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62話 上陸


「着いたな。」


「あぁ。」


「・・・・・・・広いな。」



第一陣の探索者達。


その先頭にいる『レベル0』の三人が呟く。


全世界の『レベル5』以上の探索者達が『名もなき島』へと上陸した。



上陸して島全体を見渡す。



そこには何もなかった。



とてつもなく広い草原が広がっているが、木も川も森も山も一切なかった。あるのはただ草原のみ。そして遥か向こうに巨大な門がポツンと見えるだけだった。上空には透明な膜の様な物が張られている。おそらくこれが結界なのだろう。


遠すぎて見えないが、その門の下や空に沢山の何かがいた。



すると、突然二人の男が『レベル0』の前に現れる。


透けて見えているので、何かの伝達画像が何かか。



一人の大柄な男は、豪華な甲冑を身に纏い、偉そうな格好をしている。隣にいる男は補佐の様な感じだった。


その男が話始めると通訳の様に補佐の男が同時に話す。



「・・・・・よく来た。異人の者よ。我は『ファイン帝国』七大将軍の一人。ギガン。」


「何?英語だと?」


「・・・・・フッ。貴様達は最近気づいたのだろうが、我々は既に異界へと潜入し、異人の言葉ぐらい話せる者はいる。」


そう言うと、ギガンは続ける。


「この巨大な【ゲート】が我々の世界と、お前達の世界を繋ぐ門。・・・・・我々は十数年間ずっと監視していた。同じヒューマン。対等に付き合える世界なのかどうかを。・・・・・そして我が皇帝が一つの結論を出した。『探索者』と呼ばれているお前達が、我々と同等に付き合えるに相応しい実力の持ち主なのかを。・・・・・今日、それを見て、融和か侵略かを決めようとな。・・・・・さぁ、こちらへ来い。我々が相手になってやろう!」



そう言うと、男達は消えた。



『レベル0』達は顔を見合わせる。



「・・・・・なるほどな。最初から俺達の実力を試そうという事か。」


「まんまとおびき寄せられたって所だな。」


「・・・・・ならば希望通り、倒すのみ。」



一回り大きい『レベル0』のワイアットが振り向いて叫ぶ。



「聞いたかお前達!異世界との戦闘だ!何が来るかは分からねぇ!即席になるが、それぞれ4~5人のチームとなって戦え!俺達は各国からの雇われの身だ!ヤバいと思ったら勝手に逃げてくれ!さぁ・・・・・・いくぜ!!!」



オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!



歓声と怒号が響き渡った。






☆☆☆






「ギガン様。探索者達がこちらへ向かって来ます。」


「そうか。」



巨大な【ゲート】の下で、椅子に座っていたギガンは立ち上がる。後ろにはオアフ島で暴れた魔族部隊隊長、ヴァンパイアのグレースとファイン帝国軍五番隊隊長、ネクロマンサーのアルフィーが控えている。



「応援に駆けつけてくれてすまんな。」


ギガンが隣に来たグレースに言う。


「いいのよ。我々魔族は『ファイン帝国』と同盟関係。お互い協力し合わないとね。」


「そう言ってくれると助かる。」



ギガンは周りを見渡す。


魔族が用意したのは、ドラゴン2匹。魔人10体。鬼人100体。そしてデーモン300匹。


そして我々ファイン帝国軍は、第五部隊と将軍三人のみだ。



・・・・・大事なファイン帝国の兵士を失うわけにはいかんのでな。魔族を中心に戦ってもらうとするか。まぁ、『レベル0』と呼ばれている要注意人物は俺が頂くがな。



ギガンは大剣を抜き、天に掲げて叫ぶ。


「さぁ!楽しもうではないか!!!」



ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!



魔物達が向かってくる探索者達に一斉に攻撃を開始した。






☆☆☆






「ほう。やるな。しかし・・・・・・・。」


一番後ろで、様子を見ているギガンが呟く。



『レベル0』三人の内の一人。アメリカが誇る男、ワイアット。


その男は武器を一切持っていなかった。


それなのに、鬼人やデーモンの首が飛び、体に穴が空く。鬼人が隙をついて剣で斬るがまるきり効いていない。


まさしく圧倒的な力のみで相手を破壊する『暴力』そのものだった。



そしてもう一人。イギリスが誇る男、オスカー。


彼は呟くと魔法陣が現れ、そこから真っ白な大きな女性が現れた。そしてその女性が手を振ると、目の前の鬼人やデーモンが見えない何かに切り裂かれていく。


その女性は【精霊】だった。



最後の一人。フランスが誇る男、アクセル。


剣を抜くと、剣が電撃を帯び、鬼人やデーモンを次々と斬り伏せる。


魔法剣士の頂点と呼ばれている男だ。



その『レベル0』の戦いを見ながら、他の探索者達を見る。


他の『レベル5』から『レベル7』の探索者達は、集団で戦ってはいるが、まるきり相手になっていなかった。ある者は食べられ、ある者は逃げようとして後ろから斬られている。



