[夢]
...ここは...どこだろう...
目の前は赤い...
それに...なんだこの円の数...
なんだよここ...
「wwwwwwwwwwwwwww!!」
誰だ?...
あ...円の中に入っていくぞ...
追いかけるぞ...!!
「wwwwwww!wwwwwwww!」
何言ってるんだ...
とにかく円に入らないと...
おら!!
あいつはどこに行った??
というかここは...部屋??
なんだよ...うわぁ!
「...あ...ああ!」
血だ!それに...部屋の端に男の子が...
「ああ...」
怯えてるのか...?
あ、顔を上げるぞ...
「あ...ひ...ひ...!」
泣いている...
どうしたんだお前は!!
何を言おうとしてるんだ...喋れねえ...!
「ひ...ひ...」
「人殺し!!」
「は!」
無機質な機械音が外から聞こえてくる。
荒く息をしている。それに大量に汗をかいている。
ライルはゆっくり顔を上げ、辺りを見渡した。
自分の家の近くだ。
厳密に言うと路地裏だが。
ライルは眉をひそめてまた上を見上げた。
「なんだ今の...」
そう言うと光のようなものが頭を巡った。
ライルは頭に手を当てて、目をつぶる。
「なんでここに...?」
-------------------------------------------------------------------------------------
「起きたか?」
目を開けるとそこにはラッチとガイアンがいた。
ライルは急いで起き上がり、辺りを見渡した。
するとそこは組織内の医療部屋であった。
「眠ってたな。疲れてたんだろあんな大活躍じゃあ」
ラッチは笑いながらライルを揺さぶる。
ライルも一緒に笑いながらガイアンの方を見た。
すると表情は一変する。
「ガ...ガイアンさんその足...」
ガイアンの足には包帯がグルグルにまかれていた。
隙間からは焦げ臭いにおいと黒い皮膚が少しだけ見える。
「覚醒アプリのオーバーヒートだ」
「オーバーヒート...前の戦いのときは一回もなかったのに...」
ライルは疑問に思いながら眉をひそめた。
「僕の場合は体質と急に体を動かしたからだ。あんな急に怪力出してバケモノのしっぽをちぎれば、そりゃオーバーヒートにはなるさ」
ガイアンは誤魔化し笑いをするように笑った。
ライルは少し焦げた足を見つめてラッチに肩を触られた。
「帰るか?近くだから一緒に行こうぜ?な?」
「え...ああいいよ」
遠くからガイアンが手を振っているのが見えた。
ガイアンはしばらくの間治療のため組織内に入院するそうだ。
ライルとラッチは遠目で見ながら手を振り、前へ歩き出す。
「アドナスさんとリーダーは?」
「アドナスは俺と撃破報告書を書いたら"任務だ!!"とか言ってどっか行ったよ。リーダーは分からない」
ライルは頭を揺らしながら"へー"というようなアホ面をして前へ向いた。
「リーダーは分からない?」
「分からない。とにかく今回の敵はリーダーの活躍とお前の活躍で持ってかれたよ」
ラッチは感心するように肩を叩いた。
目を輝かせ、手には力が入っている。
「俺も囮になったりしたけど...それでもやっぱライルの活躍が凄かったな」
「いやぁ...」
ライルは照れるように頭をかいた。
だが、ラッチの表情は少し暗くなる。
「悪い意味でもだ」
「え」
急な発言に驚いた。
ラッチは続ける。
「パソコンを壊しただろう。あれはちょっとしょうがないがアレだ...」
「アレって...というか普通にパソコンが壊れてもアカウント自体があれば...」
「調べたがファイル保存チップも壊れてた。運が悪いな」
少し沈黙の時間が続いた。
聞こえるのは街中の宣伝やテレビ音声だけであった。
だがラッチは沈黙を破り笑い出した。
「まぁ生きるため殺すためにやったからしょうがないんだけどね」
「はぁ...というか結局あのファイルは何だったんだ?」
ラッチは少し考えてライルの方を向く。
「分からない...けれども俺の考えでは"バグは人の手では簡単にできない"って思っている」
「人の手では簡単に...?」
ラッチは唾を飲み込み思い切って言い続けた。
「バグ...初出現時、当時の科学者たちはそう名付けた。理由は単純で、見た目がパソコンのウイルスのような形をしていたからだ。ライルも見ただろ、あれは人間に作れるものではない」
ライルは眉を潜めて抗議する。
「ブランヴァンサーのファイルは何だよ...?あ...あれは人間じゃないと作れないぞあんなの...人間じゃなかったら何でもありじゃないかよ!」
「人間が作ったバケモノが子供を守るか?あんな悲劇的に」
空気が止まった。
ライルは嫌な思い出がよみがえってきて顔を真っ青にする。
ラッチは構わないで続ける。
「人間が作ったならあんな感情いらないって判断して作らないだろう」
「...そう...だな...」
「とりあえずブランヴァンサーの件はあれはバグの仕業と見ていい。それに根拠もあるしな...ここでは言えないが、明日言える。明日招集があるから急いで本部に来てくれ。10時だ。朝な?!」
「わかった...じゃあな」
そういうとライルは暗い路地裏の方へと歩いて行った。
ラッチは急に大声で呼んだ。
「お前の家そっちなのか?!」
「え...前家来たじゃん...」
「あ...忘れてた...ごめん!」
ライルは振り返ってアパートへと歩いて行く。
靴に泥が跳ねかえっていった...
-------------------------------------------------------------------------------------
「あのあと...俺はここで寝たのか...?ちくしょう覚えてねえ!」
言いながらライルは家のドアを開けた。
頭がふらふらしてたまらない。
「くそ...起きたすぐだから視界がグルグルだ...」
泥だらけの靴を脱ぎ、奥のリビングへ歩いて行く。
そしてゆっくりと指をスイッチに押し当てて電気をつけ...
ようとした。
[ブー...ブー...]
部屋の奥で何かが振動しているのが見える。
ライルは眉を潜めて目を大きく開けた。
「ん?」
近づいてみる。
振動はずっと続いている。
暗闇の中赤い光がずっと。
「なんだ...」
少し怖いがゆっくりと触ってみた。
バーチャリアリティーだ。
「こんな反応初めてだ...」
そう言いながらスイッチを押した。
[何やってんだ!召集の時間とっくに過ぎてるぞ!!]
ラッチの声だ。
ライルはびっくりして全身を震わした。
慌ててスイッチの元へ向かい強く押す。
電気がつきライルは時計を見た。
10:14分...
ライルは不思議に思いつつ質問した。
「招集って...あ!」
[帰り際言っただろうがー!!いつまで寝てたんだお前!!]
「ついさっきまで...疲れてて!!急いでいくよ!!」
ライルは慌ててバーチャリアリティーのホーム画面を開く。
"アプリセット"を押し、スピードUPの項目を選んだ。
ビッシリと商品名が書いてあるがライルは一番上を選択し、急いで玄関へ向かう。
[急いで来い!大事なことなんだぞ!!]
「今行く!ごめんなさい!!」
靴を履いて勢いよくドアを開けた。
(人殺し!!)
(あの夢...今は考えている暇はねえ!!)
地面を蹴りこみ、光の速さで路地裏をかけていった...




