……戦後処理……
第三十一章 戦後処理
なんか心地良いなぁ、なんだろう……
「陛下、蓮王都上空ですよ」
とエイルに起こされる、どうやらいつの間にかエイルに膝枕をされていた様だ。
ペッコは立ち上がると、顔を洗ってから、タラップを降りて、司令部に向かった。
司令部の天幕の中で、今回の遠征軍の主要なメンバー達に、世界樹についての説明を行う。
「成程、あの大樹には世界の変異したエーテルを初期化して、植生を再生させる力が有り、更に次元の狭間へのゲートにもなると、とんでも無いですね、ちょっと私の理解の幅を超えています」
とピピンが言うと、ほぼ全員がその意見に賛同したが、古くからペッコを知っているアル・ラムラ組は
もうペッコがする事はそんな物だと言う認識なので、誰も驚いてはいない。
「すると、陛下はもう既に第九世界との統合を成し得たと?」
「ああ、あの世界にはもう生命が存在していないですから……正確には月に小兎族が居ましたが、言わば彼らがこの度の事変の首謀者ですからね、責任を取って第九世界と共に消滅してもらいました」
「それにしても、前回の厄災は世界中で大変だったのですが、今回は?」
「その為の世界樹です、各地でエーテルを観測して見れば分かると思いますけど、この世界全体のエーテル量が増えたって位の影響しか無い筈です」
「わかりました、直ぐに観測班を派遣します」
実はこの第九世界では正確な意味での『霊災』は発生していない、今まで『厄災』として記録されている現象は全て、原初世界の霊災の二時災害の様な物だった、原初世界で発生した霊災と呼応する様に第九世界でも同じ様な災害が発生したと言う事だ、なので、この世界の住民は『世界の統合』を始めて体験する事になったと言う事になる。
「さて、後はこの国の事だけど、連王は二人共お亡くなりになってしまったんですよね、すると次の王はどうなるのでしょうか?」
「王の候補者が一人生き残って居ますが……」
エンジェが口を濁した。
「その者に何か問題でも?」
『もしかして、あいつか、バクージャジャだっけ?粗野で粗暴な奴だったけど、改心して少しだけまともになった奴だな』
と義氏のゲーム内の知識が教えてくれる。王族では無く武闘大会の優勝者として王の候補者として「継承の儀」への参加権を得るた双頭のマムージャ族(クエツパ族)だった。
「はい陛下、傲慢な性格で、他部族を劣等種とし蔑み、同じクエツパ族の同族をも見下す、そんな人物です」
エンジェはどうやらこの男が嫌いらしい。
「確かに、最初はそうだったけど、奴は心を入れ替えて、連王都の警備隊として、避難民の誘導や脱出も
率先して助ける様なまともな男に変わったぞ、俺はこの五年間奴と一緒にいたからよく分かる、俺の後ろを安心して任せられる奴だ」
と流星は彼を庇う。
「なるほど、流星さんが認める、武人としては合格点の人の様ですね、ですが今のこの国の現状、国土、全大陸の70%以上が荒野となり、生存者は20%以下、絶滅してしまった種族も多数と言う状態で国をなんとかできるのでしょうか?」
「それでも奴にやらせる以外は無いのでは、こんな状況だからこと武力に優れた指導者が必要だと俺は思う」
っと流星は続けた。
「それではこの国は昔の原始的な時代に逆戻りしてしまうわ」
アリスの心配も最もだろう。
「だが、我々エウロパ皇国もやっと戦乱が終わり国として再建中だ、遠く離れた大陸の他国の面倒を見る
余裕は無い、ここはその男に任せて、どんな方法でも良いから自立してもらう以外無いのでは?」
とピピン。
「そもそも、他に誰かこの国の将来を託せる者が、例えば生き残った部族の長とかに居るのか」
と言うガイウスの一言は重みがある、皆が無言になってしまった。
