平穏(?)な日常
「家族、、か。」
あのあと1時間以上の惚気話を聞かされ、
しばらく惚気は懲り懲りだと思いながら、
遠隔会議が終了し、胸焼けのする胸を抑えながら
そのへんをぶらついている。
(、、あそこの曲がり角で誰か話してるな。)
耳はそこそこ良いので、話が聞こえてくる。
どうやら友人と世間話をしているらしい。
だが、俺はその先のゲートに用事があるのだ、
問答無用で通させていただく。
「…」
カツ、カツ、カツ、カツ、
「それで妹がさぁ、、」
「分かるわ〜、うちの娘もなに考えてるかわかんねぇし。
年頃の女の子は難しいよ。」
「…」
世間話をしていた男たち、おそらく経理とか内務をしている
非戦闘員の社員だろう。
その男たちが俺を見ると血相を変える。
「「あっ!?お、お疲れ様です!」」
「ご苦労、私は用事がある、通るぞ。」
「「はい!失礼します!!」」
そう言い残し逃走する男たち。
(、、そんなに怖がるコトねえだろ。)
俺身長175cmとかそこらだぞ、
お前らと大して変わんねえだろ。
…そもそも論点が違うのか?
腹減ったな、あそこで飯にしよう、どうせねだられるし。
〜〜〜
「ご飯。」
「知ってた。」
俺は屋敷に戻っていた。
案の定というかリズがアイリスにひっつきご飯をねだっていた。
困惑するアイリスが気の毒なので、
大至急食事にする。
本日のメニューは、、
「ハンバーグにでもすr」
・・・ひき肉がほとんどない。
「仕方ない、少しかさ増しして麻婆豆腐でm」
豆腐もねぇ。
というかこの世界に豆腐はない。
「、、仕方ない、う〜ん、ラーメンにでもすr」
麺がねぇ。
困ったな、主食が無い。
量とカロリーのある物がことごとく無い。
「野菜はあるし、塊肉もある、、う〜む、」
アイテムボックスをゴソゴソすると、
なんということでしょう。
カレールーが入ってるではないですか。
「カレーライスにしよう。」
「かれーらいす?」
「カレー!?」
アイリスはカレー知らんか。
「じゃあ工程見せるからおいで。」
そう言い台所に入る。
「調理工程は簡単だ、
まず皆さんお持ちのSランク料理スキルを発動します。
そしたら、
野菜をこうバーって切って、
水をバーっていれて
火をバーってかけて
野菜に火をガーッとかけて
沸いたお湯に野菜と肉をなんとなくぶち込んで、
ある程度したらルーをぶち込んで
次元魔法で3時間弱飛ばしたら、、
はい。あっという間にカレーが出来ました。」
「ごめん工程もう一回聞いても良い?」
アイリスにそう言われるが、
説明してくれ、と言われてもな。
「だから野菜をこうバーっと」
「抽象的すぎるの!!」
えぇ、、通じない?
「じゃあ今度ゆっくり教えるよ。とりあえず食べよう。」
そう言い鍋を見ると、、
「ん?」
空っぽになった鍋と米釜だった。
「すっげ〜、5人前をたった1分で、、」
キュ〜
と、お腹の音が響く
「、、、お腹すいた。おかわり欲しい。」
「大丈夫だ、そんなこともあろうかと別の鍋もう一杯作ってある。」
「いつの間に!!??」
アイリスがもう一回教えて、といった際、もう一度作ってあった。
「そろそろ魔法が効くから。リズは大丈夫。」
そう言っていたら本当に効き始めたのか
「、、眠い。」
自由だなぁ、と思いながらリズを寝室に見送ると、
「じゃあリアとニーナ呼んでくる。先食べてて。」
「は〜い。」
するとアイリスがポツリと言った。
「空っぽだけど?」
、、、凄いな、10人前も食べてたのか。
さすがは暴食の権能。際限が無い。
「、、じゃあゆっくり教えるから、
作ってみようか。」
「うん。」
〜〜〜
「いたっ!」
「あぁ、野菜切るときは気をつけてねって言ったのに、、」
包丁で指先を軽く切ってしまったアイリス、
少し深めに切ったらしく、ポタポタと血がたれてしまっていた。
「痛そう、大丈夫?」
「大丈夫、、〘小癒〙」
といい、薄緑色の淡い光が灯り、傷が塞がった。
「?????????」
「ど、どうしたの?」
いや、、見間違いか?
