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第19話 宿敵

「おう、帰ったか」

 最初に来た部屋と同じ部屋でヘルレイムは待っていた。

「はい、ただいま戻りました。それで様子はどうでしたか?」

「ああ、北方に異常は見当たらなかった。魔族が捕らえられた、という報告を聞いて何か動きがあるかもしれないと思ったが変化なしだ。だが何か不穏な気配を感じたのは確かだ。これからも警戒を怠らないようにすべきだろう」

「そうでしたか……。迷いの森捜索以降動きがありませんね」

「ああ、唯一の生き残った者の話では下半身が蛇で腕が何本もある魔物がいたという情報のみだ。生き残れたのも鼻が利くオーク族だからだろう」

 ヘルレイムとアンナは二人ともかかった靄が晴れない、といった表情をしていた。

「おう、パーが来ていたな。辛気臭い話をして悪かった。お前さんにはここで訓練して、できるだけ強くなってもらいたい。その後期間は空くが再び北方の森、迷いの森捜索へ行くときに、できれば一緒に参加してもらいたい。そこでお前の力を発揮してほしい。これは任意だ。それから訓練で教えるのは、そこのアンナだ。私は槍を扱えんのでな。オーク族は槍術の猛者が多いが、アンナに勝てる者はここにはいない。教わる相手としては申し分ないだろう」

 アンナはそんなことはないという感じで首を横に振っていた。

「アンナさん、そんなに強かったんすね。これからよろしくお願いします」

「ええ、パーさんは今でも十分お強いですが、鍛錬を積めばもっと強くなって私など簡単に追い抜くと思いますよ。ただ、訓練生には先ほどのダロスもいまして、何も問題がなければよいのですが……」

「またあいつか……、困ったものだな。強くて仕事もしっかりこなしてくれるのだが、性格に問題があるからなあ」

「私がよく注視するようにします」

「ああ、頼んだ」

「おいらは全然気にしてないっすよ」

「パーさんにそう言ってもらえると気が楽になります」

 ヘルレイムとアンナは少し安堵の表情を浮かべていた。

「あの、ちょっと気になる事があるんすけど」

「なんだ?」

「さっきの腕がたくさんある蛇がいたとかっていうのが気になって」

「ああ、多分ナーガという魔物の可能性があるな」

「ナーガ! やっぱりペー様が言ってた魔物と同じっす。昔その魔物に襲われたことがあるから、見つけたら戦わずに逃げろって言われてたっす」

「そうか……、なら捜索はいかないほうがいいな」

「いや、いくっす。この目でそいつを見ておきたいっす」

「それは心強いな。だが無理はするなよ」

「はいっす」

 こうしてイズリットでのパーの訓練生としての生活が始まるのであった。

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