「フム。・・・・・『レベル0』はそこそこできるが、それだけの様だな。」


「どうするの?」


魔族部隊を率いている隊長のグレースが言う。


「あの『レベル0』達は私が相手をしよう。他の探索者は頼んでいいか?」


「えぇ。そういう事なら。」


グレースは手を上げると、控えていた魔人10体が大剣を持って動き出した。


「おいおい。ギガン。全部独り占めはないだろう。・・・・・・私はあの【精霊】を召喚した者に興味があってね。あの者は私に任せてもらおうか。」


後ろで座っていた男が言う。


「エリオット将軍。・・・・・分かった。なら私は残り二人と相手をする事にしよう。」


将軍二人はゆっくりと、『レベル0』へと歩を進めた。






☆☆☆






「皆さん!着きましたよ!あれが『名もなき島』です!」



僕は空母の上から、目の前の島を撮影する。


周りは薄い膜に覆われていて、中が何も見えない。そして入口らしい所には、既に第一陣で上陸した探索者達が乗った空母が停泊している。




<コメント>


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■着いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■あれが『名もなき島』か!!!


■こんなにでけぇ島なのに、何も見えねぇじゃん!何かで覆われてんのか?


■あそこに異世界に通じる【ゲート】があるかもってニュースで言ってたな!


■この探索をリアルタイムで観れるのか!!!


■マジで感動だぞ!!!


■ソラ!サイコーだ!!!


■ソラ!サンキューな!!!




停泊している空母を映しながら僕は続ける。


「そうそう!この第二陣はですね。比較的アジア勢が多いみたいです!という事は、僕達以外のアジア各国のトップクラスの探索者がいます!この航海中、二人の方と仲良くなったので紹介しますね!」


僕は映していた空母から隣へと移す。


そこには、中国と韓国の二つのチームがいた。



中国チームにカメラを向けて言う。


「まずは中国から!中国の探索者ランキング一位のクランリーダー!飛龍フェイロンさんです!」


長身で長髪。腰には剣を携えている。とてもイケメンだ。


「よろしく。」


カメラに向かって爽やかな笑顔で答える。




<コメント>


■うひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■中国のトップクランだと?マジか!!!


■かっけぇな!!!


■背が高くて、スタイルがいいわ!!!


■エイセイに比べたらまだまだね!!!


■カッコイイ!!!


■中国トップクランのフェイロンって言ったら『レベル7』だろ!!!


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!グローバルだ!!!




僕はすぐに隣の韓国チームにカメラを移す。


「次はお隣韓国です!韓国の探索者ランキング一位のクランリーダー!ソユンさんです!」


アカリに負けず劣らず綺麗な黒髪。そしてスレンダーなモデルの様な体形。とても綺麗な女性だ。


「よろしくね♪」




<コメント>


■マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■うひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■めっちゃ綺麗やな!!!


■アジアンビューティ!アジアンビューティ!!!


■韓国のトップクランだと?マジか!!!


■綺麗!!!


■韓国トップクランのソユンって言ったら『レベル7』だろ!!!


■グローバル!!!グローバルだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!




コメントがめっちゃ盛り上がっている。



フフフフフ。よしよし。いい感じだな。



フェイロンさんとソユンさんは、この間の『探索者会合』で初めて会って話をした間柄だ。


とてもいい人達で、たまたまここで会って、快く撮影を引き受けてくれた。


上陸する前に、いいネタが出来てとてもラッキーだ!



僕達が乗っている空母はそのまま『名もなき島』の入口へと入って行った。






「・・・・・・・それではみんな!・・・・・・敬礼!」


僕は上陸すると親友達の前に出て、教官の様に後ろに手をやると、いたずら顔で叫ぶ。


「「「「「 ハッ!!!・・・・・ア~ハッハッハッ! 」」」」」



皆もノリノリで敬礼をしてふざけている。


それを横目で訝しげに見て通り過ぎていく他の探索者達。




<コメント>


■またふざけてるw


■毎回毎回w


■完全にピクニック気分だよなw


■危険指定されている島に着いたのに緊張感なさすぎw


■他の探索者が睨んでるぞ!!!


■ソラ!もっとまじめにやれ!!!


■お前が一番危険なの分かってんのか???


■まぁいつもの事だwww


■だなwww


■頑張るでごわす!!!




僕達は先に行った探索者達に追いつくと、先頭で止まっている中国と韓国のトップチームの横に並ぶ。



「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」



思わず僕は声が出る。


カメラを前方へと向けた。


そこはとても広い草原だった。


木や森や山は一切ない。


ただあるのはひたすら広い草原。


その緑色に広がる絨毯の様な地面がとても綺麗に見えた。



そして遥か先には大きな【ゲート】が見える。



「あれは・・・・・ヤバいわね。」


隣にいるスピカが呟いた。



僕はフェイロンさんとソユンさんに言う。


「すみません!ちょっと僕達【星空】が様子を見てきます!それまで待機してて頂けないでしょうか!」



二人は頷くと他の探索者達に指示を出す。


僕はスピカの手を握る。他の親友達も輪の様に手を握り、全て繋ぎ終わると、突然フッと消えた。






☆☆☆






「これは・・・・・・・。」


スピカの空間移動魔法で、【ゲート】の傍まで来た僕は、言葉を詰まらせた。



・・・・・・・どうする?これを映すべきか?・・・・・総理には、どんな状況でも、出来る限りありのままを撮影して欲しいと頼まれた。それは世界中の政府関係者がこの『空ちゃんねる』を観ているからだ。・・・・・僕が勝手に気分で撮影を中止にするわけにはいかないよな。



僕はカメラを向ける。



目の前に広がっていたのは、真っ赤に染まった血。


第一陣で上陸した何百人もの探索者達の血だった。


地面には首がない者や、バラバラに斬られた者。様々な死体が転がっている。




<コメント>


■はっ???


