15. ドワーフ国からの戦士襲来 (ドワーフ娘って可愛くね?)
ウンディーネのティナから依頼されたカニもどき討伐騒動から新たな食料源を見つけた俺は、次の目的として塩作りを進めていた。
数日間煮込んだ壺に塩がたまり、そろそろ出来頃であった。
あいも変わらず自分で味見が出来ないので、エルフ三人娘に頼んで味を見てもらった。
「普通の塩ですね、少し苦いですけど」
「よくある塩より少し苦みを感じます」
「にがーい…」
作る際に少しアク抜きが足りなかったか、次作る時には気をつけようと思う。
塩作りと農作物の様子を見ながら村でのんびりと過ごしていたら、村人の一人が慌てたように走って俺の元にやって来た。
「ま、魔王様!武装したドワーフの集団がこちらに向かってきています」
「何だって?数はどれくらいだ」
「おおよそですが15名ほどです!」
「すまない!誰か森に行ってリブラを呼んできてくれないか」
俺の言葉を聞きエルフのエレーナが俺に声をかけて森へ向かっていく
「私が行ってきます!」
俺が村の入り口で待ち構えていると太陽の光を浴びて白と金に輝く鎧に星の紋様を掲げた女性を思わせる人物を先頭にドーワフらしき集団がこちらに歩いてきている。
先頭の娘は鮮やかな薄紫色の髪を双つ結びにしており、ルックスは大きな目にタレ目な感じだが凛々しさの中に可愛さを見せている、そして背中に背負った槍のように見える長く細い大きなハンマーと推測される武器を背中に担ぎ堂々と歩いて来た、近くへ来た彼女達は一度だけ村を見渡してから、俺の前でゆっくりと歩みを止めた。
この世界に来てドワーフという種族を始めてみた。
男のドワーフはよくあるファンタジーものに出てくる樽の様な体型で全身筋肉質のようで見知った感じだが、女性は背が小さい普通の人間と変わらない小中学生位の女の子みたいだな。
俺が考え事をしていると相手のリーダーと思われる娘が話しかけてきた
「私はドワーフ王国七賢人の娘『ルコット=ボウラノームだ』お主は何者だ?」
「我が名は魔王バルテオスだ、元魔王だがな」
「魔王バルテオス?あの最強最悪の魔王軍の親玉か!?どうみてもただの黒い農家のおじさんにしか見えないんだが…?」
「見た目はそうだが元魔王だ、我はこの村で普通に過ごしているのだ」
「それを素直に信じろと?邪悪なオーラを身にまといながら笑わせる、お主が村を支配してここから魔族を色んな場所に向かわせているのだろう?」
「魔族を向かわせてる?何を言ってるんだ?」
「とぼけるな、貴様が送り込んだ魔族と我が国は今も激しい死闘を繰り広げている、貴様を倒せば状況も変わるという事だな」
「何のことだ…俺は知らんぞ第一俺はもう魔王軍とは関係ない」
「うるさい、御託は聞き飽きた!我が攻撃を受けてみよ!」
ドワーフのルコットは背中の武器を手に持ち、猛ダッシュで俺に向かってきた。
小柄な体とは思えない物凄い踏み込みの距離と速度だ、距離を詰めた彼女はハンマーを振りかざし攻撃を当ててきた。
対抗してこちらは防御魔法で相手が繰り出すハンマーの一撃を防いだかに思った、だが相手の武器は防御魔法をまるでガラスを割るように破壊し金槌部分を体に当ててきて、俺の体を吹き飛ばしてきた。
飛ばされながら体勢を取り戻し考える、なんだこの武器は?防御魔法を壊す能力でもあるのか。
「どうだ、私の『アルカナハンマー』の一撃は?貴様の魔法など打ち砕いてくれる」
戦いの最中、先程呼んでくれたリブラが俺のそばに飛んできた。
そして彼女と一緒にリアも来てくれた。
「バル様?平気ですか?相手はかなり強そうですが」
