目覚め
「アイリス、、」
1週間程前、俺が結婚した女性、
しかしその日からなかなか熱が下がらない、
俺はずっと隣で見守っていた、
あらゆる病を解析したが、状態は変わらず{健康}のままだった。
ちなみに、俺の反動自体は1時間程度で完全に回復し、
王城の医師たちがドン引きしていた。
「レイ、アイリスは平気そう?」
今日もリアとニーナは来てくれた、本当、いい仲間を持った。
「いや、今は奥さんって言ったほうが良かったかな♪」
ニシシと笑うリア達、
、、前言撤回、コイツラはコイツラだ。
すると医師達が様子を見に来た。
「スティアール・レイ伯爵、本日もいらっしゃいましたか。」
、、そう、この1週間で、また一つ階級が上がった、
理由は、ディゲス元第二王子の企みの阻止と、謎の男(天界の使徒団)の討伐、
前者はともかく後者は身に覚えがない、とすっとぼけたものの、
第一王女の
「あんな天災を吹っ飛ばっせる生命体が他にこの国に居るなら呼んでくれて構いませんよ♪」
、、という説得によって認めざるを得なくなり、このザマだ。
そういえば、、あの後ディゲス元第二王子は、
国家反逆及び侯爵令嬢殺害未遂、並びに第一王女へのわいせつ行為により、
翌日に公開処刑を執行される、、はずだった、
その当日の朝、ディゲス元第二王子は、
恐怖によって歪んだ顔と、体内の内臓、及び血液が全て消失し死亡していた。
おそらく、天界の使徒団によって消されたのだろう。
「スティアール伯爵、そろそろお休みに、、」
「あぁ、、全然平気だ、」
医師たちは困ったように言う
「いや、あなた一週間ずっと、飲食も睡眠もしていないじゃないですか、、後生ですから、
寝てくださいませんか?」
へっと笑うと
「冗談だろ?たかだか1週間じゃないか、
私達は最大10年飲み食い睡眠なしで活動できる。11年は、、ちょっと厳しいがな、、流石に動けなくなる。」
「逆にいいますがねぇ、、10年も動ける人間なんていませんからね?」
、、、そんなもんか。
「しかし、、なかなか下がらないものですねぇ、、」
医師たちも同意する
「えぇ、、原因もわかりません、申し訳ございません。」
「いや、今のところ命の危機もない、大丈夫だろう。」
医師は感心したように言う。
「しかし、まぁすごいですねぇ、、このマスイとやら、、魔法で神経を麻痺させる従来の方法より、
安全で効果が高い、、」
全身麻酔、、というよりかはアセトアミノフェンを始めとしたフェンタニルなどの解熱鎮痛剤を
点滴で入れている、
「まぁ、こっちは平気だから、他の患者さんを当たんな。」
「はい、失礼します、、」
スゴスゴと帰っていくい医師たち
はぁ、、何故目が覚めない、、俺の体液を人間に摂取させたことなど、
敵組織を壊滅させるために血液を散布させたことくらいで、
治療のため摂取させたことはこれが初めてだ。
なぜ目が覚めないか、理由がわからない、
こっそり白に見てもらったが、
「変な感じだ。何処かで見たような、、不思議な感覚だ。」
そう言い残し、去っていった。
「ふ〜む、日に日に魔力が増大しているな、、何故だ?」
静かに眠るアイリスの魔力が増大しているのを感じる、
最初こそ、高位神官程度の魔力だった。
一日、一日、
どんどん魔力が増加していく、
2日目には高位神官を一回り越し、
3日目には聖女の3分の1、
4日目にはさらに3分の2、
5日目には聖女に匹敵する魔力
6日目には聖女を二周り越し、
そして今日、
7日目には、一般人の限界値を超えかけていた。
「それなのに何故、、何故制御が完璧なんだ?」
普通なら、魔力が暴走し、肉体が崩壊する、なのに、外部に漏れている魔力は正常値だ。
静かに寝息を立てるアイリス、魔力が限界突破しかかっている、それ以外は何の異常もなかった。
「もうこんな時間か、月が綺麗だね、そろそろ起きてくれても良いんじゃないかい?」
8日目、一般的な限界を超えた、ここまでなら今まで何回か見たことがある。
9日目、急速に魔力が増加した。そろそろ人間の限界値に近づきかけていた、
10日目
相変わらず魔力が増加していた、ついに限界値に届いた、
「そろそろ増加も止まったかな、」
1時間毎のチェックをして、、驚いた。
「まじかよ、、」
限界値を超え、増加し始めている、
〔白、今良いか?〕
〔何だい、〕
通信を行う、
〔アイリスが、人間の魔力限界を超えた、あり得るか?〕
白は思考を一巡させ、
〔無理だね、覚醒しようと、勇者だろうと、
人間はその値以上の魔力を保有することはできない。例外を除いてね、〕
例外1、魔物などの魔力に適した体を持つ生物、魔力に適した体を持つため、上限値がかなり高い、
例外2、神などの上位存在からの加護による器の強化、
例外3、外部から常に魔力を供給を受ける。
例外4、俺、その他調律者など。
「今日は月が満ちる日だ、魔力が最も高まる午前0時、変化があるなら、もう間もなくだろう。
何事もないなら良し、変化があったら、、どうするかな、、」
11時59分15秒、、
29,
カチ、カチ、カチ、カチ、
秒針が時を刻む、
47,48,49,50,
51,52,53,54,55,56,57,58,59,
60。
カチ、カチ、カチ、カチ、
1分経過、
カチ、カチ、カチ、カチ、
3分経過、
、、、
「変化なし、、嬉しいような、悲しいような、、
なぁ、アイリス、満月が綺麗だぞ、雲一つない晴天だ。
見たほうが良いと思うがなぁ、、
本当、綺麗だな。」
「そうねぇ、、」
「あぁ、、」
、、、
「あぁ、、アイリス?」
「どうしたの?」
美しい白銀の長髪、紅い瞳、
生糸のような綺麗な肌、
私の初恋の人だ、、
「おはよう、、いや、こんばんは?」
「レイ、おはよう、」
待ち望んだ声だった、
普段は音速で過ぎてゆく10日が永遠に感じた、
「体は平気か?」
「えぇ、なんだか今日は体が軽いのよ、なんでだろう、、」
ふーむ、何故だ?
