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……探索……

第二十九章 探索


 それから二日後、ペッコはまたピノス島のベースキャンプに来ている、今回はメインクリスタルを使って転移したので一人だ。

「改装、思ったより早かったですね」

「何、昔あの英雄殿と邪神ガルーダの風属性の障壁を突破したり、魔大陸で、帝国の魔道障壁を抜けたりしたからな、データも経験もある、雷属性の障壁など、何の問題も無いさ」

「とシドは余裕だ」

「ふん俺が集めたデータが無ければ、何も出来なかったくせに」

と、ネロ教授は言うが、これもまぁいつもの事だろう。

「今回の威力偵察の目標は、オルメカ連王国の王都、オルメカの現状把握が第一、第二に王都で流星さん達の消息の確認、そして第三に僕が前回見た敵の人型の魔道兵器らしき物の捕獲です、敵の防御、武装などが分かれば対処がしやすいですからね、ただ無理をしないで危険な様なら直ぐに撤退しましょう、正直敵の戦力も不明の状況で無理はできませんから、では、行きましょうか」


 ペッコとネロ、ブルシュノを載せた『実験艦エクセルシオール』は、いつもの様にシドの操縦とそれをビックとウエジが機関員として補助する最強の布陣で、ピノス島を発進した。

「データを見ると、南北キロニア大陸の境目『ソウヤ海峡』(ゾーゴー海峡)沿いが一番エネルギーフィールドが弱い様だ、そこから入るぞ」

とシドは進路を取った。

「これは凄い眺めですね」

ペッコは海峡の眺望に驚いた。

「海が海峡に瀑布となって流れ落ちるなんて光景は滅多に見られないですね、まさに絶景です、この海水はどこに行くのでしょう?」

「どこかの海から湧き出る事になるのでしょうが、海底の話ですからね、いつかは解明される謎でしょうね」

とブルシェノとそんな話をしている。 


「よし行くぞ、ネロ、魔道障壁は任せた、ウエジ、魔法障壁展開、ビック属性クリスタル解放」

「了解」

と全員が声を揃える、計測器のデータを確認しているブルシュノが

「よし、行けるぞ、突入!!」

と声をあげて、エクセルシオールはエネルギーフィールドに突入して、オルメカ連王国の王都オルメカ上空に侵入した。

「これは……」

全員が、地上の光景に息を呑む、オルメカの街は、北側の2/3が消滅していて、ペッコが見たビザード荒野の光景と同じ状態になってしまっている。当然、人や動物、魔物や植物の気配さえない。

「すでに街は融合が始まってしまっている様ですね」

「データを取りたい、境目あたりに降りてくれないか?」

「気をつけてください、その辺りには例の人型兵器が多数居ます」

「了解、ネロそいつを捕まえるんだろ、用意は?」

「問題無い」

ネロはそう言うと、いきなり普段着から戦闘用の元ガレロン帝国の重装甲アーマーを装着した姿になった、既に大型の魔道武器ガンハンマー『ムジョルニア』(ミョルニル)を背中に装備している。

「おお、凄いですねそれどうやって居るんですか、格好良い!」

「そうだろう、男のロマンって奴だ」

「全く、くだらない事に労力を使うよな、そいつは最初からアーマーを着て居るんだ、それでアーマの表面に普通の服を投影しているだけだ、だからいきなり戦闘服に変身した様に見えるんだよ」

「馬鹿、種証をするんじゃ無い」

『成程、ゲーム内のミラージュ・プリズムと同じ理屈か』

とペッコは感心した、ちなみにペッコは最初から赤魔法士の装束を着込んでいる。

「よし、エクセルシオールはここで待機する、無理すんなよ」

着陸できないこの船は、地面から少しだけ空中に浮いたままで停止した。

 ブルシュノとウエジはこの辺りのエーテル値や、その他のデータを採取する為に計測器を担いで船から降りた、ペッコはネロと一緒に敵の人型兵器捕獲に向かう。ネロに従う様に汎用魔道機械二体が後ろから付いてくる。