■えっ???


■これ何???


■血???


■えっ?首???


■オイオイオイオイオイオイ!!!何だこりゃぁぁぁ!!!


■探索者の死体が転がってるじゃねぇか!!!


■うぇ。気持ち悪い。


■流石にキツイ。


■マジか。


■これヤバくないか???


■第一陣は全滅って事???




声が聞こえる。


僕はカメラを死体から先へと移す。


見ると、まだ戦っている者達が三人いた。



『レベル0』の三人だった。



「くそっ!・・・・・この化物が!!!」



ワイアットが、将軍のギガンに【深層】のモンスターなら一発で倒せる拳を振るう。


それを片手で簡単に防ぐと、蹴りを入れてワイアットは吐血しながら吹き飛ばされた。


同時に、アクセルが剣に魔法の炎を纏わせ斬りこむが、ギガンの大剣に弾かれ、剣が宙に浮く。


「フム・・・・・さて、あちらはどうかな?」


ギガンは少し距離をおいて戦っている、七大将軍の一人、エリオットを見た。



「何なんだ・・・・・・何なんだお前は!!!」



『レベル0』。数少ない召喚士の頂点と呼ばれているオスカーが片腕を焼かれて膝をついていた。


オスカーが召喚した精霊二体は、同じ様に、エリオットの上空に現れた巨大な精霊二体に消滅させられた。



エリオットは満足気に言う。


「・・・・・知っているか?『精霊とは全ての万物を司る者。』と言われている。それを召喚し、操る事が出来るとすれば、その者は【最強】を意味する。だから君と戦ってみたかったんだよ。まさか異界で【中位精霊】を召喚できる者がいるとはね。我々の世界でも【中位精霊】を召喚できる者は私の副官とほんの一握りだけだ。・・・・・だが、私はもっと上の精霊を召喚できるのだよ。・・・・・・【上位精霊】をね。」


オスカーが召喚した精霊より遥かに強大で大きな精霊。



【上位精霊】。



昔から人間では召喚できないとされている。


それを初めて召喚した者。


『ファイン帝国』の七大将軍でいて、この世界の最強の二人の内の一人と言われている者。


それがエリオットだった。



ギガンはそれを見て、ニヤリと笑う。


「あっちも決着がつきそうだ。・・・・・そろそろ終わりにするか。」


そう言って、ワイアットとアクセルに向き直した瞬間。



「・・・・・最強の五大魔法の一つ・・・・・花火・・・・・『千輪』(せんりん)。」



ギガンとエリオットは瞬時に後ろへと飛んだ。




光と轟音が響き渡る。



突然、何もないその一帯が、一斉に花火の様に突然爆破した。



そして延々と爆発が繰り返される。・・・・・ランダムに。



その場に集まっていた鬼人やデーモンが爆発に巻き込まれてバラバラに体が飛び散る。


巨体の魔人も同様に四肢が弾かれ、吹き飛ばされていた。




光と轟音で目をつぶった『レベル0』の三人。


気づくと、『名もなき島』の入口で地面に座っていた。




「・・・・・・・ここは?」


ワイアットは周りを見る。



そこには第二陣の探索者達が心配そうに見ていた。


そして目の前には【星空】のリーダー。ソラがいる。



ソラが三人に赤色や緑色ポーションを渡すと言う。


「・・・・・良かった。とりあえず無事だったんですね。・・・・・さて、それじゃ行きますか!」



ソラは親友達を見ると、そのまま円陣を組む。



「ちょ!ちょっと待て!モンスターは何とかなったが、『将軍』と呼ばれた者にはまるで歯が立たなかった!俺達の手には負えない!逃げた方がいい!」


ワイアットが叫びながらソラに言う。


「そうなんですか?なら、僕達が注意を引き付けますので、その間に皆さんは撤退してください。全員撤退が完了して、僕達もヤバそうだったら逃げますので!」



そう言うと、スピカが呟いて、【星空】全員が消えた。



ワイアットを含む『レベル0』の三人は貰ったポーションを一気に飲むと立ち上がる。



「・・・・・皆聞いてくれ!第一陣は俺達『レベル0』以外全て全滅した!とてもじゃないが勝てる相手じゃなかった!【星空】が時間稼ぎをしている間に撤退するぞ!!!」



オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!



すぐに、上陸した探索者達は停泊している空母へと踵を返す。


それを誘導しながらエリオットは、遥か先にある【ゲート】を見て呟いた。






「・・・・・・・死ぬなよ。」


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