「レイ、、」
「ウオッ、」
ふわっと急に抱きついてくるアイリス、
「お、おい、急にどうした」
カプッ
「、、、なんで噛んだ?」
「、、ふぇ?な、なんでだろう?」
、、え、あ、まさか?いや、、まさかねぇ、、
俺はピッと指先を噛む
「、、、ほれほれ、」
つつ〜と垂れる俺の血
「、、、」ジュルリ、、
口から、たら〜っと涎を垂らすアイリス
「おま、、まさか、、」
ハッと驚くアイリス
「な、なんで、え?どうして、、」
ゴクッ
「、、〘審判眼〙」
審判〔種族 ヴァンパイア・ロード〕
「、、、、」
いやいやいやいや、待て待て待て、ウェイトウェイト、、
見間違えだ、うん、きっと見間違えだ、見間違え、、
審判〔種族 ヴァンパイア・ロード〕
ヴァンパイア・ロード、、
確か、、吸血鬼の上位種族、ヴァンパイアを統べる王、女王を指す種族。
「アイリス、ちょっと見るぞ、」
「え、あ、ちょ!」
瞳を覗き込む、
美しい赤色、だが、瞳孔の奥に、僅かに光る紅い光があった。
真っ暗な中で、0距離で専用器具でも使わないと、認識すらできない
僅かな光、
そして、口を少し引っ張る、
綺麗な歯並び、、だが、犬歯が僅かに鋭くなっていた。
あぁ、、間違いない。
「アイリス、、お前、、お前、、ヴァンパイア・ロードになっているぞ、、」
「ふぇ?」
〜翌日〜
「なるほど、、で?それでさっきからレイはアイリスにガジガジされてんの?」
「あぁ、、うん。」
先程から首筋に歯を突き立てられ、
血をチューチューされる俺、
そして吸い続けるアイリス、
「えっと、、そろそろやめてくれないかな、、」
アイリスは不満そうに言う
「だって、レイが私をこんな体にしたんでしょ?責任取ってよね、」
でもってやめてくれないアイリス。
「言い方に語弊があるわ。」
「だって、お腹すいたんだもん。」
「しかし、噛みながらよく喋れるな、、
というか、私はミスリル以上の刃物じゃないと通りすらしないはずだが?」
「なんでだろぉ、、」
あぁ、、魔力が吸われていく、、
リアが不思議そうに言う
「あんたも器用よね、噛まれながら食事しつつ会話するなんて、」
「まあ、触手の先にある口を食事に突っ込んでいるだけだがね。」
「というか、、あんた食事いるの?」
ため息をつきながら言う
「あった方がいいってだけで、必要はない、
とはいっても、無いと辛いね、食事無しで10年以上経てば、パフォーマンスが
半減するだけだ。」
ニーナがため息を吐いた
「いいなぁ、不老不死、私もそんな能力あったらなぁ。」
俺はその言葉にムッとする
「不老不死ではないわ、不老で死なないだけだ。」
「変わらなくない?」
否定する
「違うな、言い方に語弊があったな。不老で、死ねないだけだ。」
ハテナが浮かぶ3人に教えてやることにした。
「俺達原色調律者は、ある事件をきっかけとし、神々により死ぬ権利を剥奪された。」
「死ぬ権利?、、死ぬのは怖いよ、無い方が、、」
「必要さ。」
「死ぬ、とは解放、終わりだ。
終わりがあるからこそ一生は輝く、
終わりがなければどうなる、世の中には安楽死というのもある、
苦痛に呑まれ、終わらせてほしいと懇願するものもいる。
大切な者を失い、後を追いたい、来世こそは、と神に祈るものもいる。
しかし、死ねないとは、そのすべてを奪う。辛いぞ、見送ることしかできない者は、
まぁ、、俺達が死ぬには2つしか選択肢がなくてな、まぁのんびりやってるのさ。」
ニーナは申し訳なさそうに
「ご、ごめん、、」
と謝った。
するとアイリスはうへっと笑うと
「まぁ私もそっち側何だけどね。」
「それはすまん、、でもまぁ辛くなったら言ってくれ。」
俺はアイリスの手をキュッと握ると、
「その時は一緒に朽ちるから」
「重いわァ!!」スパァン!!とニーナに後頭部を叩かれる
「レイ、、」
「そしてアイリスもなんでときめいてるのよ、、」
かくして今日も平和(?)に一日が終わった。