「魔道兵器は本来雷属性には弱いんだが、ここはこれだけ雷気が強いんだ、あの『人型』には雷属性魔法は効かないと思った方が良いだろう」

「了解です、一応、色んな魔法で試してみましょう」

「ああ、任せる」

 赤魔法士は白魔法、黒魔法に分類される、土属性や炎属性、風属性、雷属性の魔法が使えるので、ちょうど良いだろう。

 早速最初に発見した敵に中距離から魔法を放ってみた。

敵はその場で、体勢を崩した。

「いいぞ、ホイっと」

そこへネロが、急接近して『ムジョルニア』で頭部を叩き落とした。

「あれ?壊してしまって良いのですか?」

「これで、制御系がどこにあるのか確認するんだ、気にするな、続けて行くぞ、あいつも頼む」

「はい」

 今度もペッコが相手の体勢を魔法攻撃で崩して、ネロは背中を破壊した、そして同様に三体目は胸だ。、

「成程ね、頭は飾りと言うか、感知装置的な物の様だな、制御系は背中だ、こいつらの武器はその銃の様な物だけみたいだな」

確かに頭部と胸を破壊された二体はまだジタバタと動いているが、背中の背嚢状の物を破壊された個体は動作を停止している。

「とりあえず、全部船に運ぶ事にしよう、俺とこいつらで運ぶから援護してくれ」

ネロの魔道重装甲アーマーは、パワードスーツ的な機能もある様で、軽々と敵の人型の兵器を持ち上げて、エクセルシオールまで運んだ。その後ろから敵の機体を抱き抱える様にして、魔道機械が付いて来る。ペッコは人型兵器が大事そうに運んでいた石板の様な物を数枚抱えて、船に戻る。

「もう一体、今度は手足を落とした状態の奴を確保したい、頼めるか?」

「もちろんです」

今度もペッコは赤魔法で相手の体勢を崩して、その間にレイピアで手足を関節から切断した。

「流石に見事な物だな、魔皇王陛下の名は伊達では無いな」

必要な個体を確保してネロは満足した様だ。

「はは、ありがとうございます、では僕は少し街の中を見てきますね」

ペッコはそう言って、まだかろうじて残存している街の廃墟へと入っていった。

『人の姿どころか植物、動物の姿も消えている、放棄されてから数年と言う所かな、何か手かがりになりそうな物は……、これは避難勧告書か』

 どうやら、異変が始まって直ぐに街の住人は、理王の指示で南に避難をした様だ、大陸の南方を探せば生存者が居るかもしれないのは、唯一の朗報だった。

「陛下、一度戻るぞ、船に帰ってきてくれ」

とシドの声がするので、ペッコは、避難勧告書を持ってエクセルシオールまで戻った。既にブルシュノとウエジも船に乗っている。

「よし、一旦帰還する、有益なデータが取れていれば良いけどな」

と、シドは言いながら、エクセルシオールを発進させた。


 ベースキャンプに戻った一行は戦果を確認する。

「この境目の部分で明らかにエーテルの質が変わっていますね」

データを見た研究者が直ぐに指摘をする。

「ああ、こちらが融合される前、こっちは融合された後と言う事は明白だ」

「地脈の方は、北から強い雷属性が送られて来ている様ですね、南に行くほど減衰する様ですが」

「そうすると、このフィールドは地脈に沿って発生させていると言う事になるか?」

「そうですね、そうなると地脈の結節的である『メインクリスタル』が怪しいかもしれません、確認はできましたか?」

「いや、辺りには無かったと思うが、そうか次回の探索ではメインクリスタルを探さないといけないな」


 そこから少し離れたテントではネロ達、魔道技術者の集団が人型兵器の解析をしている。

「うーん、こいつらには動力炉の様な物は無いんだな」

「この板状の何かに動力用の雷属性エネルギーを溜め込んでいるって事か……しかし、そうするとその補給はどうやって?」

「大気中のエネルギーを吸収して居る可能性は……」

とこちらも、論議が終わる気配はない。


「魔皇王陛下、俺が必要なデータは全て取れた、俺は一度工廠に戻って、近衛空軍の船と併せて、例の船達の最終調整をしてくる、近衛の方の十一隻は二日もあれば終わる、残りは一週間欲しいな、そう言えば船の名前、もう決まって居るのか?」