「ああ、大丈夫だ、一撃を食らったが今のところ問題ない」
新たな伏兵の参上に加え、ドリアードのリアまで表れたのに皆が驚いていた。
「ど…ドリアード!?森の精霊女王が何故こんなところに!?」
「皆さん、戦う前に私の話を聞いて下さい。魔王様は恐らく貴方達に危害は加えません、」
先程のルコットがリアの言葉に驚いたように聞き返す。
「どういう事だ?なぜ精霊が邪悪なものの味方をする!?」
続けてリブラも言葉を重ねてくる。
「魔王様はここで平和に暮らしているのです、まずは話を聞いて下さい」
リアの登場により情勢が変わったので、全員を村の家に招き入れ話をすることにした。
「とりあえず村の家で話をしようじゃないか」
俺はこの村に来たこと、リブラと共に魔王軍を抜け出してきた事、近くによった村を助けて森の復興と近郊の復元に力を貸していることなど、ここまでの経緯を全て話して納得して貰った。
「魔王がこんな寂れた村の復興とは、しかし偽りの言葉を話せない精霊が言うことだ、信じざるを得ないな…」
ドワーフの皆に納得してもらったところで何故ここに来たのか確認してみた。
「ところで何故こんな辺鄙な村に来たんだ?噂を聞いて来たわけじゃ無さそうだが」
ルコットは村へ来た理由を語りだした。
「先程も言ったが我が国『カヴェリア』は、魔王軍の侵攻を受けており何とか今は持ち堪えているが、逆転の一手がない状況なんだ。そこで軍団を統率しているリーダとなる魔物を探したが発見できず、国の秘宝『予言の水晶』を使い邪悪な気配を持つ者を探したら、近くにあるこの村に反応があったので国の精鋭を率いて討伐に来たのだ」
「なるほど、だがアテが外れたな…我はその魔王軍の侵攻には関係していない」
「そのようだな、仕方ない一旦国に戻るか」
ルコットを含むドワーフ達が立ち上がり帰ろうとした時、俺はある事を思いつき提案してみた。
「まあ、ちょっと待て!せっかく来たんだこの村特産の芋でも食べて見てくれ」
「芋だと?そんなもの食べてどうする、確かに小腹が空いてなくもないが」
焼き芋を振る舞おうとした俺の行動を見てリブラもフォローを入れてくれた。
「ここの芋はとっても甘くて美味しんですよ!一度食べてみてください」
俺は昼食用に用意していた焼き芋をドワーフの皆に食べさせてみた。
若干疑心暗鬼気味だったが、一口食べた時の反応は思いのほか好感触だった。
「なんだ!この芋めちゃくちゃ甘くて美味しい!幾らでも入りそうだ!」
以外にもドワーフの全員に焼き芋は高評価だった
ドワーフは酒飲みだから甘いのはダメかと思ったがこれは商売になると思った。
そう思いついた俺はある提案を考えてみた。
「そうだ、もしよかったらその魔王軍の奴を俺が倒してやろうか?」
「はあ!?冗談だろ、元仲間じゃないのか?」
「復活してから、魔王軍は即抜けてきた、今はもう関係無いし討伐してもコチラにとって損はない、ただ条件がある」
「なんだ、条件とは?」
「条件は三つ、一つはこの村で育てているさっきの芋を買って欲しい事、二つ目は、この村は農作業や木材を作る道具が不足しているので売って欲しい、三つ目は、この村で建築や道具作成が出来る人材を何名か紹介して欲しい」
「それ程無茶な要求でも無さそうだな…解った、帰って七賢人会で検討する」
「よし一旦取引成立だな、リブラ一緒に行こう」
「わかりました、お供します」
ルコットに連れられて俺はリブラと共にドワーフ国カヴェリアへ魔王軍討伐の旅へと赴くのであった。
隔日(火、木、土) の21時頃更新予定、筆が乗ったら他の日も投稿します。
月曜日は投稿お休みです。




