66. ガンギルダの今後について会議しよう
ガンギルダ司祭の件を片付けた俺達は、別の場所に転移させておいた国王と王子に姫様を助け出して、改めて面会をするために向かった。
転移先は王子たちが乗っていた馬車にしておき、外にも逃げられるようにしていたが取り越し苦労だったな。
王子たちと再開したが、長い間司祭に憑依されていた国王は肉体の衰弱が酷く、体調回復まで時間がかかるようなので一旦自室で休息して貰うよう王子たちが手配したようだ。
国王を一旦除いた王子と姫様を交え、今回の件について臨時報告会を開くため議事場に集まり俺から報告を始める。
まず、司祭については裏で暗躍する魔物が取り憑いていた事。
人の心にある弱みに付け込んで相手に憑依される危険が存在している等だ。
王子は俺から報告について驚きながら今まで起きた事実に納得していているのが感じ取れる。
「司祭の正体は魔物だった、そして裏で父上を操っていたと…なるほど、だから今までと別人のように振る舞っていたのか…」
「はい、奴らは人の心が弱い部分につけこみ他社の体を乗っ取ります、だから心を強く持つことが必要です。当面の脅威である司祭は私達にて討伐いたしました」
「父上にも何かに付け込まれて憑依されたのか…わかったありがとう」
ここで今後のガンギルダ運営について、俺から考えていた幾つかの提案をだすことにした。
「今回の件でお解りでしょうが、正教国家に関連する人物をガンギルダに入国させた場合、また同じ事が繰り返される可能性があります。そのため正教国家に与する人物の入国禁止を進言いたします」
「それは確かにその通りだな…今後正教国家に関連する人員を入国禁止措置にしよう」
「次のご提案ですが、正教国家の息がかかっている貴族連中の資産を没収し、国から追放してください」
「なかなか厳しいことを言ってくれるな…我が国も法治国家だから、彼らも国王に従っていただけで明確な罪状がないのに捕らえることは難しい。それは解ってくれるか?」
「それは解りますが、このまま野放しにすると正教国家が貴族を利用して同じ事を繰り返します。国家運営は信頼できる貴族のみに制限してた方が安全です」
「そうは言うが、貴族達は王国への徴兵や国で働く民たちへの仕事斡旋もあるので簡単にはいかないぞ…」
「では、国王の権限で一つ法を決められないでしょうか」
「法とは、一体何を決めたいのだい?」
「それは、国家治安維持法です。国王に無断で正教国家に情報を流したり、正教国家に与する人物を国内に連れて来るのを禁止し、国内の政治を不安にする人物を法で裁くことを可能にします。破ったら資産全部没収で国外通報処分にするという事で」
「なるほど…国の治安維持を強化する事を目的とした法案か。確かにそれは実現できる可能性はあるな…」
「私はガンギルダの安定を望みます、できればご検討ください」
「わかった、そちらは実現に向けて進めよう」
そして、次だこれをやらないと国がもとに戻らない。
「ありがとうございます、では次に国にある教会を破壊させてください」
「それは何故だ?信仰の対象を壊すことに問題はないのか」
「教会は恐らく民衆を何らかの形で洗脳しています、あの施設を破壊することで民が自由意志を取り戻す可能性が高いです」
「民まで司祭が作った教会にて操られていると?」
「はい、こちらに来た時に民衆の様子が明らかに異常でした、誰かに操られているような雰囲気がありましたので、教会が恐らく根源かと存じます」
「解った。許可しよう。どちらにしろ正教国家の息が掛かった施設が存在するのは望ましくないからな」
そして一番最重要目的について、王子との交渉だ。
「最後にドイラム村を私達の独立領地として割譲していただきたいです」
「ドイラム村を?確か今では過疎が進み食料生産も乏しくなった村と聞いているが何故だ?」
「私は今ドイラム村の復興を進めています、食料事情も改善しつつあり今後の発展も見据えて独立したいのです、今回の司祭討伐の報酬としていただきたいのです」
「…領地を割譲か、なかなか難しい事だな」
俺の提案を聞いて姫様が言葉を上げた。
「お兄様、私はパルテ様にお助けいただきました、グレインダイク領地の問題も国の問題も解決していただきました、領地一つ与える程の功績だと進言します」
王子は考えているようだ、
「…わかった、ドイラム村を君たちの領地として渡すことを約束しよう」
「王子、ありがとうございます」
「ひとつ聞く、独立した後も我々と有効な関係を築いてくれるだろうか?」
「はい、できればガンギルダとは友好関係を築き共に発展させていただければと存じます」
「その言葉を聞いて安心した、これからもよろしく頼む」
全ての事案について話がついたところで王子からある提案が出された。
「では、私からひとつお願いがあるのだが」
「はい、なんでしょうか?」
「パルテ殿、貴方を私の妃として迎え入れたいのだが承諾していただけないだろうか?」
全く予想もしてなかった王子の提案に驚く。
なんだって!?俺を嫁だっていや待ってくれ中身男なんだよ。
こちらが答えをだす前に姫様が驚き大声で問いただす。
「ええっ!?お兄様本気ですか!?」
「ああ、彼女こそ我が伴侶に相応しい人物だとは思えないか?思慮深く更に強くて頭も切れる女性、こんな最良な人物は他にはいないぞ」
これは、ハッキリと断ったほうが良いと思い、断固拒否の姿勢を貫く。
「…好意を寄せていただくのはありがたいのですが、私には既に婚約者がいて近々結婚する予定なのです」
「え…そうなんですか?」
「申し訳ないですが、国の助力を行わせていただきますので、そちらでご勘弁ください」
「そうですか、それは残念です…」
打ち合わせも終わったことだし、帰るとしようか。
席を立ち上がり退出しようとしたところで、王子から饗しの案内をいただく。
「パルテ殿、今日はもう遅いので宿を取らせていただきました。そちらお休みいただいてまた明朝にでもお帰りください」
「え?いいのですか?」
「はい、クラリスに案内させますので、彼女にお尋ねください」
俺達は、王子が手配してくれた宿に向かい今日の疲れを取り、明日帰宅する事にした。
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