「はい、一番艦 ディファイアント、二番艦 ヴァリアント、三番艦 アルディンです」

 この三隻の戦艦は元はガレマル帝国の軍団長クラスの座上艦『エーオス級戦艦』だった物を改装して、新たに『ディファイアント級』戦艦と命名した物だ、三番艦の名前は、『マディーナの猛牛』で

アル・ラムラの旧国軍、不死隊の局長だったドウェイン・アルディンの名を取っている。

 この三隻は近衛空軍では無くエウロパ皇国国軍に配備される事になっている。


 そんな訳でペッコも近衛部隊の出撃準備も兼ねて、一度皇都に帰還する事にしたが

「シドさん、アレを二体お借りできないでしょうか、今度の敵は多数の機械兵と予想されます、アレが有効だと思うのですが」

「驚いたな陛下、アレの事なんで知って居るんだ、極秘で開発したし実戦投入したのは数回だけなのだが」

 ペッコはゲーム内で自分が操縦したとは言え無いので、そこは誤魔化した。

「支援装備と共に、二台あるんですよね、それをディファイアントに搭載しておいてください」

「ああ、了解したが、癖のある機体でな、操縦者を選ぶんだ、空間認識力に優れた人材が四人必要なんだが、まぁ最悪俺とネロが乗れるから、あと二人で良いのだが」

「ガレロン共和国に聞いて見ましょうか?、あ、もしかしたらエウロパ大学に居るかもしれません、元魔道ガンシップの搭乗員とかなら大丈夫ですよね?」

「ああ、そうだな、それなら問題無い」

「では、よろしくお願いします、僕は皇都に帰ります」

とペッコは転移で皇都まで戻った。

 島には優秀な研究者や技術者が多数居るので、ペッコが居る必要性が無い、黙っていても彼らが、色々とデータの解析をして、対応方法を見つけてくれるだろうとペッコは思っている。

 皇都に戻ったペッコは直ぐに政庁に行き、会議室に妻達全員……一人を除いて全員が近衛部隊の各部隊を率いる部隊長がからだ……とピピン大将やカヌート少将以下の国軍の将校達を集めて、作戦会議を行なった。

 

「……と言う事から、推測されるのは敵の根拠地は大陸の北方の何処かと言う事になる、おそらく我々の世界でメインクリスタルが存在した辺りだろうと思われる。

 なので近衛部隊、第二部隊は東側から北上、第三部隊は中央、第四部隊は西側から北上して敵の根拠地を発見する事を第一目標とする、これは偵察任務と言う事を隊員全員に周知させる様に、次に生存者と、英雄『流星』殿以下黎明の血盟のメンバーの捜索には、第五、第六部隊が大陸の東から南へ、第七、第八部隊は中央、第九、第十部隊は西から南方へ達む様に。

 旗艦ヴェーダと第一部隊は、王都で各隊からの情報の整理、第十一部隊は王都で遊軍として必要な場所に行ってもらう事になる。

 ここまでは良いか?

「はい、陛下了解しました」

と妻達全員が返事をした。

「なお北へ向かう部隊の指揮は、シ・ロン師匠にお願いする、師匠は第三部隊の『メルカバー』に乗艦していただく。私と、エステーノ殿、ブリトラ殿は旗艦ヴェーダで第一部隊と共に王都に残る事になるが、状況によっては単独で出撃する事も了承しておいて欲しい」

 シ・ロンとエステーノ達は頷いた。


「さて、次だ、ピピン大将率いる本隊三個師団は、三隻の新造艦の準備が終わり次第、分乗して大陸の北側に突入してもらう、そこで、我々先遣隊と合流して、敵の本拠地を一気に叩き殲滅すると言う事になる、だが今だに敵の総数や戦力は不明だ、厳しい戦いになるやもしれない事は理解して欲しい、以上だ、各員の奮闘を期待する」

