[油断禁物]
(よし...!)
ガイアンは自ら犠牲にいくラッチを見ながら薬を目で追う。
転がる薬をしっかり手に取り、すぐに口へ放り込む。
すると覚醒したかのように体は軽くなり苦しみも一気に消えた。
ラッチの全身にはみるみるブランヴァンサーの皮膚が巻き付いていく。
「...よし...」
ラッチは薬を口へ入れたガイアンを見て微笑みながら呟いた。
「...ラッチ!」
ガイアンは立ち上がるとすぐさまラッチの方を向いた。
ラッチは微笑んでいる...
そうするとガイアンは腕をバッと振り下ろした。
腕...アームは重々しい機械音とともにみるみる変化していく。
装甲部分は目まぐるしいほど回転し、手の部分は錘のような形へ変化した。
ガイアンは足を踏み込んでブーストをセットする。
そして指でクイッと押し込んだ!
「おらぁ!」
バン!
残像が残り、ガイアンは腕を高く上げている。
ブランヴァンサーの分厚い皮膚が足元についた。
ゆっくりと振り下ろす素振りをし、一気に叩きつけた!
「qqqqq...??」
ブランヴァンサーが後ろを向いた時点ですでに腕は地面に叩きつけられていた。
「rrrrrrrrrrrrrrrrrrrr1!!」
ブランヴァンサーの後ろ部分は潰れてミイラみたいに溶けていった。
高い悲鳴とともにグシャ!!という気持ち悪い音が鳴り響く。
「ナイスだ!!」
ラッチは喜ばしそうに腕を上げる。
ラッチは自分が囮になってガイアンが倒す...というのを頭の中で想像していた。
ガイアンは気を緩めずにゆっくりとアームを再度上に上げ始めた。
「死ねぇぇぇぇぇぇえええええ!!」
そして、莫大な殺意を持ってアームを重々しく振り下ろした!
...体が火に包まれるような暑さに悲鳴をあげた。
「ぐう!!」
オーバーヒートだ。忘れていた。
覚醒アプリ...ハンターだけが合法的に使ってよい違法アプリ。
オーバーヒートしたらスーツの機能は全て消え去り、熱い火に包まれるような痛みが全身に来る。
勿論ハンター用のもオーバーヒートはするが、今回は別件だ。
一気に力を使いすぎた。これはガイアンの弱点であり、薬不足で飲んでいないときは極力弱まるが、薬を飲むと再度アプリは活動を始める。さっきまで弱っていたのに急に力を使いすぎたらこうなるのは当たり前だろう。
「く...そ!」
「ガイアン!!」
ラッチは心配そうに駆け寄るが時すでに遅し。
「q...」
ブランヴァンサーも立ち上がった。
ラッチは絶望する顔で見上げた。
暗く堕ちた顔で。
「ッチ...!」
ラッチは舌打ちをしてセットを取り出した。
そして投げ、ガンにうまい具合にはめて、銃口をブランヴァンサーへと向けた。
「付き合うぜヘビ野郎...!」
「qqqqqqqq!!」
ブランヴァンサーはラッチを睨むように見つめている。
そして頭をラッチへとどんどん近づけていった。
「rr...」
まるでヤクザかのように頭を寄せ、睨みつけている。
ラッチの手は震え、銃口はぶれるばかりだ。
「...」
ブランヴァンサーは急に止まりだした。
何もしなくなり、目も動かず胴体も動かない。
ラッチは不思議そうな顔をする。
[---ghtudne---]
赤い世界に広がるのはラッチと思わしき人物が青く光っている。
その画面の上に点滅しているメッセージがあった。
[---ghtudne---]
ブランヴァンサーは咄嗟に階段の方を向き、一気に走り始めた!
追えないようなスピードで上がっていく。
「あ...!」
ラッチが瞬きをする間にどこかへ消えて行ってしまった。
リーダーは瓦礫の中から出てきて指を指した。
「階段で上へあがって行ったぞあいつ!」
メンバーは一気に顔を見合わせた。
そうして一気に階段を見る。
「...とにかく追いかけるしかないぞ」
アドナスは嫌そうな眼付きで階段を見ながら言う。
「待てよ...その前にガイアンは...?」
ガイアンは腕を抑えながら座り込んでいる。
体全身から白い煙がモクモクと流れ出ていて、苦しそうだ。
「ぐああ...腕が...攣っている...くそ...」
リーダーが駆け寄った。
ガイアンの腕は肉が変形したような形に変化していた。
血筋が浮かび上がってきて、肉は盛り上がっている。
「とりあえず...上に行く...動けるか?」
「あ...ああ...肩貸してくれ...」
ガイアンは苦しそうに立ち上がる。
そうするとラッチが寄り添って肩を貸した。
「追うぞ!」
「サーイエッサ!」
ガイアン以外のメンバーは腕を振り、それぞれ武器を出した。
「行くぞ」
段に一気に足をのせる。
段数は少なく、一気に上がれるほどだ。
「急げ...」
ラッチはゆっくりと重々しく階段をあがって行った。
それと同時にとあることを思い出していた。
(「rr...」
まるでヤクザかのように頭を寄せ、睨みつけている。
ラッチの手は震え、銃口はぶれるばかりだ。)
「...」
ラッチは眉をひそめながらもあがって行った。
ドアが見えてきた。
リーダーは思いっきりドアに体当たりをして、ドアをこじ開ける。
そしてそのまま勢いで3階の周りを見渡した。
「どこかにいるか?!」
メンバーも続いて周りを見渡す。
「くそ...あ!」
アドナスが指を指した。
メンバーらは全員その方向を向く。
「...!」
聞こえたのは雑音。
見えたのは小さな光だった。
四角い光。
暗闇を照らす唯一の光だ。
「...」
メンバーは恐る恐る光に一歩ずつ歩いて行く。
光の正体が見えるのは角を曲がった後だ。
一気にメンバー全員で特攻していく。
バッと移動し、武器を光に向けて固まった。
「誰だ!」
リーダーは大声を上げた。
すると見えたのは、一個のpcだった。
pcにはファイルが映っていた。
ファイル名は...
-bran・vansir.file-