「取り敢えずその人物に会ってみましょう、誰かここに連れてきてください」
結論は出ないので、ペッコは、その男に会って見る事に決めた。
しばらくして流星が、その男『バスクジャジャ』を連れて司令部に戻ってきた。
バスクジャジャはペッコの前に立つと、いきなり双剣を抜く。
ペッコの側にいた近衛兵と妻達全員がそれに反応してレイピアを抜いて、今にも飛びかかろうとしている。
だが、バスクジャジャはゆっくりと剣を床に置くと、ペッコの前に跪いた。
「魔皇王陛下、初めてお目にかかる、オルメカ連王国警備隊のバスクジャジャと申します、陛下のお力により多くの……いや、無念な事に多くとは言えないですな……同胞達の命が救われた事を、初めに感謝いたします、その上で陛下にお願いを申し上げたい、どうかこのままこの国の王として我らを導いて居ただけ無いでしょうか?、これは生き残った全ての部族の長の総意です」
『そう来たか、誰か入れ知恵をした奴が居るな』
とペッコが困った顔で周りを見ると、微笑んでいるアルフィーの姿が目に入った。
『こいつか、食えない奴だ』
ペッコがこの国の王を引き受けたら、国の再建に責任を持たなければいけないし、当然それを行うには
資金が必要で、そんな余裕は今のエルロパ皇国には無い。だからと言って無視をする訳にもいかない。
「成程、私にこの国の王になれと言うのですね、だが私はこの国の歴史も風習も知らない、この国はエウロパの国々とは違う方法で発展した国の筈です、そんな国の将来を余所者である私い託して構わないのですか? バスクジャジャ殿、貴公にはオルメカ連王国の民としての誇りは無いのですか?」
「俺にも誇りはある、だが今の状況でその誇りが何になる、飢えた民が居る、家を無くした民が居る
俺は俺達は武力も魔力も自信があるが、知恵は無い。亡き理王コナー殿の様な知恵があれば、俺が王になっている」
「成程、貴殿の気持ちは良くわか理ました、一つ伺いますが、この国は連王制、つまり王が何人居ても良いのですよね?」
「ああ、その通りだ」
「では、貴殿が新たな武王として国を守るのが良いと思います、そしてアルフィー殿」
ペッコはアルフィーを見て微笑んだ。
「アルフィー殿、貴方は黎明の血脈切っての知恵者ですよね、どうでしょう?新たな理王として、この国が安定して復興できる様にバスクジャジャ殿に力を貸しては居ただけ無いでしょうか? もちろん私も友好国の王として、できる限りのお手伝いはさせていただきます」
「おお、それは良い考えだな、アルフィーなら何となするだろう」
「ああ、俺もそう思う、まさに適材適所だ」
とエステーノと流星がそれに賛同した。
一瞬呆然とした表情だったアルフィーはすぐに立ち直りを見せて
「わかりました、微力ですが全力を尽くさせていただきます」
とその場の全員に頭を下げた。
ブルシュノは少し複雑そうな顔をしている。
「では、これでこの国の王の件は良いですね、次ですが、私はこれをきっかけにして、以前のエウロパ連合の様な関係をルミナスの各国と結びたいと思っています、エウロパ皇国、オルメカ連王国、スリラン、東方連盟、それに旧ガレアンの国々、どうでしょうか?これから先、このルミナスには世界統合と言う危機が待ち構えています、この危機にみんなで対処したいと思うのですが」
「良いでしょう、私は賛成します」
「俺も勿論賛成させてもらう」
「東方連盟は、一度連盟の評議に諮って返事をさせてもらおう、だがわし個人としては賛成だ」
「私も、ガレアンの国々と話をして見よう、その上で返事をしよう」
ありがとうございます、では賛同していただいた二国、オルメカ連王国とスリアン、エウロパ皇国の三国で先に、三国同盟を締結したいと思います、各国の皆様は用意できしだい同盟に参加していただくと言う事でよろしいですね」
