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cyber hunter  作者: M MAN
ブラッドカウント編
43/43

[守るべき人]

「おい...なんだよあれ...」

「知らねえよ逃げろ逃げろ!」

「どけぇ!」

「キャー!!」


 様々な声が聞こえてくる。

 ナイリーはただ目を大きくして、混乱の中佇んでいた。

 目にはくっきりと、ブラッドカウントの姿が見えた。


「ママァ...どこぉ...」

 小さい子供の声だ。

 ナイリーは咄嗟に下を向いた。

 下には泣いている幼い子供が。


「ん...」

 ナイリーは唾を飲み込み、子供を抱えた。

 子供の顔を触りながらナイリーは言う。


「大丈夫。お姉さんがママの所へ届けるわ」

 そういうとナイリーは走り出した。










---ep43.守るべき人---













「まじかよあいつ...!ウェイドは?!」

[分からん...とにかく今はあいつを殺すことだけを考えろ...いいな...]

 バーチャルチャットからは切羽詰まったラッチの声が聞こえる。

 アドナスはバーチャリアリティーを頭にセットし、急いで外へ出た。


[誰でもいいから急いで行け!俺もいく!]

[おうよ!]



「25859...」

 砲台から聞こえる無機質な声はその場にいた全員を固まらせた。

 デモの看板を持った無数の人間。


 ブラッドカウントは静かに腕を広場に出し、青い光をため始めた。


「あ...ああ...」

 デモ軍団は光りを見た途端走り始めた。

 そこら中で転び、蹴られ、とにかく走る。

 街中に台形で広がっていき、我を失い走り続ける。


「11111」

 青い光は極限までに大きくなる。


 バァン!

 勢いよく腕から飛び出た。


 無数の人間たちは一直線に赤く染まり、走ることを止めた。

 道路は血まみれとなり、そこら中に胴体や首が転がり落ちた。


「きゃああああ!」

「どけぇ!どけぇえ!!」


 バァン!

 大きな音と共に叫んだ人間は粉々になって消えていく。

 台形はいつの間にか半分まで消えている。




「痛!...」

 ナイリーは混乱に乗って走り続ける。

 子供は怖がっているがナイリーはただ走り続ける。


「どけアマ!」

「きゃ!」


 ナイリーは強く押された。

 そしてその場で転んでしまった。


 顔を下に下げ、立ち上がろうとする。


「あぶねえ!!」

 ナイリーは咄嗟に声がした方を向いた。

 声がした方からは、走ってきている足がナイリーの目の前にあった。


「あ...」




 ブラッドカウントは腕を伸ばし、煙を出した。

 そして頭の砲台から勢いよく光をためこむ。


「いやぁぁぁぁ!」

「みす.(水)..みすおくれ(水をくれ)...」

「うでぇ、どこぉ、うでぇ...」


 地獄絵図の背景では眩しい光がどんどん大きく唸る。


 ブラッドカウントは体制を前のめりにする。


 ビュン!

 その瞬間、頭の砲台の中に一つの弾が勢いよく入ってきた。



 カチッ...

 ボォン!!!

 弾は燃え広がりブラッドカウントはよろける。


 勢いよく来る人影に気付かず...


「くたばれぇぇぇ...」

 遠くからみるみる声が大きくなる。

 見えたのは、アドナスの睨みつける表情だ。


「ぇぇぇえええ!!」


 声を荒げると思いっきり両手を横に出し、青い刃を広げる。

 アドナスは肩を蹴り、宙に高く浮いた。


 キン!

 刃を縦に振り下ろし、砲台の鉄の部分の一部をそぎ落とす。


「硬いよなやっぱなぁ!」

 鉄の部分に片手を突き刺し、体をブランコのように動かす。

 そして首元一直線で刃を突き出した。


「死ねぇ!」

 グシャ!!

 肉片と血が一気に飛び出した。

 

 ブラッドカウントは苦痛で叫ぶ。

「5999999999!!」


 その勢いでアドナスは地面へ落とされてしまう。

 だが立ち上がり、煙の中から出てきたヘイド、ブェリオ、ガイアンと共にブラッドカウントを睨みつけた。


 アドナスは落ちた勢いで出てきた血を鍔のように吐き捨てる。

「ペッ...建築物損壊罪に器物損害罪...威力業務妨害までとは」

「ダサいし汚ぇよ...」


 ガイアンがつぶやくとヘイドは大声で叫んだ。


「行くぞ!」

「おぉ!!」





 

「あいつ...なんだよあいつ!!」

(考えろ...今できることを!)

 ライルは口を曲げながら市民に押されてしまう。

 その瞬間横から勢いよく肩を掴まれて引き寄せられた。


「うわ!誰...」


 クレイドだ。

「俺らは市民の避難誘導だ。他4人が戦ってくれる。お前もさっさと避難誘導をしろ...!」


 耳元で囁くと思いっきりライルを蹴り、ライルは道の端へ無理矢理行かされた。

(そりゃそうだよな...)




「うわぁ...待て...やめろ...やめr

 グシャ!

 ブラッドカウントはアリを潰すように市民を潰し、前のめりになる。


 ダダダダ!