 とペッコが締めようとした所に、警護の兵が来客を告げた。

シドと一緒に入って来たのは、かってのガレロン帝国第XIV軍団の軍団長で、ペッコが破壊した『バイエルの長城』を建設した漆黒の王狼『ガイウス・バイエル』その人だ、この人物は、流星達とカストラ・アウストラレで戦い敗れ、その後は『影の狩人』として過去人達を狩るレジスタスになり、流星達とも何度も共闘して居る、現在は旧帝国から独立した『ウルリト(ウェルリト)』共和国の軍事顧問となっていた。

 そしてそのガイウスは、先日のペッコの演説に賛同して、ウルリトに係留中の旧VII軍団の旗艦を徴収して『ルプス・アテル』(黒狼)と命名、この艦と共に旧帝都ガレロンドや各地の元属州を回って、稼働可能な魔道兵器とその搭乗者、兵達を集めて来たのだと言う、その数は正規の帝国軍の編成では無いが一個師団に相当する。シドはそのガイウスに協力して、『ルプス・アテル』をフィールドに突入できる様に改装したのだと言う事だった。

「なるほど、貴方がガイウス殿ですか、お初にお目にかかります、エウロパ皇国、魔皇王ド・ペッコです」

とペッコは挨拶をするが、当然ゲームの中では良く知った人物であり、一軍を安心して任せられる人材でもある」

「成程、シドやネロが褒める人物の様だ、ガイウス・バイエル、陛下の軍に加えていただけるとありがたい」

とかっての帝国の猛将は頭を下げた。

「参陣を歓迎します、ガイウス閣下、ピピン大将の主力部隊に合流していただければ幸いです、大将良いですね?」

「は、陛下、仇敵と轡を並べると言うのはいささか思う所もありますが、今は私情を挟む事態ではありませんので」

とピピンも了承する。

 ガイウスはエステーノやハヤテとも面識があるので、皆が頷いて居る。

「では、改めて全軍、出撃の準備をお願いします、補給と整備は充分にしてくださいね、シドさんよろしくお願いします」


 こうして、先に準備が整ったペッコとその妻達が率いる近衛軍は、皇都を出発した。

「土壇場でガイウス殿が参戦してくれたのは大きいな」

 旗艦ヴェーダで、ペッコは第一夫人レイアと、第十二夫人フレイと話して居る。

「今度の敵はそれほど強力なのですか?」

「うん、機械の兵士と魔道兵器と同じ様に空を飛ぶ兵器や巨大空中軍艦が相手だからね」

 これはペッコ=義氏の記憶にあるゲーム内のアレクサンドリア軍の様子だが、この相手も同等の戦力を持っていると見て間違い無いだろう。


 その日のうちに、全近衛空軍艦隊はピノス島上軍に到達した、狭い島なので着陸するのは旗艦ヴェーダだけで、他の艦は上空に待機となる。

 島に降りたペッコはブルシェノに迎えられるが、ブルシュノは普段の研究者の姿では無く、ガリアニアの幻術士や白魔法士と同じ様な装束を着込んでいる。

 ペッコはブルシュノと事前に打ち合わせた通り、半数の研究者を旗艦に収納して、情報の解析任務にあたって貰う予定でいた、だからこの島に降りたのだが、当初の予定ではブルシュノは島で待機となっていた筈だが、彼は同行を強く要請してきた。捜索部隊の方にどうしても参加したいと言う事だ。

 ペッコとしてもブルシュノが大陸で行方不明になって居る、双子の子供アリスとアルフィーの捜索を望んでいる事は充分に理解しているので、一応敵と交戦状態になる危険がある事を伝えた上で、参加を許可する事にした。


