75話 ユニティ2
「「「「 ・・・・・・何か言う事は? 」」」」
「言う事あしましぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
女性陣にこっぴどく怒られた僕は、正座をして猛省中だ。
いゃぁ~。確かにめっちゃ触ったけどさぁ。
やっぱり獣人がいたら、触りたくなるよね!
「フフフフフ・・・・・・・やっぱり、毛はフカフカで、とても触り心地が良かったな。」
「「「「 アン??? 」」」」
「いえ。何でもありません。」
仁王立ちで僕の前に並んでいる親友達。
まぁ、いつもの事なんだけど、何でテルミも仁王立ちしているのかが分からない。
小っちゃくて、可愛いから似合っているけどね!
「まぁまぁ。俺が勝負で負けたんだ。流石にあんなに触れるとは思わなかったが、まぁ、これで貸し借りはなしだ。」
ローグさんが仲介にはいる。
男前だ。・・・・・女性だけど。
<コメント>
■ソラ。お前www
■触りすぎだろwww
■調子に乗りすぎwww
■気持ちは分からんでもないが、お前ホントに欲望に忠実だよなwww
■変態ソラ誕生www
■触り心地良かったんだwww
■羨ましい。俺も触りたい。
■獣人の肌!すげぇ気になる!いいなぁ!!!
■ソラさん!女性の顔を触っちゃダメですよ!
■ソラさん!女性の体をベタベタ触っちゃダメですよ!
■ダメでごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
あれ?やり過ぎたかな?
めっちゃ女性視聴者にはウケが悪い。
「・・・・・・・よろしいですかな?」
僕は正座をしながらカメラを見ていると、受付の綺麗なお姉さんとスーツを着た紳士が現れた。
立ち上がって二人の前に立つ。
「ソラさん。お待たせしました。この方が『フリークエスト』の依頼主。グレン王の専属執事、マイクさんです。」
「マイクと申します。以後、お見知りおきを。」
「僕はソラと言います。そしてパーティ名は【星空】です。よろしくお願いします。」
「貴方達が・・・・・・・。そうですか。いや、まさか受けてくれるパーティがいるとは思わなかったので。」
「そうなんですか?」
マイクは頷くと、食事していたテーブルの近くに座って僕に説明する。
統合国。大国『ユニティ』。
『ファイン帝国』の侵攻に対抗する為、7ヶ国が統合して作った国。
この国は、その名の通り、7ヶ国の王族が統治している。
しかし、ここ数年前からおかしな事が立て続けに起きていた。
7ヶ国の内の2ヶ国の王族が、謎の死を遂げているのだ。
その為、今は5ヶ国の王族と代理として2ヶ国の大貴族で統治している。
そして今は、残り5ヶ国の内の2ヶ国の王族が原因不明の病で倒れていた。
有名な医者に診てもらっても、一向に治る気配がない。
高位の魔法使いが言うには、おそらく強力な呪術にかかっているのだろうとの事。
その呪いは、徐々に体を蝕み、個体差はあるが最後は死に至る。
そんな呪い。
病に伏しているグレン王とその家族を救いたいが為に、『フリークエスト』を発行したのだった。
「数年前から様々な冒険者や傭兵に頼みましたが、良い成果は得られませんでした。ですが、そのお陰で【浄聖花】の在り処は分かっています。」
「それは?」
「 『ディスタント川』の川の中。 」
☆☆☆
「でっけぇ川だな!」
『ディスタント川』のほとりに立った僕は叫ぶ。
「デカいな!」
「これは見た事ない程、大きな川だね。」
「大河って言ってたけど、確かにそうね。」
「・・・・・凄く大きい。」
「これ、地球にあるどの川より多分大きくて長いわよ。」
『ディスタント川』。
『ユニティ』の国境。北にある大河。
この大河は激流で、誰も入る事が出来ず、入ったらあっという間に流されて死ぬ為、別名『黄泉の大河』とも呼ばれている。
『ディスタント川』の先が『魔国』だ。
この大河がある為、『魔国』は『ユニティ』に攻め入る事が出来ない。
空を飛んで攻めるしかないからだ。
まさしく自然の防壁。
『ユニティ』は空の侵入のみ警戒していればいい為、『ファイン帝国』の防衛に力を注ぐ事が出来ていた。
<コメント>
■でっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■すごく広いな!!!
■こんな大きな川初めて見た!!!
■対岸が遠すぎてよく見えねぇw
■どんだけ大きいんだよw
■この川そんなに激流なの?見た感じ凄く静かな流れに見えるんだけど。
■確かに。むしろ止まっている様に見えるわ。
冒険者パーティ【盃】とは、お互い健闘を祈って別れた後、マイクさんに場所を教えてもらい、魔導列車で最北へ。
そこから、歩いて数時間の所にあった。
「ん?あれは・・・・・・・モンスターですね。」
カメラと一緒に音のする方へ向くと、そこには体長2m程の狼が、群れでこちらへと近寄ってくる。
【下層】を攻略した時の、マッドウルフにとてもよく似ている。
<コメント>
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■きたきたきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■異世界初のモンスター!!!
■何かあのモンスター、見た事ある様な。
■マッドウルフだ!あれ、どう見てもマッドウルフだろ!!!
■誰だ?誰が行くんだ?
■マッドウルフだからって油断するなよ!!!
