紹介
数日後の放課後——
学園の生徒会室には、いつもより重い空気が漂っていた。
生徒会役員と聖騎士団見習いの面々が整然と並び、
それぞれ緊張した面持ちで静かに席についている。
やがて、扉が低い音を立てて開いた。
「全員、揃っているな」
堂々たる足取りで入室するムスタファ。
王族としての風格が、室内の空気を一段と引き締めた。
「今朝、聖騎士団より正式な報告があった。
——結界石の修復が、昨夜をもって完了した」
小さく、安堵の息が漏れる。
だが、ムスタファの横顔は緩まない。
「ただし、瘴気の残滓はまだ残っている。
結界が戻ったからといって、油断はできない」
その一言に、自然と全員の表情が引き締まった。
「今後、聖騎士団見習いの活動は段階的に拡大される。
早朝訓練は明朝から再開。
学園内の巡回に加え、学外任務にも参加してもらうことになるだろう」
ムスタファはゆっくりと視線を巡らせる。
「……各々、覚悟を持って臨むように」
その声音には、決意と責任の重さが滲んでいた。
そして、ひと呼吸おいて——
声の調子が、わずかに変わる。
「最後に、一つ。
アルテリス、頼む」
「はい」
アルテリスは一礼し、扉へと向かう。
扉が開かれると、促されるまま三名の生徒が前へ歩み出た。
「新たに、生徒会員として二名、
聖騎士団見習いとして一名の一年生が加わることになった。
この場を借りて紹介する」
ムスタファは三名をまっすぐに見据える。
「順に、
ダニエル・ブロンデル殿。
サルバドール・ビアマン殿。
そして——ジャミーラ・シャマル嬢だ。
皆、よろしく頼む」
ざわり、と室内の視線が三名へ集まる。
好奇の色。
冷ややかな色。
評価する色。
そして、温かな色。
さまざまな意図を含んだ視線を受けながら、
三名は揃って丁寧に一礼した。
「「「よろしくお願いいたします」」」
ムスタファは視線を全員へ戻す。
「次に、新入生へ
生徒会員並びに聖騎士団見習いを紹介する」
軽く顎を引き、
最も近くに座る少年へ視線を向けた。
「まずは、俺の側近で副会長のアルテリスだ」
アルテリスは静かに一礼する。
「よろしくお願い申し上げます」
「そしてその隣、書記のルイーズ・ベルタン」
ルイーズは控えめな笑みを浮かべ、優雅に会釈した。
「ルイーズ・ベルタンです。
書類作成や記録のことでお困りのことがありましたら、
どうぞお気軽にお申し付けください」
続いて、落ち着いた雰囲気の青年。
「会計のエティエンヌ・デュラン」
エティエンヌは静かに立ち上がり、穏やかに一礼する。
「会計を務めております、エティエンヌ・デュランです。
任務で使用する物資や予算の管理を担当しています。
必要があれば、遠慮なくお声がけください」
その落ち着いた声は、どこか安心感を与えた。
「風紀担当のジャン・アダン」
ジャンは新入生をまっすぐに見据える。
「ジャン・アダンと申します。
規律全般を担当しています。
不安な点があれば、いつでもお聞きください」
ムスタファが視線を移すと、
隣の男子生徒が軽快に立ち上がった。
「行事担当のドナルド・ガイヤール」
「ドナルド・ガイヤールだ!
祭りや式典、行事の準備係ってところかな。
よろしく!」
その明るい笑みに、室内の空気がわずかに和らぐ。
そして最後に、ムスタファはライルへ視線を送った。
「俺の側近で庶務のライル・イルハン」
「よろしく!」
「同じく庶務のリュカ」
「よろしくお願いします」
「同じく庶務の
マリアノ・デルフィーノだ」
「よろしく」
室内が落ち着いたのを確認し、
ムスタファは改めて全員を見回した。
「以上が生徒会役員だ。
次に、聖騎士団見習いを紹介する」
「アルテリス。
ライル・イルハン。
ジャン・アダン。
ルイーズ・ベルタン。
リュカ。
この五名は、生徒会を兼務している」
「そして、もう一名。
ロベール・コルディエだ」
「よろしく」
「ブロンデル殿とビアマン殿には生徒会員として、
シャマル嬢には聖騎士団見習いとして、
互いに協力し、業務を円滑に進めてもらう」
そして、静かに告げる。
「以上だ。——新入生を歓迎する」
三名は胸に手を添え、深く一礼した。
こうして、ジャミーラと二名の新入生は正式に——
生徒会と聖騎士団見習いの輪へ迎え入れられた。