全員が賛同して、遠征部隊は任務を終えて、一部の人員を残して翌朝に帰還する事となった。
その夜、ペッコの天幕にブルシュノに連れらてアルフィーがやってきた。
「陛下、夜分に失礼致します、息子に一言陛下へのお詫びを言わせたくて連れて参りました」
「詫びですか? 特に私は何も無いですが……ああ、先程の件ですか」
と言ってペッコは笑った。
「アルフィ殿は私が、第九世界を統合した事がお気に召さなかった様ですね、そしてエウレカ皇国が軍事に力を入れすぎていると思っている、違いますか?」
「ええ、その通りです、軍事力に依る支配はいずれ綻びます、私はそれを危惧しています」
「だが皇国の軍事力が無ければ、今頃は逆に第九世界が我々の世界を統合していたでしょう、それもまた事実です、そして話し合いをしようにも話が通じない相手というのは数多く居ます、身近ではポリスソフイアのエルフ至上主義の人達もそうでした」
「いや、しかしだからと言って、ポリスソフイアを滅ぼすのは……」
どうやらこれがアルフィがペッコを気に入らない原因の様だ。
「私は滅ぼしていませんよ、ポリスソフイアは自滅したんです、先程エンジェ殿がバスクジャジャ殿を評して『傲慢な性格で、他部族を劣等種とし蔑み、同じクエツパ族の同族をも見下す、そんな人物です』
とおっしゃっていましたが、私がポリスソフイアの指導者達に感じた思いは、それと全く同じでした」
ペッコのその言葉にアルフィが声を詰まらせた、これは以前アルフィ自身が感じていた事だからだ。
「民主共和制、聞こえは良いですが、その様な指導者しか選べ無い政体に価値があるとは私は思いません、
『腐敗した政府が問題なのでは無い、その様な政府を選んだ民が問題なのだ』と言う言葉を聞いた事がありますが、私はそれがポリスソフイアの自滅の原因だと思っています」
「……残念ですが、その批判受け入れるしか無い様ですね、私が五年間留守にしていた間に、ポリスソフイアが堕落して、エルフ連合王国などの建国に関わったなどと認めたくは無かったのです、私にとって
ポリスソフイアはいつでも正しい国で有って欲しかった、それが残念です」
「ご理解頂いた様で何よりです、しかし、私にオルメカ連王国を押し付けてその間に、エウロパ皇国の改革を企もうとするとは、なかなか策士でしたね」
「はは、一晩で考えた策ですから、全く陛下には通用しなかったですが」
「まぁその分これから、オルメカ連王国の再建で苦労していただきたいと思いますよ、この国は部族間の対立と言う問題が残っています、前連王の圧倒的な武力と知力で出来た国です、貴方の知力とバスクジャジャ殿の武力に私は期待しています」
「ありがとうございます、父から伺いました、エウロパ皇国では『言い出しっぺが責任を持つ』でしたっけ、私もその責任を取りたいと思います、ではこれで失礼致します」
どうやらアルフィーはブルシュノから余計な事をするからだと怒られたらしい。
まぁ仕方が無いだろう。
「ああ、そうだ、僕は少ししたら、流星さんとエステーノさんと一緒に原初世界へ行こうと思ってます、
あちらの人達と話して、平和的な解決策が判明すると良いと思っています」
「なぜその二人なのですか?」
「私と一緒に次元の狭間を越えられるのがこの二人だけだからです」
とペッコが言うとアルフィはペッコに微笑んで頭を下げて天幕を後にした。
「理想主義かぁ、悪く無いんだけど現実的では無いんだよなぁ」
と思うペッコだった。