「アイリス?今どうやって傷を塞いだ?」
「どうって、、小癒を使っただけ、、」
おかしい、、ヒールは神聖魔法のはずだ!
「アイリスはヴァンパイアなんだ、
神聖魔法を食らったり使えばダメージを受けるはずだ、、
そもそも人の道を外れているアンデットは神聖魔法を行使できない。
神聖魔法は、神や天使、加護を受けた者か、人間くらいしか使えないはずだ。」
「、、あ!?なんで!?」
また謎が増えた、、ヴァンパイアであるはずのアイリスが、
日光が効かなかったり、神聖魔法を使えるなど、、
「リズが喜びそうな話題だな、、」
研究者気質のリズなら喜んで食いつく話題だろう。
「後日試すとして、、じゃあ続きをしようか、
次に野菜に火を、、
〜〜〜〜
で、時間を少し飛ばせば、、
ここは普通に待てばいい、めんどくさいから飛ばしてるだけだし。
完成だ。」
「やっと出来た、、」
カレーづくりは中々難航した、
アイリスは貴族のお嬢様なもので、料理は嗜み程度しか出来ないため、
教えるのは難儀だった。
「まぁこれからゆっくり覚えればいいよ。」
「うん、じゃあリア達呼んでくるね。」
「大丈夫だ、10分位前から覗いてる。」
「「ギク、」」
「もぉ!!二人ともぉ!!」
プンプンと怒ってるアイリス(可愛い)
を見つめながらカレーをよそって、
運んでおく。
「では、いただきます。」
先に食べておくことにした。
「初めて食べるけど結構美味しいね。」
と、リアが言う
「ちょっと辛いけどね。」
ニーナも食べていた。
「、、、」
やめて、よだれ垂らしながら俺の首をみないで、、
「後でね、、」
「は〜い♪」
ニヤニヤとみてくる二人に呆れながら久しぶりの故郷の味に感慨深く思った。
「アイリス、部屋で話がある、先に行っててくれ。」
「ん?は〜い。」
と、部屋に行くよう促し、自分の皿を洗いに行く
「早っ!」
「私だって結構食べるのだよ、リズの200分の1くらいだけど。」
そういい皿を洗う。
かくして、俺はずっと考えていることを思案していた。
「家族、、か。」
先程の俺との会話を思い出す。
「家族はいいぞ、家に帰ったらおかえりって出迎えてくれるし、
一日の疲れなんて感じなくなる。帰れば家族が待っている、と考えると、
その日の仕事を頑張れる。そして何より寂しさなんて無くなるから、
心に余裕が出来るんだ。きっとリズも、
そのおかげで暴食の権能が弱まったんだと考えてるよ。
そうそう、今度娘たちとお出かけするんだ、
皆、特に赤と青は娘達に良くしてくれるから、
娘たちも懐いててね、本当に可愛(長くなるため以下略)」
「家族、、孤独か、、」
そうつぶやきながら部屋に入る
「やっと来た!いただきま〜す♪」
カプッ
速い、電光石火の如き速度で首を捉えられた。
アイリスに抱きつかれながらベットに腰掛けた。
しばらく吸われていると満足したのか、
離れてくれた。
「アイリス、相談何だけど、」
「どうしたの?」
俺は意を決して言う
「リズのことだ。」
そう言うと、アイリスは俺の顔を見つめる。
「リズが、、どうしたの?」
「知っているとはが、リズは俺が娘にように
大切に育ててきているんだ、だから、このままリズと関わりを持っているが、
構わないか?」
正直、どう言えば良いかわからないので、こう言うだけだった。
「そっか、私はいいと思うよ、まぁ、気にしないからいいよ♪」
そっか、良かった
そう思い、目を開くと、視線が壁から天井に向いていた。
「????」
なんで俺寝っ転がってるの?