 「よし、全艦隊エネルギーフィールドに突入する、各艦魔道障壁、魔法障壁を展開せよ」

旗艦ヴェーダ以下の11隻の艦隊はフィールドを無事に抜けて、当初の予定通り、第二、第三、第四部隊は北上、第五、第六、第七、第八、第九、第十部隊は南下する事になる。

 ペッコ旗艦ヴェーダと第十一部隊のイルマタルは並んで、オルメカ連王国の王都オルメカ……ほぼ荒野となって居る市街、おそらくは港周辺の市場だった辺り……に直陸して、部隊を展開、周辺の機械兵達を駆逐して、司令部の設立に取り掛かった。

 この機械兵は戦闘と言うよりは物資の輸送が任務の様で、例の石板状の物を大事そうに運んでいて、こちらが攻撃するまでは無視している状態だ。

「陛下、この機械の兵隊、思ったより強く無いですね」

と、余裕なのは第十一夫人のロータだ。

「ああ、単体ではそれ程でも無いが、集団で襲って来たら大変だぞ、みんなくれぐれも単独行動は避ける様に」

 そう言いながらもペッコは前回の偵察で見落としていた、この街の『メインクリスタル』の調査に出ようとして居る。

 『絶影……やはりダメか』

 普段は呼べばペッコの元に転移してくる愛馬トライコーンの絶影だが、やはりこのフィールドの中では呼べないらしい。

 ふと周りを見ると、司令部を設置した空き地の外れに、機械兵の乗っていた、バイク型の乗り物が数台固まって整列していた。

ペッコは試しに跨って、始動ボタンらしきスイッチを押して見た。

「お?動くじゃ無いか」

どうやら操作方法は、義氏の世界の電動バイクとほぼ同じの様だ。

 荒野となってしまった、オルメカの北側を走ってみるとかなり快適だ。

レイアとロータも同じ様にバイクを調達して様で、器用に乗りこなして追走して来ている。

 義氏は癌で入院する以前は、Harley-DavidsonのCVO Street Glide Limitedでツーリングを楽しんでいたバイク好きだ、なのでこの不思議な四輪のバイク型の乗り物は大いに気に入った。

『後は、このスイッチやペダルの機能だよな』

とハンドルの右側のスイッチを押して見ると、車体前方から、レーザー光線の様な物が発射されて、前方の岩を破壊した。

『おう、これは武装か、「魔道カノン」「魔道フォトン砲」とは明らかに原理が違うな、だが威力は同じ様な物かな』

「もう一つのボタンは同じ様に何かの光線の様な物が発射されるが、何も起きない」

『こっちは武器では無いのか?何だろう?では……」

 と次はペダルを操作すると、前後の四つの車輪……正確には車輪状の物が左右に展開して羽の様になり、機体が中に浮いた、

『これは「ホバークラフト」?いや違うな「イオンクラフト」か、空を飛べるとは素晴らしい』

追いついて来たレイアが

「陛下、それどうやるんですか?」

と聞いて来たので、ペッコはペダルで操作する事を教えた、機体の制御はどうやらバイクと同じで体重移動+ペダルの操作で上昇、下降が出来る様だ、少し高度を上げると、岩山の中腹が平坦になっていて、そこにメインクリスタルが存在して居るのが見えた。

「メインクリスタルを発見した、見に行くよ」

と声をかけて、そこに行って見ると、メインクリスタルの周囲には例の石板が、整然と山積みになっていている、回収に来るのを待って居るのだろうか? そしてメインクリスタルは機能はして居る様だ、ただいつもの青い光では無く、 この大陸を覆っている、エネルギーフィールドと同じ様な紫色になっている。

「レイア、ブルシュノ殿と研究員達を連れてきて、メインクリスタルの様子が変だ」

「はい陛下」

レイアは器用にホバーバイクを飛行させて、司令部まで戻っていった。

 直ぐに、ブルシュノとエーテル学の研究員達が、計測機器を持って、旧帝国製の小型飛空艇でやって来た。

「成程、これは……」

と直ぐに調査に取り掛かった。

「ブルシュノ殿、この石板の様な物の正体は解明できたのですか?」

「はい陛下、これは結晶化していないエーテルの塊です、この形状から人工的に作成された物で間違いないでしょう」

「つまりクリスタルと同じ物と言う事ですか?」

「はい、そうです、それとこの様に粒子が粗いのは、これが雷属性のエーテルを保存する役割もある様です、ここに積んであるのは無色で半透明ですが、機械兵やその乗用機械に入っている物は属性エーテルで

