吸血鬼の訓練
「ただいま〜」
と、どこからともなくレイが帰宅する。
「おかえりなさい、」
なんか空気重くないか?
「それより見てくれ!これ!」
なぜか腕が鎌のような形状になっているレイ
「面白いだろ!高位の鎌鼬を見つけたんだよ!」
「そうかい良かったねこのシリアスブレイカー。」
アルトがそう吐き捨てるように言った
「ひどぉ、鎌鼬ってのは大体人形が取れるようになる前に上位の妖怪に
食われるのが常なんだぞ?レアだぞレア!しかも大百足に九尾の狐、八岐之大蛇なんかの大物も目白押し!いやぁ〜やっぱ良いねぇ異界巡り!」
それを聞いたアイリスはなぜかしょんぼりする
「いいなぁ、私も、もっと強くなれたらなぁ。」
しかし、そんなことはないのだ。
「何を言うか、アイリスはヴァンパイア固有魔法、血液を媒体とする血魔術が使えるはずだぞ?」
「血魔術?」
「よし、ついてこいアイリス、クエストで暴れるぞ!」
そう言いドアを開ける
「あ、ダメだ、いま昼だわ。アイリス焼け死ぬなこれ。」
しかしアイリスは横を通り過ぎる
「あ、待て!」
そう静止しようとした俺、だがその言葉は止まった
「どうしたの?」
「 」
なぜか日光の下で笑うアイリス
それを見ていた他原色も絶句していた。
当然である。ヴァンパイアの真祖ならともかく、
ヴァンパイア・ロードが低位の対策法、
十字架やにんにくとか杭ならともかく
日光、流水、神聖な魔力、銀製の武具は耐えられないはず、
特に日光や神聖な魔力は決定的に無理なはず。
「アイリス、ちょっと来て。」
リズがアイリスの瞳を覗き込む
「やっぱりヴァンパイア・ロードだね。疑う余地もない。」
リズはブツブツと考え込んでいた。
「多分人間がヴァンパイアの血じゃなくて魔力で変異した形だから
いや、そもそも膨大な魔力を取り込んだだけでなんでヴァンパイアに?
いやそもそもヴァンパイアではなくなんで上位種のヴァンパイア・ロードに?
そもそも変異するとしても人間の上位種のハイ・ヒューマンでは?
まさか、、魔物の特異性を保持していたのか?
いや、魔物の特異性を保持していたなら、リッチーでもなんでも人形の魔物なら何でも良いはず、
いや、たまたまヴァンパイアになったのかな、いや、そもそもなんで、、ブツブツブツブツ
ナンカアタマがヨサソウナコトー」
「はーい、リズ。ストップストップ。」
このままほっとくと検体をくれ〜この薬剤を打ったらどうなる〜?
というマッドな思考が入ってくる。
「まぁまぁ、一旦帰るから、じゃ。」
〜〜〜〜
「今回の依頼を発表しま〜す!」
ニーナが依頼書を読み上げた。
「墓場に大量に湧いてくるグール討伐!」
よし、頼んだ通り大量に湧く雑魚敵依頼だな。
「リッチーの群れでも良かったんだがなぁ」
「死ぬよ?」
リアのツッコミを横目に
アイリスを見た
「今回はお前の能力を活性化させるため、よーするに血魔術の訓練のためにグール退治を受けたのだ。」
「血魔術って何ができるの?」
アイリスの質問に答える
「攻撃、身体強化、武具生成、敵の妨害、トラップ設置、と多岐に渡る万能性を持つ。」
「中々便利ね。」
「しかもヴァンパイアの能力は血を媒体とするから相性がいいんだ。」
「面白そう!えーっと、こうかな〜〘赤燐双花〙!」
アイリスの指先が紅く光り、閃光を伴って斬撃が飛び交う
「ぬがぁぁぁぁぁぁ!!??〘魂障壁〙!」
バギャン!!
「こうなるから、、訓練しようね、、」
「、、、ハイ。」
こうして俺達は墓場へ向かった
〜〜〜〜
「ここが墓場だ」
「なにそのセリフ。殺されそう。」
どんよりした空気、いかにもグールの巣である。
「あ、あ、」
「だれか喋った?」
全員首を横に振っていた
振り返ると、
「あそ、、ぼ」
女のレイスがニタリと笑った、その時
「レイスはお呼びでない。〘還れ〙」
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
シュワァァァァァ、、
「き、気の毒に、、」
出会い頭に退散させられたレイスに同情しつつ、
奥に進んだ。
突然、墓の土が盛上がった。
「ッ!来た!」
アァァァァ、、
「グールだ、さぁ、やってみたまえ!」
「相変わらず丸投げかい、、」
そう言い構えるリア達だったが
グールの様子がおかしかった。
グールがふらふらとアイリスの元へ歩いていく。
グールはアイリスの前で恭しく頭を下げた。
「、、、なにこれ」
俺はそう言えばと、思い出した。
「グール、その本質は低級吸血鬼。本能的にヴァンパイア・ロードのアイリスに
屈服したのだろうな。」
、、、
「スゥーーー」
、、、
「血魔術の訓練にならんだろうガァァァァァァァァ!!!!
見てろこれが血魔術ダァァァァァァァ!!!
〘赤烈閃刃〙!!!」
紅い閃光のような刃でグールを木っ端微塵に吹き飛ばした。
ウガァァァァァ!!!
「あ、上位種。」
「〘烈穿血閃〙!!」
手を真っすぐ伸ばし、両手の平を合わせ、超高圧で血を打ち出す、
細かい血栓を血の中に混ぜ、削り取るように撃ち出す、
そう、ウォーターカッターという工具をモチーフとして作った魔法だ。
しか〜し!これは魔法で打ち出してはいるものの、
性質としては物理、結界ごと貫く特殊攻撃だ!