「でも、それはそれとして、、」
アイリスはそうつぶやき、俺の顔を覗き込んだ。
「私ね、レイのそうやって静かに笑っている顔が、だ〜いすき♡」
目が紅く煌々と輝いているアイリス、
様子がおかしい。
一体何が、、?
窓を見ると、満月がかなり高くなっていた。
「満月の月夜はヴァンパイアの力が上がる、とは聞いたけどなぁ、、」
「大丈夫、、優しくするから♪」
あぁ、おわた。
ほぼ諦めたように魔法を唱えた
「〘時空間切断〙」
〜〜翌日〜〜
「ん〜!良い朝日だねぇ♪今日も良い一日になりそう♪」
「 」
「レイ?どうしたの?」
レイはポツッと呟いた。
「とてもつらい」
そう涙目でレイはこぼした。
「も〜、だらしないなぁ。」
レイはしょぼくれながらいつものスーツを着た。
「し、仕事あるから出てくる、、リズも今日は仕事らしいから。」
「そう、いってらっしゃ〜い!」
そう言いレイを仕事に送り出した。
さ〜てと、旦那さんがお仕事に行ったら、私は家事とかしてようかな。
「、、、」
窓のふちをなぞるが、ホコリのホの字もない。
掃除する必要が無いくらい綺麗だ、、
「洗濯物でも、、」
無い、
すべて綺麗に畳まれていた。魔法って凄い。
「そうだ、ご飯あげに行こ!」
そういいお庭に出てみる
「アスティー!みんな〜!ご飯だよ〜!」
するとアスティーが言う
「さっきあるじがみんなにごはんあげてたよ〜」
「そ、そっか!じゃあお昼になったらご飯あげに来るからね!」
「は〜い。」
「、、、暇だなぁ。」
旦那さんが完璧すぎるとこうもやることがないのだろうか。
旦那、、さんか、、
レイが、、私の、、旦那さん?
カッと顔が熱を帯びる
足をパタパタして悶絶する。
「はぁ、、、、、」
洗い物も無いし、お庭で跳ねるスライムを見ているのも楽しいけど、
体を動かしたいな、
「そうだ、ニーナたちと依頼受けに行こ!」
そう思い立ち、ニーナの部屋へ向かった。
「あ、アイリス、ごめん、ちょっと具合悪いから明日で良い?」
「え!?大丈夫?」
「ちょっと体が重いだけ、大丈夫だよ。」
「そう、、分かった、ご飯食べれそうになったら食べてね、」
「うん、おやすみ。」
パタン
「、、じゃあリアと、、」
〜〜〜
リアも具合が悪いらしい。
「流石に二人も体調が悪い人がいるから、お出かけは無しかなぁ。」
、、、はぁ、暇だなぁ、
指先で魔法を練習する。
「けっこういい感じじゃない?」
誰に言ってるんだろ。
「、、、迷惑かな、、」
そう思いながら指輪を軽く撫でた。
「もしもし?」
「ん?どうした、アイリス。」
レイの声が頭に響いてくる。
「リアとニーナ、具合悪くって外に出られないんだ、
それで、、その、、寂しくって。」
レイは少しおかしそうに笑うと
「しょうがないな、たしか黄(ハティー、)は暇してるらしいし、連絡しとくよ。」
「ありがと、」
「ごめんね、今ちょっと大量発生した竜1000匹抜きしてるから、オルァァァァァァ!!!!!937ァ!!」
竜と思わしき叫び声が響いてくる。
私の夫は一体どんな仕事をしているのだろうか。
そして勝っているのが意味不明である。
すると向こうから声が聞こえてくる
「レイ!上位種だ!200匹くらいそっち行った!」
「ハァ!?いい加減にせえよ!?最初200だったのにもう1200行ってるじゃねえか!
