なぜ、私は冷静かなのか、全てが
私の中では噛み合っていたから
母の美形とモデル体型を
色濃く遺伝した私の兄は
ホストになっていた
都心の外れの田舎の地元は
電車で30分ほどで歓楽街に行ける
美形には驚かない。身近な存在が美形だから
彼の身なりも全く持って不思議ではなかった。
異形な身なり三次元の人間の2.5次元。
画面を通してはよく見る
コスプレが今現在とても流行っている
ハロウィンじゃなくても
コスプレしてる人もいるし
歓楽街の道ゆく人は
コスプレなのかファッションなのかも
定かではない、私から見たら
そういう人もいるんだよな「と」しか思わない
….それに今、ゲームのしすぎて
私は頭がおかしい
現実にダークナイトファンタジーの
エフェクトが広がってたのが最たる例だ
「さっき飲んだモンスターエナジー
変なもん入ってたんじゃないのかな
いやきっとあれは川だモンスターエナジー
じゃない、川だ川だ」
ぶつぶつと呟いてやった
———後に知る。
彼はヒトではなかった、
彼はヨルで概念であり、悪魔であり、現実だったまた彼に会う事になる——
「朝になりました!はい!えー!
今回ご紹介!するのは川!川!!という
ジュースを紹介致します!!!!」
一人言を撒き散らしながら早歩きで歩く
声はまぁまぁ太く、放つ!
絡まれたくなかった。
生憎だが外面のヤバさはあんたが
上だけど内側のヤバさは私が格上だ。
私は、負けず嫌いだ
【目立たなくてすむ勝負事は全て勝つ】
「死神のコスプレをした」
ホストと思わしき男の
シルエットが遠くなるのを振り返り
もういなくなった事を確認した
それけら景色を前方に映す、
もう既に、住宅街
少しだけ視力が乏しい私の視界に
やけに細い、長い、男。
長く伸びた前髪は金髪、耳元は刈り上げ
半端に伸びて黒く、両の耳には
銀のピアス、胸元同じく銀のネックレス
ヴィヴィアンってブランドだったかな?
モチーフもチェーンも華奢な物を身につけている
茶色いジャケットはなんだか
肩が合っていない気がする
そういう流行りなのかもしれない
中に着込んだ白色のニットは
値が張りそう
黒いダブダブのデニムは穴だらけ裾がぼろぼろ。
履いているブーツはカクカクしてて独特な形
ズボンの裾を引きずりながら歩く男がいた
..
….今度こそ兄だった。
「あっ」 「あっ」
…..
……
「ゆり、おでんちょうだっ」
「やだ」
「てかすくなっ。バランスわる。」
「全部私の」
兄と私は同じ方角の帰路へ
……私は兄の翔太に話しかけた。
「今日なんかイベントあったの?」
「しらん!生誕だとかあれだこれだ、もうどうでもいいよ!もう飛ぼっかな!」
「まぁもう今日寝なよ 明日も仕事?」
「うん。」
「あんたも羽生やしたら? そんな稼いで
何するん?」
「んや稼いではいるが消えている。てか何羽って?
インターネットの流行りの言葉?下ネタ?」
「お前はもう終わっている」
「ヒデブゥーどぴゅっ、」
…..お互いに顔は見てないし声も顔も笑っていない
「うざっ」
「ちょーわかるっ俺もやだ」
兄の迎えに行ってたと伝えれば
夜中の逃避行も大きい顔ができる
あー兄は気が楽だ、うざいけど
7:27次は気配は殺さず
スチャ… ガチャ鍵を開けた。
気配は殺さないが
寝てる人が起きないようにくらいは
音には気を遣う。
「ただいまーー」
覇気のない声で 二人は玄関に入った。