とにかく、こうして、新たな三国同盟は設立し、これから数ヶ月後に東方連盟と、ガレアン連盟との間にも同盟が締結されて、ここにルミナス連盟が正式に発足する事になる、ペッコはその面倒な交渉事や条約分などを全て元老院議員のブルシュノに丸投げする事に成功している。
が、その夜の騒ぎはそれだけで終わらなかった。
「大変だ、貴重な研究資料が全部無くなっている」
と騒ぎ始めたのはネロとシドの二人だった。
倉庫がわりに使っていた天幕に入れておいた、第九世界の武器や機械兵、その他の物が全て消滅していたそうだ、そして更に、黎明の血脈の天幕でも、一騒ぎある。
「なぁ、もう一人居たような気がするんだが」
「俺もそう思う、この五年間 三人だったような……」
そう、第九世界が消滅した事で、第九世界からの難民だった『ククル・バルデシオン』もまた消滅してしまったのだ、これが世界が統合されて消滅すると言う事だ。
エピローグ
トライヨラ連王宮に至急報が入ったのは、深夜だった。
寝室で寝ている所を起こされた理王コーナは愕然とする。
「何だって、エバーキープが?」
「はい、それだけでは無くヘリテージファウンドに存在した全てのソリューション・ナイン由来の物が
消滅しています、まるで以前の「ヤースラニ荒野東部」に戻った様で、空を覆っていた『雷気』も存在していません」
「どういう事だ、ソリューション・ナインやヘリテージファウンドで暮らしていた住民達はどうなっている?」
「今武王様が暁の賢人の方々と、確認に出向かれました、住民についてはまだ何も報告が来ておりません」
「わかった、私も至急現地に向かう、連絡用の飛空艇の用意を」
しばらくしてコーナが現地に到着すると、以前はエヴァーキープが合った辺りには、巨大な樹、それこそ、エバーキープより巨大な樹が聳え立っていて、その前には呆然とした、ソリューションナインやヘリテージファウンドの住民の姿が見える。
「良かった住民は無事な様だね、ラマチ何かわかったか?」
「コーナ兄さん、それが住民も2/3は行方不明なんだ、ここに居るのは元々がヤースラニ荒野やトライヨラで生活していた人だけなんだ、元々のソリューション・ナインの人達は誰も残って居ない」
「それであの大樹は一体?」
「ああ、あれね、今ヤ・シュトラ達が調査して居るけど、兄さんには見えるよね」
「もちろんだ」
「近くに行って触って見るとわかるよ」
そう言われてコーナは大樹の近くに行き手を伸ばして幹に触れようとした……
「これは一体?」
「目には見えるけど、存在しないなんだ、このまま大樹に近づいても、何も起こらない、ただ向こう側に抜けるだけなんだ」
「見えるけど触れない樹?そんな物が存在するのか?」
「コーナさん、その樹は存在していないのです」
「どう言う事ですか?」
「目では見えます、でもエーテルを測定してもそんな物は存在しない、エーテルを通して世界が視えるヤ・シュトラは何も見えないと言ってます」
「そんな事が……」
「おう、コーナ殿来てたか、周辺を見てきたが、アレクサンドリアの遺跡も、外縁の擁壁も、農場も採石場も全部消えて無くなっている、まるで最初からここに存在していないかの様だ」
「ヒロシ殿、それは一体どう言う?」
「わからん、今ガレマルドに居るアルフィノとアリゼーを呼んだ、オールドシャーレアンのウリエンジェも直ぐに来てくれるそうだ、俺ではとにかく何もわからん」
「そうか、ラマチはこの民をトライヨラに運んで、とりあえず住む所を何とかしないとな、調査はその後だ」
「はい、兄さん」
この世界、原初世界から消滅したのは、建物や人だけでは無かった。オールドシャーレアンに運ばれて研究中だった、機械兵やレギュレーター、アレクサンドリア製の武器や乗り物なども全て、消滅したという報告が届く事になる。
「考えたく無いけど、第九世界は統合されて消滅したと言う事なのかしら、でもだとしたら誰が何の為に?」