「さて。誰が行く?」
「俺!・・・・・・・グフッ。」
「私が行く。」
クウガが出ようとした所を、アカリがボディブローで止めて前に出た。
アカリはそのままマッドウルフの群れに普通に歩いて行く。
「アカリ!試したい事があるから、一匹だけ生かしといて!」
僕の叫びにアカリは歩きながら頷く。
マッドウルフは素早くアカリを取り囲むと、鋭い牙を剝きながら、上下左右、一斉に襲いかかった。
・・・・・・・・・・ チンッ。 ・・・・・・・・・・
襲いかかった瞬間、一匹を残して全ての首が同時に飛んだ。
その一匹も地面へ倒れ、気を失っている。
「・・・・・・・一匹は峰打ちよ。」
<コメント>
■はっ?
■へっ?
■ほっ?
■ちょっと待て!ちょっと待てぃ!!!
■今何した?
■全然見えなかったんだが!!!
■斬ったのは分かる!斬ったのは分かるけども!!!
■構えもしないで、普通に歩いてただけに見えたんだがw
■襲った瞬間、マッドウルフの首が飛んでて草。
■何かアカリちゃん。どんどん強くなってないか?
■チンッって音がした!チンッて!!!
■さらっと峰打ちしてるしw
・・・・・・・視聴者が言ってる様に、アカリはとても強くなっている。いや、アカリを含む親友達全員が同じ様に強くなった。
たった一年ちょっとで、更にここまで強くなるのは正直異常だ。
何が親友達をここまでさせるのかは分からないけど、常に上を目指す気持ちを持つのはとてもいい事だと思う。
まぁ~僕には絶対に無理だけどな!
「さて。一匹残したけど、これどうするの?」
アカリが僕を見て言う。
「うん。ちょっと試したくてね。クウガ、悪いんだけど、あのマッドウルフを川に投げてくれる?」
もの凄い激流という『ディスタント川』。どの位なのか見たかった。
「よし!任せろ!」
クウガは気絶しているマッドウルフの足を片手で掴むと、そのまま放り投げる様に川へと投げた。
投げられて飛んでいるマッドウルフは、途中で気づき、暴れ出したが既に空中だ。
そのまま見た目、とても静かな大河に頭から入っていった。
ジュッッッッッッッッ。
切れた。
頭から入ったが、途中で頭と胴体が切れたのだ。
あまりの激流と水圧で。
遅れて胴体が大河に入るが、あっという間に消える。
僕はカメラを向けながら言う。
「・・・・・・・これは想像以上だな。渡れないわけだ。」
<コメント>
■おいおいおいおい。
■これゃ、やべぇな。
■入った瞬間、胴体が切れたぞ。
■どんだけ流れが速いんだよ。
■こんな川ありえるの?
■ある意味ファンタジーだな。
■こんなの入った瞬間死ぬじゃん。
■絶対無理だろ。入って探すのなんて。
■ソラ!これ無理!諦めろ!
■地道にランクのクエスト消化した方がいいぞ!
諦めのコメントが流れている。
まぁ、僕には一つだけ考えがあるんだけど・・・・・・・まずはやっぱりフリ!フリからだよな!!!
僕はクウガに向かって嬉しそうに言う。
「ねぇクウガ!クウガなら行けんじゃね?潜らなくていいからさ、どんな感じか入ってみてよ!」
「おう!いい修行になりそうだな!やってやろうじゃねぇか!」
そう言うと、背中に背負っているハルバードと大楯を僕に預けて、嬉しそうに川に近づく。
<コメント>
■はっ?
■へっ?
■何言っちゃってんの?
■さっきの見てたよな?
■ソラ!煽るな!
■クウガも乗せられるな!
■これは流石に無理だって!
■フリじゃないぞ!フリじゃないんだからな!
「ちょっと待て、クウガ。・・・・・一応これを体に巻いてっと。・・・・・よし。これで流されても少しはもつだろ。」
エイセイが、縄をクウガの腰に巻き付けて、近くにあった大岩に逆側を巻き付ける。
そして、片足を川に入れた。
入れた瞬間。
クウガの動きが止まる。
そのままゆっくりともう片足を入れる。
また片足を一歩。
また違う片足を一歩。
ゆっくりと、ゆっくりと進んで行き、大河に腰まで浸かった状態で、クウガが叫んだ。
「クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!きくぜ!!!こりゃ、俺じゃないと無理だな!だが行けるぞ!もっとだ!もっと行ってやる!かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そこで僕は悪戯顔でクウガに言う。
「クウガ!こんなんじゃまだまだ甘いぞ!!!達人なら片足で立たないとな!!!」
<コメント>
■またでたw クウガ魂の叫びw
■はっ???
■オイオイオイオイ。
■何言っちゃってんだよ。
■普通に入れただけでもマジで凄いのに、片足?バカなの???
■ソラお前鬼やなwww
■あれ?前にも同じシチュエーションなかったか???
■気のせいか???
■デジャヴ???
■やめろクウガ!もう十分!もう十分頑張ったから!!!
■戻ってこい!はよ戻ってこい!!!
■何度も何度も言うけど!フリじゃないんだからな!!!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!俺はもっと上を目指す男だ!!!」
クウガはそう叫ぶと、片足をあげた。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
綺麗に流された。
縄はあっという間に切れた。




