第13話 また破られました
「いやぁぁぁぁ!!
勇者さまのパンツが、また食いちぎられた!!
しかも、二枚!!!!」
きのう洗濯しなかったから、今日はパンツが二枚。
そして、二枚ともマクラフィッシュに食いちぎられた。
他の人のパンツは狙われることはない。
シャツやズボンは狙われない。
なぜなの!?
なんとか洗濯物を洗い終え、帰り道で考えた。
なぜ勇者さまのパンツだけ、マクラフィッシュが異常に反応するんだろう?
(勇者さまが魔物をいっぱい倒していることが、パンツからにじみ出ているのかな?)
そんなまさかと、考えているうちに山小屋に戻った。
今日もスライムが、結界にぶつかって転がっている。
昨日までは、とてもカワイイと思っていたけど、かわいくない!
これは、合体して、大きくて気持ち悪いスライムになる!!
とりあえず洗濯物を干してから、結界にぶつかっているスライムを全部倒しておいた。
「ふぅ。これでよし。
小まめに駆除しないと、夜寝なられなくなるわ」
一安心したところで、お腹がすいた。
「もう、お昼?」
ここに来てから、時間がたつのが早い。
お腹が、お腹が減ったけど、眠い。
夜中に、巨大なスライムと戦った疲れがきている。
ダメだわ!
ここで、ちょっと仮眠をとったら、起きられない予感がする。
眠いし、お腹がすくけど、先に水汲みをしてから仮眠を取った。
「こぉぉらぁ!
また、仕事さぼって寝てんのか!!」
勇者さまの声で目が覚めた。
「すぐに洗濯物を取り込みます!!」
急いで外に干している洗濯物を取り込んだ。
それを見て、魔法使いのエスメラルダさんが、ため息をつく。
「はぁ……。
私たちは、今日〔ブラックアイベックス〕という、とても強い魔物と戦ったというのに、あなたは寝てたのね」
勇者さまたちは、今日、命がけの戦いをしたようだ。
さすが、勇者パーティー。
無傷で帰ってくるなんて、すごすぎる。
「途中で引き返したがのぅ」
「ちょっと!
ジージエじいさんは余計なことを言わないで!!
私たちは、じいさんの占いに従っただけよ!!!!」
どうやら、まだ倒せてないらしい。
と、いうことは、明日は命がけの戦いの続き。
そんな緊張の中、山小屋に戻ってきたら私が床に寝てた。
それは、いらついても仕方ない。
そのせいだろうか、朝ごはんに続いて、夜ごはんもスープに具材が無かった。
う……エスメラルダさんが、ギラついた視線を送ってくる。
サボってたつもりはないけど、そう見えるよね。
「アイビーさんは、昨夜は魔物と戦ってましたから、疲れが出たんですよ」
フィリアさん優しい。
少しギスギスした空気が和らいだ。
あ……パンツのこと言わなくちゃ。
わたしは、マクラフィッシュに勇者さまのパンツが破られたことを報告した。
「お前、俺に恨みでもあんのか?」
「そんなことはありません!
勇者さまのお役に立ちたいです!!
だから、破られないように一番気をつけて洗ったのですが、残念な結果になりました。
本当にすみません!!」
勇者さまの役に立ちたくて雑用係になったのに、なかなかうまくいかない。
本当に申し訳ない。
「まぁまぁ。
パンツの予備はまだあるんじゃし、ガイツもそう怒るな」
ジージエおじいさんが穏やかに、かばってくれた。
「アイビーちゃんもな、食事中にパンツの話はせんのじゃで?」
パンツの予備があるのだから、内緒にしておけばいいと耳打ちしてくれた。
ジージエおじいさんも、優しい。
明日こそは、しっかりやるぞと心に決めて皿洗いをしたあと、三階の自分の部屋に戻ると窓から〔黒いモノ〕が見えた。
黒くて、バサバサの毛。
大きくカーブしている立派な角。
足の筋肉がしっかりついていて、大きすぎる体は、ぶつかっただけで骨折しそう。
(あれは……ヤギ?)