とヤ・シュトラは悩んでいる。
そして一週間後、王宮にまた緊急の報告が入った。大樹の周辺を警備して居る「勇連隊」の兵士に鏡像世界の人間と自称している人物が三人、大樹の中から出現して声を掛けて来たと言う、この人物達はエオルゼアの英雄『ヒロシ』と暁の血盟のメンバーとの会見を望んでいるとの報告だった。
勇連隊の飛空挺で王宮にやってきた三人の内、二人は理王コーナの良く知っている人物と同じ顔、同じ姿をしている。もう一人は自分と同じヘイザ・アロ族(ミコッテ族)の様だが、背はヘイザ・アロ族にしては大きく、体も逞しい、褐色の肌にプラチナブロンド、ブラウンの瞳と言うこの大陸では珍しい特徴だった。
どうやら二人は王宮を良く知っている様で、ヘイザ・アロ族の人物に色々と説明をしている様だ。
この原初世界への訪問について、ペッコは元老達とその格好で一悶着あった、
気軽にド族の部族衣装で出かけるつもりだったペッコは、元老のデュロロとモンテッソーリ、更には
ブルシュノにまで反対されて、結局例の王冠に魔皇王のローブと纏うと言う格好になってしまった。
『全く、三人掛かりになってしまった……』
と不平をこぼしたペッコだ、そして更にこの格好を流星とエステーノに笑われると言うオマケが付いた
「いや、なんと言うか『馬子にも衣装』って昔の東方の人は良く言いたなぁ」
「全くだ、魔皇王らしく見えるじゃないか」
と散々だった。
「トライヨラ連王国、理王コーナ・イイジャール・ターリ・イヤールです、あの失礼ですが、貴方達二人は暁の血盟のヒロシ・オダさんとエスティニアン・ヴァーリノさんでは無いのですよね?」
「へぇこの世界には俺たちに似ている奴が居るらしい、それは会ってみたいな」
といきなり場をわきまえない発言をしたエステーノだが、直ぐにペッコに睨まれている事を理解したのか頭を下げた。
ここはトライヨラの王宮の広い謁見の間で、玉座はあるが、今の理王も武王もその椅子に座る事は無かった。
「失礼しました、私はエウレパ皇国 魔皇王ド・ペッコ・パトと申します、あ、御参考までにエウレパ皇国とはこの世界で言うエオルゼアのほぼ全土を領する国です、この二人は私の護衛でこちらが『流星・ダテ』こちらは『エステーノ・ヴァーリノ』です。
「成程、そっくりな他人と言う事ですね、それで鏡像世界から来られたと言う事ですが?」
「ええ、私達は第八世界からこの原初世界にやってきました、これから起きる『大霊災』についての対応を協議したいと考えています、なのでこの世界の英雄、いや光の戦士ヒロシ・オダ殿と暁の黎明の皆様と話がしたいのです、お取次いただけますか?」
「わかりました、すぐに連絡を取りますが、しばらくはこのトライヨロで客人としてお過ごしいただく事になりますがよろしいですか?」
「ええ、構いません、よろしくお願い致します」
そんな話をしていると、そこにエスティニアンとヒロシの二人が入って来た。
「鏡像世界からの客だって?、お、なんだ?」
ヒロシと流星はお互いに見つめ合い、ほぼ同時にお互いの超える力が発動して、それぞれの過去を過去視と言う形で体験する事になる。
「そうか、そんな事が、お前苦労したんだな」
「あんたもな、そっちでは奴とは、あそこで決着を付けたのか」
とお互いを認め合い、
「お前とは旨い酒が飲めそうな気がするよ」
「奇遇だな、俺もだ」
と二人で意気投合して
「ペッコ、悪いが俺はちょっとこいつと飲みに行ってくる」
「良いですけど、流星さんこの世界のお金持って無いですよ、これ武器屋にでも持って行って売ってお金にしてください、あと飲み過ぎない様にしてくださいね」
