第1話 勇者パーティーの雑用係募集
「では、志望動機を聞かせてくれるかな?」
待ってました!
この質問!!
自然と笑みがこぼれる。
聞いてほしい!
わたしの勇者さまへの熱い思い!!
勇者パーティーの雑用募集の面接で、わたしは元気よく答えた。
「はい!
幼いころ、勇者さまに助けてもらったので、恩返しがしたいんです!!」
でも、これだけでは言葉が足りない。
「村が魔族に襲われ、おとうちゃんが食べられそうになったとき、勇者さまが助けてくれました。
勇者さまが絶望から救ってくれたんです!!
人々を絶望から救ってくれる勇者さまの役に立ちたくて、応募しました!」
いけない!
これでは、まだ言葉が足りない!!
面接をしている人たちの顔色が全く変わらない!
小さな町にあるギルドの応接室は、五人も入れば狭く感じるぐらいの広さなんだけど、「シーン」と静まり返った空気のせいで、部屋が広く感じる。
やっぱり、実際の面接と想像では違いがあるなぁ。
今まで、何度も頭の中で練習したのに、あの日の感動を全く伝えられてない。
「あのですね、あの日は本当に怖かっ______」
「先代の勇者に助けてもらったのかな?
去年から代が変わって俺が勇者なんだけど、それでもいいの?」
面接官の中で、真ん中に座っていた茶髪の男性が言った。
(そっか、今はこの人が勇者なんだ)
代が変わったのは、わたしも知っていた。
でも、普通に暮らしてて勇者に会うことなんてない。
新しい勇者の顔を見たことがなかった。
質問してくれた面接官をジッと見てみる。
確かに、この中で一番強そう!!
白い防具が、彼の威厳と強さを物語っているよう。
今の勇者と会話できるこの状況に、心が躍った。
「はい! かまいません!!
代が変わっても、〔勇者さま〕は〔勇者さま〕です!!
人々を救うために戦う〔勇者さま〕の力になりたいんです!!!!」
「そうか! よく言ってくれた!! 君を採用だ!!」
わたしの熱い想いが伝わったようで、とても嬉しい!
走って家に帰って、両親に報告した。
「おとうちゃん! おかあちゃん!
受かったよぉぉぉぉ!!」
「まぁ! 本当に受かったの!?」
「アイビー、お前、まだ簡単な魔法しかつかえないだろう?」
畑仕事の手を止めて、おとうちゃんが心配してくれた。
「大丈夫だよ、おとうちゃん。
勇者さまたちがダンジョンに行ってる間に、水を汲んだりする簡単な仕事だよ。強い魔物が出ないところに山小屋があって、結界が張ってあるから安全なの!」
「そうは言ってもなぁ。一人で留守番かぁ」
「そうよ。一人で留守番なんて、心配だわ」
「ダンジョン攻略の間だけの短期の仕事だよ。
期間が短いから、大丈夫!
わたし、畑に現れる魔物を退治できるし、危ないことなんてないよ!」
心配してくれる両親を、わたしは一生懸命に説得した。
「田舎の一般人が、勇者パーティーに参加できる機会なんてもうないかも。
お願い! 行かせて!!」
「そこまで言うなら仕方がない。やってみなさい」
「危ないようだったら、すぐ、辞めて家に帰るのよ?」
次の日、両親に見送られ、わたしは旅立った。
「がんばれよ!」
「手紙、書いてね!」
「うん! 行ってきます!!」
実家のある山を下り、小さな町に入った。
昨日、面接したギルドに立ち寄って勇者パーティーに合流し、一緒に山小屋へと移動する。
「ここが、今回のダンジョン攻略の拠点だ」
「うわぁ! 三階建てだぁ!!」
一階建ての小さな山小屋を想像してたので、実際の山小屋を見て興奮した。
さすが、勇者パーティーのための山小屋!
山小屋なのに、威厳を感じるわ!!
アイビー (14歳) LV 6
HP 30 攻撃力 24
MP 10 防御力 11
【職業 雑用係】 〔特技 元気に走る〕