 音を鳴らしながらマシンガンを連射する。


「くそあいつ...人を踏み台のように...」


 ガイアンは呟きながら瞬時に大きな体を動かし弾をよける。

 そして大きく踏み込み、スローモーションで空を飛ぶ。


「うらぁぁぁぁぁ...」

 両手を思いっきり肉片の所へ集中させ、重心を乗せる。

 思いっきり振り下ろす!

 

 ギーン!!

 鉄の腕に止められた。

 だがガイアンは咄嗟に声を出した。


「行け!ヘイド!」


 風がヘイドを押す。

 ヘイドは風にスピードを任せ、空高くに浮いた。


 そして一直線に後ろの腹の部分へ向けて動く。

 無重力のように回りながら、腹へ腕を伸ばした。


「同じ個体なら...同じ弱点のはずだよ...なぁ?!」


 

 腕のスイッチを押して緑色に光るソードを突き出す。


 

 火花がちび散った。

 腹は硬く鉄のようだ。

 ヘイドは火花が散るのを見て恐る恐る上を見上げる。


「あ...」

「3958」


 バァン!

 辺り一帯が煙に包まれる。

 猛烈な風が吹き、何も見えない。



「...は!」

「あぶねえよ兄さん...」


 ブェリオだ。

 ヘイドを抱えてビルの上にいる。


「すまん...油断していた...」

「良いさ。遠くから援護射撃しかできない僕に比べればね」


「...あいつ...腹は弱点ではないのか...?」


 

「なんで硬いんだよこいつ!」

 ガイアンは必死に拳で撃ちまくる。

 だが鉄のように固いガードには負けてしまう。


 首も腹も硬い。


「くそ...なめんじゃねえよ...!」


 ガイアンがつぶやくと宙にいるまま手のボタンを押し込んだ。

 アドナスはガイアンを見て咄嗟に手を出す。

「おま...バカかよ!お前の体持たねえぞ!」

「こんな状況を打開するのはこれだぜ?!」



 カチッ

 腕から機械音が聞こえた。

 同時にアームの周りをグルグルと青い文字列が走り回る。


 下へ落ちると同時にどんどん文字列多くなっていく。


「やめろ!」

「知らねえよ!!」


 ガイアンは叫びながらブラッドカウントの首へ落ちていく。

 腕を前に出し、風に強く当たりながら。

 

 そしてもう10mも距離はない。


「おらぁぁぁぁぁ...」



「おらぁ!!」

 ガン!

 亀裂が入るかのような音が響き渡った。

 ブラッドカウントの首元の鉄にはひびが入っている。

 それと同時に辺り一帯に強い衝撃波が走った。

 稲妻が走っているかのような。



「239459...」

 バァン!

 鉄の壁が壊れ、首元の赤い肉が丸見えだ。


「ブェリオ!!」

 ガイアンが叫ぶとブェリオは照準を合わせた。

 ピンポイントでマーク内にブラッドカウントが入った。


「OK任せとけ...って!!」




「え?」

 ブェリオは声を出した。

 標準があった時には、ブラッドカウントの姿はなかった。


 見えたのは倒れた2人。

 いつのまにか街の中に、ブラッドカウントは入っていた。




「あいつらは...?クレイド!」

 ラッチが腕を動かしながら叫ぶ。


 クレイドは歯を鳴らしながら言った。

「...無理だったのか...?」



 ライルは市民をどんどん押していく。

 ライルが誘導している市民の後ろにはすぐにブラッドカウントが迫ってきていた。


「くそ...毎回なんで俺の方に!!」


「ん?」

 ズボンが引っ張られた。

 ライルは嫌そうな顔をして下を見る。

 すると幼い子供が泣きながらズボンを引っ張っていた。


「あ...あぁ...」


 子供が指を指す方をライルは見た。

 そして目を大きく開け、その場で固まってしまった。




「9484」

「やめでええええ!」


「ゆるじでええ!!いやd

 声は爆発音とともに消える。

 ナイリーは朦朧としながらも目を開ける。


「ん...うぅ...子供は?!」


 その瞬間暗い影がナイリーを覆った。

 ナイリーはゆっくりと上を見上げる。


 ナイリーは見上げ始めた時から絶望していた。

 体に肉片がついている時点で、奴と確定しているからだ。

 ブラッドカウント。


「あ」

「10402948」


 ブラッドカウントは数字を言い終わると真っすぐナイリー向けて腕を伸ばす。

 腕からは青い光が見える。

 光は急速に大きくなっていき、嫌な音を立てながらナイリーを死へと近づける。


「あ...ああ...」

「1111111111111111!!」


 忌々しい音は止まる。

 そして青い光は最高までに大きくなっていた。



 ザッ!

 目の前に誰か来た。

 ナイリーは閉じていた目を開けて前を向いた。


 ライルだ。

 ライルは高く空に飛び、ブラッドカウントの頭の前に行く。


「うぉぉぉぉぉぉ...」


 拳を強く握りしめ、赤く光らせる。

 そして鉄の頭を思いっきりぶん殴った!」



「おらぁああ!!!!」

 ガァン!

 鉄は曲がり、ブラッドカウントは唸る。

 横へ倒れていき、ライルは腕から大量の血を流している。



 ナイリーの目には、ライルしか映っていなかった。

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