紫色をしています」

「なるほど、これが敵の動力源と言う事なのですね」

 そして、探索に出た各部隊からの最初の報告が入った。

どの部隊も発見したのは、人や動物、魔物や植物までが全て消滅して居る、荒野となった景色だった。

そして、変色したメインクリスタルの周囲には敵の機動部隊が存在していて、やはり石板が積み上げてあると言う光景の報告だった。

 ペッコはこの時最悪の状況を覚悟する。

この大陸には既に生存者が居ない、そして全ての生物植物が絶滅しているという状況だ。

 それから数日後、最初の生存者発見の情報が司令部に入る、大陸の西側を捜索していた、第九、第十部隊からの連絡で、大陸南西部に侵入していた敵の部隊を殲滅しながら南進していた第九部隊の艦アディティが『クスコ・パチャ』(オルコ・パチャ)地方の古代都市『カラルの残響』(ウォーラーの残響)』周辺で、未知の敵からの攻撃を受けこれを撃退、襲撃者の後を追った所、『ヨサコイ族』(ヨカフィ族)と

バルバル族(ベルベル族)、それに王都オルメカや他の村からの避難民の集団を発見、その過程で『黎明の血盟』のメンバー『レッド・ウォータース』と『エンジェ・オギュレ』と接触できたと言う連絡だった。部隊を率いていた第九夫人ヴォルと第十夫人リブルは、避難民達からの情報で、これより南部には

敵の姿は無く、襲われた村も無いとの事で、オルメカに帰還を希望する者と共にレッドとエンジェの二人も一緒に『アディティ』『アイデ』に分乗して、オルメカまで戻るとの連絡だった。

「そうか、まず二人見つかったか、連王や他のメンバーの情報は何かわかったのかな?」

「はい、散り散りになって王都から脱出したと言う事でしたので、どこかの村に避難民と隠れている可能性が高いとの事です」

「そうか、まずは良かった」

「それと、エンジェ氏からの伝言で、敵のエネルギーフィールドは彼らのエーテル通信を妨害するそうです、なので、『黎明の血盟』のメンバー同士の連絡は取れていないとの事でした、それからメインクリスタルが有ると、敵のフィールドが活性化するので、南西部のメインクリスタルは全て停止させたそうです」

「了解した、そうか、彼らのエーテル通信は旧式の魔法通信のままだったな。誰かこの事をブルシュノ殿に伝えてやってくれ、お子様が生存している確率が高くなったとね」

「はい陛下」


 次に報告が入ったのは大陸の南東側『セルバ樹海』(ヤクテル樹海)地方を捜索していた第五、第六部隊からだった。この地方は大陸を85年前に統一して初代連王となった『武辺王グラルジャジャ』(連王グルージャジャ)の故郷であり、爬虫類系の亜人種族『クエツパ族』(マムージャ族)と大型の猫科の獣人族である『テクアニ族』(ロスガル・シュバラール族)とが長年領土を巡って争っていた地方だった。

 第五、第六部隊は、地形的に入り組んだ、元樹海……この地方も生物と植物の存在しない荒野に変貌している……を探索、こちらもメインクリスタル付近の敵部隊を掃討しながら、元樹海の南端のセノーテ地帯の洞窟に避難していた、流星とソ・ラハ、ククル・バルデシオンとの接触できたと言う事だ。

 報告をしてきた、スリマによれば、敵と交戦中に、流星とラハ、それに従う青魔法士達が援軍として参戦してくれたそうだ。彼らが避難していた洞窟は青魔法を使う人族の少数部族『ヴラフ族』(ワラキ族)、の守る聖地で、彼らはずっとそこで、侵略者達と戦っていたそうだ。