「お、スターリングシルバーのナイフか、高く売れそうだな、助かる」
とペッコが護身用に帯びていたナイフを持って、ヒロシと消えて行った。
一方でエステーノとエスティニアンの二人の竜騎士はそうならなかった。
二人共、同時に槍を構える
「どうやらお互いに考えている事は同じらしいな」
「ああ、楽しみだ、コーナ理王、少し場所を借りるぞ」
「ペッコ構わないのな?、何ちょっとしたスパーリングだ」
「仕方が無いですね」
とコーナはもう諦めている、何しろこの謁見の間で戦うのは、この国の伝統の様な物で、先代の連王も
エスティニアンやヒロシとここで戦っているからだ。それはエステーノも同様で、彼はまだオルメカ連王国が存在して先代の武辺王(連王)が健在の時に、ほぼ同じ場所にある連王宮の謁見の間で王と戦っている。
「良いですけど、殺し合いはダメですよ、怪我ならいくらでも治しますから」
とペッコも気楽に許可をした。
「武器も装備もほぼ同じか、では勝負は技だな」
と先手を取ったのはエステーノだ、それをエスティニアンは軽々と避けて反撃をする。
「面白い、自分と戦っている様だ」
それから30分ほど二人の竜騎士はほぼ全力で戦い続けた。
その姿はペッコのエーテルを観る力には、二匹の竜が争っている様に見える。
そして、だんだんと二人の竜のエーテル力が強くなって行く。
「あ、これはそろそろ止めないとマズイかな、二人同時に竜化なんてしたらとんでも無い事になる」
とペッコが思っていると
謁見の間の扉がまるで蹴破られる勢いで開き、戦斧を構えたシュバラール族の女性が、二人の間に分け入ると、ペッコに向かって
「お前かあ、良くも『スフェーン』を街のみんなを!!」
と問答無用で攻撃をしてくる。
当然だがペッコが展開した絶対障壁の前に、どんな攻撃も無駄だ。
「よせ、ラマチ、彼は連王国の賓客だぞ」
「コーナ兄貴、何んで止める、こいつらはあの大樹から出てきたんだろ、あの大樹がソリューションナインを滅ぼした、スフェーンを殺した敵じゃないか」
『ウクラマトってこう言う単細胞の馬鹿だったのか、ちょっとイメージが壊れたかな』
と思うペッコだ、そしてエステーノとエスティニアンの二人も、槍を引いてウクラマトの事をただ見ている。
「その事は誤解なんですが、それも含めて皆さんに説明をしたいと思っています、なので斧を納めて、暁の方々が到着するまで待っていただけないですか?」
ペッコがそう言うと、ウクラマトはやっと落ち着いた様で、斧を背中にしまい。
「もしお前が、敵なら絶対に許さないからな!」
と言い放って、謁見の間から出て言った。
「やれやれ、興が削がれたな、俺たちもヒロシ達と合流するか?」
「ああ、そうしよう」
と二人の竜騎士も、謁見の間を後にした。
「だいぶ御苦労されている様ですね」
とペッコがコーナに言うと
「ラマチは真っ直ぐで悪い奴じゃ無いんだ、ただちょっとね……」
おそらくそこには『直情径行』と言う言葉が続くのだろうと、ペッコは思った。
そして、この理王コーナとは話ができそうだと思い、暁の面々が集まる前に一通りの話をする事にした。
コーナの執務室に場所を変えて、二人で数時間様々な話ができたのは、ペッコにとっては貴重な体験になった、同じ様な立場の他人の意見を聞く事ができたからだ。
「貴方とは、良い友となれそうですね」
「私もそう思います、大変な事態になりますが、共に協力しましょう」
と二人の王は硬く握手をした。
第四部はこれで終わりです。
読んでいただいてありがとうございました、ついに禁断の原初世界登場です。
続きはパッチ7.5が一区切りついて、ナギになったら って感じです。
ただ、まだ『覇道』で行くか『王道』で行くかを決めてないので悩んでいます。