悪いアイリス、竜1000匹抜きから竜1000匹と龍200体抜きになったから1日位帰ってこれない、」
「そう、、気をつけてね、、」
プツッ
「、、、」
竜1匹で国が動くこの世界と比べ、今レイが行ってる世界はどんな終末世界なのだろう。
「大丈夫かなぁ、」
そう思っていると。
「やほ〜♪ハティーだよ〜♪」
急に虚空から現れたハティーさん
「あ、こんにちは、すいませんわざわざ、、」
「いいのいいの〜どうせ暇だったし。」
くるくると回っているハティーさん
確かフェンリルなんだっけ、えっと、何フェンリルだっけ、、まぁいっか。
「じゃあどこ行こっか!」
と、ニコッと言うハティーさん
「あ、いや、今仲間の子たちが体調崩していて、、」
するとハティーがくるっとこちらを見る。
「そっか、でも大丈夫、レイから聞いたけど通信魔法の魔石、二人とも持ってるんでしょ?
私転移魔法得意だから星の反対からでもすぐ帰れるよ!」
そういい私の手を引っ張って外に飛び出す、
「え!?あ、ちょ、、!」
「ほら行こ!冒険だ〜!!!」
そう言い私は背負われる、
途端
「はい!着いたよ〜♪ギルドここだっけぇ?」
瞬きをして目を開くと、眼の前にはギルドがあった
「え!?あれ!?さっきまで家の前だったのに!?これが転移なんですか!?」
凄い、魔力をほとんど感じなかった。
するとハティーさんは不思議そうに言う
「ん?たった1km弱でしょ?走ればすぐだよ!」
なんと、1kmの距離を瞬きをして開くまでの僅かな時間で走り抜けたと言うのか!?
スッと指輪を撫でる
「もしもし?」
「ぜぇ、、ぜぇ、、何だ、やっと1800体撃破したところ何だが、、」
しれっと600匹増えてるんだけど、、
「ハティーさんって足速いにも限度がない?家からギルドまで瞬き一回分で着いちゃったんだけど?」
するとレイは当然だと、言う
「なんせコウソクで走れるからな。」
「高速にも限度がない?」
しかしレイは不思議そうに言う
「高速じゃなくて光速だ、光の進む速度の方の光速だ。秒速30万km、
そうだな、家から王城まで0.002秒とかじゃないか?
詳しい原理は知らんが、全身を光の粒子で保護して、空気抵抗や摩擦を0にして
全身の質量をほぼ0にし、光の波長に乗って移動するそうだ、
俺でも追いつけないから鬼ごっこやかけっこだけはするなよ、
体力テストでは走る項目に限りハティーは最初から満点で印刷されてる。
光を超える速度は出せないからね、それにそれはあくまで普通に走る速度だ、
全力で走れば多分光を追い越せるんじゃないかな。」
「それは、、凄いね、、」
「あぁ、凄い、俺でも軌道を計算して全力で追い込んで5回に1回捕まえられるかどうかってとこだな。
コツは直線で逃げられないようにし、最短距離を走るんだ、
カーブ軌道をいかに詰めるかが追いつく鍵だ。」
そしてなんで捕まえられるの?
「アイリス〜?依頼受けたから行こっ♪」
「あ、は〜い、じゃあね、レイ。」
「え?依頼うけんのか?ハティーと?ちょ、それはやば」
プツッ
「旦那さんとお電話もいいけど〜、先に依頼いこ〜♪」
しれっと通信をぶった切ったと宣言するハティーに背負われ、
自分の命運を心配しながら、依頼先に行くのだった。