「メインクリスタルと離れた場所にいたので探せたのは偶然でした」

と言う事で、彼らもまた、オルメカに帰還を希望する避難民達と共に『フリングホルニ』と『ナグルファル』に分乗して戻ってくるとの事だ。ただ残念な事に、彼らと行動を共にしていた、新・武王である『テクアニ族』の女王『チコーメラマト』(ウクラマト)は避難民を守って戦う中で戦死したとの事だった。

『そうか、この世界ではウクラマトはそう言う運命だったのかな、まぁあまり好きなキャラクターでは無かったけど、いずれにしろアルフィノとアリゼー、ヤ・シュトラが無事だと良いけどなぁ』

と思うペッコ=義氏だった。


 その三人、この世界の名前ではアルフィー、アリス、レ・シュトラの三人を発見したのは、大陸中央部タワンティン地方を探索していた、第七、第八部隊だった。

 西部を中心に探索を開始した第七部隊の『ブラズニル』は鳥型の獣人族である『ハンハン族』(ハヌハヌ族)の元居住地で、敵と交戦これを殲滅したが、この時点で既にこの地域は他の地域と同様に荒野とかしていて、生物の痕跡は無くなっていた。

 一方東部から探索を開始した第八部隊の『カルーチェ』は、同じ様に荒野となった地域で、メインクリアタルを発見、敵の機動部隊を殲滅、そして更に南下を続けて、やっと緑の植生が少し残っている地域で

避難民と共に居るアルフィーと、アリスを発見したのだった。

 同様に南下していた第七部隊も、まだ敵の襲撃を受けていない『ゴブリン族』と人族の村で、避難民とそれを率いるレ・シュトラを発見、これを保護したとの事だった。


 南に向かった各部隊がオルメカに向かっている頃、北に向かった部隊の内、第二部隊が敵の巨大空中艦と交戦、ただこの艦は武装の少ない輸送艦だった様で『ヴィマナ』の主砲、魔道砲で敵艦はあっさり撃墜されたとの事だ。

 北に向かった部隊も、各地のメインクリスタルとその周辺駐留していた敵の部隊を殲滅して更に北上を

続けて、北西に敵の巨大要塞らしき建造物を発見したとの報告が入る。


 ペッコは北の部隊に後退する様に指示をして、主力部隊の到着を待つ事にした。

その間、続々と到着する捜索部隊の艦から降りてきた、英雄流星、黎明の明星のメンバー達とペッコは

数年ぶりの再会を果たす事になった。

「お前、あの時の坊やか?立派になったなぁ」

と言うのは流星で、直ぐに第一夫人のレイアに

「魔皇王陛下に対して無礼な」

とレイピアを突きつけられた。

「良いんだ、古い知り合いで私の父の友人でもある」

とペッコが言うと、レイアは渋々レイピアを収めた。

「魔皇王? 何があったんだ、そう言えばその角、昔は生えて無かったよな?」

「詳しい話は皆様が揃ってからにしましょう、とりあえず天幕を用意しますので、くつろいでください」

と言っている所にエステーノが来て

「おお、無事だったか相棒、積もる話もある、酒でも飲もう」

と言って流星を拉致していった。


 そして、アリスとアルフィを乗せた『カルーチェ』が到着すると、それを待ちきれ無かった様にブルシュノは、タラップの前で二人が降りて来るのを、既に涙目になって待っている。

『約5年かぁ随分と心配したんだろうなぁ』

と今や14人も子供が居るペッコは親の顔になって、少しだけ貰い泣きをしそうになっている。

 タラップから降りて来た二人とブルシュノは抱き合って再会を喜んでいるが、

『ああ、そうか僕が知っているアルフィノとアリゼーは、まだ大人じゃ無かったんだ』

と今や成人して、立派なエルフ族となった二人を見てそう思った。

 二人共、気品があり、綺麗な顔立ちをしていて、ペッコはエルフ達が、多種族を見下し、エルフ至上主義に走るのが少しだけ理解できた、所謂ルッキズムと言う奴だ。

ペッコは再会の邪魔をするのも悪いと思ったので、司令部の天幕に戻り、全部隊の帰還を待つ事にした。


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