「ヒャッハァ!真っ二つになれやァァァァチクショォォォォォォ!!!」
かくして、依頼は達成した。
〜〜〜
「よしよ〜し、飯だぞ。」
「キュー♪」
覚えてる方はいるだろうか、
白いウナギのようなのっぺりしたモンスター
アースサーペントの変異種である
「おまえ相変わらず顔の作画力が低めだな。」
「キュ〜。」
「しゅじ〜ん、ごは〜ん」
「へいへい、アスティーも飯な。」
「レイ〜、ご飯作っとこうか〜?」
「ニーナ、俺がご飯作っとくから待っとけ〜。」
「レイ〜、ご飯沢山作って〜」
「お〜しれっと混ざるな〜リズ。」
はぁ、とりあえず飯を作ってくるか。
「食欲が絡むと人も魔物も対して変わらんのやな。」
「レイ〜ごは〜ん。」
アイリスがトコトコと近づいてくる
「あぁ、今食事を作、」
カプッ
「、、、痛ぇ。」
あ〜、、魔力と血がチューチューされる〜、、
「アイリス、他の血液じゃ、、」
「いや〜、魔力濃度が高くって〜、一番美味しいんだよぉ、それに、、」
アイリスは顔を少々赤く染めると、
「私が他の人の血を飲んでもいいの?」
ポク、ポク、ポク、ポク、チーン
「それは嫌だな。今後も俺から吸っておけ。」
「でしょ〜♪分かってる〜♪」
それを窓から見ていたリナとニーナ
「なんか闇を見た気がする。」
「ね〜。」
〜〜〜〜
「〘旋血刃〙!」
ゴリゴリゴリ
「そうそう、そうやって血を硬質化させて相手を切り刻む、」
「け、結構簡単なのにえげつない魔法だね、血魔術、」
俺は相変わらずアイリスに血魔術を教え込んでいた。
「これ、皆に教えれば結構な戦力増加になるんじゃない?」
そういうアイリスに俺は、
「普通の人間がそれをやったら良くて貧血で失神、出力を誤ったら失血で死ぬな。」
「、、やめときます。」
「よろしい。」
アイリスがトコトコ歩いて隣に座り、もたれかかってくる。
「疲れちゃった、」
「そ、そうか、無理はするなよ。」
「大好き。」
「、、俺もだよ。」
・・・
「あの〜先生、、、私がいるのをお忘れなく、、」
と、ミコトに突っ込まれ現実に引き戻された。
「あ、お構いなく」
「構いますよ!!今私の授業中ですよ!!?」
「そうだったな。」
スッと何事も無かったかのように立ち上がり、授業を続けた。
「では転移魔術の応用だ。」
「しれっと伝説級の魔術を出さないでください。
それ本来は祭壇とか使って時間をかけて座標を登録するんですよ。」
貴族の婚姻用のレターとかも、直接の刻印ではなく、転移の使用権である。
「まぁいいだろ。では応用編。コチラの何の変哲もないティーカップの皿。
これで金属の的を破壊します。」
「陶器でどうやって、、?」
狙いをつけて、、
「〘転移〙」
なんということでしょう、金属の的に陶器の皿がめり込んだじゃありませんか。
「ようするにこの陶器の皿の情報を金属の的の上に上書きしたんだ。」
第一王女は半笑いで言う
「そんな使い方する人初めて見ました。」
「随分反応が薄いな。」
ミコトは諦めたように言った
「もう先生に常識を求めるほうが馬鹿だと悟りました。」
いくらなんでもひどくないか?
「おいおい、俺がまるで人外みたいじゃないか。」
「人外以外の何者なんですか?」
そんなことをいわれても。
「現在俺は人間だった頃の姿を完璧に模倣、遺伝子レベルの合致だぞ。
要するに頭から爪先まで人間以外の何者でもない。」
「へぇ、先生って人間だったんですね。」
「人間だわ失礼な、」
「人間ですね。」
「ルビに悪意を感じる。」
しかし、、とミコト
「アイリスさんは本当にヴァンパイアに、、人間が魔力だけでヴァンパイアになるなんて。
そんな不思議なこと、本当にあるんですね。」
俺はその言い方に違和感を覚えた。
「まるで一度あったような言い方ですね王女サマ。」
ミコトは懐から本を出す
「先生になら良いでしょう、正直先生に出せと言われて反抗できるものなど王族でも無理でしょうし。」
「これは王族のみが教えられる、人間の魔性変異の記録です。
人間は通常、膨大な魔力を注ぎ込まれれば肉体が崩壊、死にます。
ですが、稀に王族や貴族の中に、紅い目を持つ人物が生まれるらしいのです。
最も、ここ数十年見られませんでした。
その人物が膨大な魔力を注がれると、人型の魔物に変異する事がある。
という記述があるのです。」
(要するにアイリスがそれなのだろう。しかし、、そんなの聞いたことがないな、
おそらくこの世界固有のものだろう、後で報告書を書かなくてはなぁ、)
そんなことを思っていると
「過去にはゴブリン、コボルト、オークなどの下位の魔物から、
稀に竜人、リッチーなど。しかし、ヴァンパイアになった方は初めて見ました。
よほどヴァンパイアに特性があったのでしょうか。」
特性とかあんのかい。
はぁ、、7兆年も生きてきてそんなの初めて聞く、
500億年くらい暗黒に閉じ込められたこともあったし、何が起こるかわかんねえな。
全く、長生きはするものよなぁ。
あ、とミコトが思い出したように言う。
「明日、楽しみにしてますね♪」
ん?明日なんかあったか?
「え?あるじゃないですか。婚姻発表。」
『え?』




