27話 スピカの下層ソロ攻略 1
「あの~スピカさん?そろそろ手を離してくれると嬉しいんだけど。」
「なによ!私と手を繋ぎたくないって言うの?」
「いやいやいやいや。そういう意味で言ったわけじゃないんだけど・・・・・。」
今日は待ちに待った日曜日!
下層ソロ攻略、ラストの日だ。
いつもの様に下層に降りる場所に着いた僕は、今日のソロ攻略者、スピカを見る。
「何よ。」
僕をジト目で睨み返す。
彼女とダンジョンの入口からここまで、街中で見るカップルの様に、何故かずっと手を繋いで来た。
「貴方は一般人なんだから、私がちゃんと見てあげないとダメ。」
最初にそう言われた。
まぁ、こんな超絶美少女と手を繋いでこれたんだから、ご褒美だし、めっちゃ嬉しいけど、モンスターが現れてもずっと手を離さないで戦うのはやめてほしい。・・・・・危ないよ?僕が。
「とりあえずさ!そろそろ撮影の準備に取り掛かりたいから・・・・・ね?」
そう言うと、スピカの右手を離す。
一気に不機嫌そうな顔になった。
僕はため息をつくと、スピカに近寄り、頭をなでなでする。
「これから撮影するんだよ?スピカはめっちゃ可愛いんだから、そんな顔しちゃダメでしょ。」
「なっ!・・・・・フンッ!分かったわよ!ちょっと待っててあげる。」
今度は一気に機嫌が良くなった。
小さい時から、いつも頭を撫でると機嫌を直してくれる。
僕はリュックサックを降ろして、準備に取り掛かりながら彼女をチラリと見る。
彼女の名前は、小野 スピカ(おの すぴか)。
高校二年生の17歳。エイセイやアカリと同じ、カトレア学園に通っている。
身長は158cm。髪は綺麗な赤色で、瞳は大きく海の様に青い。肌はフランス人とのハーフだからか、とても白く、お人形みたいな超絶美少女。
アカリやココセも美少女だが、日本の女性とはまた違う、特別な美しさを持っていた。
そんなスピカと手を繋いでました。なんて視聴者さんに言ったら、多分殺されるだろう。
装備は、首に銀のネックレス。赤いシャツに黒のジャンパースカート。腰には青と白の大きなリボンを巻いている。
はっきり言おう。めちゃめちゃ似合っている。
最初にスピカに言った時は、お腹を殴られた後、一ヶ月位は機嫌が良かった。
彼女の身に着けている物は、全て【深層】素材で作った代物。
特に銀のネックレスは、エイセイと同じ物だ。
変な意味じゃないよ。それを言うと、スピカが怒るから言わないけどね。
このネックレスに魔力を込めると、どんな攻撃でも、三回だけ防ぐことが出来る。
インドダンジョンの【深層】で手に入れた特別なアイテムだ。
「そういえばソラ、先週私の学園に来てなかった?」
「ん?あぁ、クウガに頼まれてね。報告書を届けにアカリ会いに行ったんだ。そしたら捕まっちゃってね。家に遊びに行って夕飯をご馳走になったんだよ。」
「ふ~ん。そう言う事。・・・・・上手くやったわね。アカリ。」
最後の方は、小さくてよく聞こえなかった。
「どうしたの?」
「なっ、何でもないわよ!でもそうね。それじゃ今日は、終わったら私の家でご飯食べましょうよ。お父さんもお母さんも会いたがってたし。」
「そう言えば、お父さんのニコルさんには全然会ってないなぁ。今日は居るの?」
「えぇ。いるわよ。」
「そっか。んじゃ、お言葉に甘えて、今日はスピカん家に行こうかな!」
「ホントに?」
「ああ!」
何故かぴょんぴょん跳ねている。うん。とても可愛い。
「・・・・・よし!」
僕は準備を終えると、リックサックを担ぎ直し、片手にカメラを持って立ち上がる。
「それじゃスピカ。今日はよろしくね!」
「分かったわ。でも、その前に・・・・・。」
スピカは僕の腰に手を回して、僕の胸に顔をうずめる。
オッフ。
いい匂いと、柔らかい感触が僕の体を包み込む。
他の二人もそうだが、いい加減やめてほしい。
もう子供じゃない。僕も立派な男だ。
・・・・・皆さん!!!理性を保つのが大変なんですけど!!!
暫く抱きしめられた後、満足したのか離れてくれた。
「それじゃ、スタートするけど、スピカは今まで通りでいいからね。」
スピカは頷く。
さて。
今回で、ソロ攻略も最後だ。
スピカを最後にもってきたのは、既にスピカにはファンが沢山いるからだ。
【星空】で中層を攻略していた時、モンスターをほとんど倒していたのがスピカだったから、古参の視聴者はスピカのファンが多い。
今までの勢いで、もっともっと登録者数を伸ばしてやるぞ!
儀式の様に大きく深呼吸をする。
「すぅぅぅぅぅ。はぁぁぁぁぁぁぁ。」
そして配信をスタートさせた。
「みなさぁぁぁぁぁぁぁぁん!観てますかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
☆☆☆
<コメント>
■きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■きたきたきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■観てるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■観てるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
■ソラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■待ってましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■一週間が長かったぞ!!!
■楽しみにしてたぞ!!!
■ごごごごごご!!!ごわすぅぅぅぅぅぅぅ!!!
■古参大丈夫か?www
カメラを見ると、既に視聴者数70万人超えている。
うぉぉぉ。凄いな。
これは大台の100万人いくかもしれない。気合入れて撮影しないと!
「皆さん!今日もご視聴ありがとうございます!それでは・・・・・『空ちゃんねる』スタートです!!!」
いつもの様にオープニング曲を流す。
ダンジョンの景色をぐるっと撮影しながら言う。
「どうもこんばんは。ソラです!今日は最後の下層ソロ攻略をお届けしたいと思います!」
<コメント>
■最後!!!
■もう最後か!あっと言う間だったな!!!
■メンバーも残り一人か!!!
■待ってた!俺はずっと待ってたんだ!!!
■ソラ!最後に彼女をもってきたのはズルいぞ!!!
■早く見せて!!!見せてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■早く見たい!!!見たいんだぁぁぁぁぁぁ!!!
■エイセイ様から登録して観てます!今日はどんな探索するのか楽しみです!!!
■今日はあの子だよね?あの子だよねぇぇぇぇぇぇぇ!!!
いい感じに盛り上がってるな。
「はい!それでは紹介しますね。下層ソロ攻略、最後に登場するのはこの方!」
僕はカメラと一緒に、隣をゆっくりと向く。
とても白い綺麗な肌をした、可愛い美少女の横顔がアップで映る。
「世界最高の魔法使い。『レベル7』。・・・・・そして、今最も【レベル0】に近いと言われている。小野 スピカ(おの スピカ)さんです!」
スピカは僕の方へ向いて笑顔を作る。
「よろしくね♪♪♪」
<コメント>
■ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■キャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
■きゃわいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
■スピカちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
■スピカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■マジ可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
■なにこれ、お人形さん???
■こんな娘いるの???
■付き合ってぇぇぇぇぇぇ!いや!むしろ部屋に飾らせて!!!
■ずっと見ていたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
■手握りたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
すみません。今までずっと手を握ってました。・・・・・・・あぶねぇ。
スピカはそのまま近づいてコメントを見た後、またカメラの前に戻って笑顔を作る。
「フフッ。みんな褒めてくれてありがとう。でも、一番みんなにお礼を言いたいのは、このチャンネルを観てくれている事。リーダーのソラが撮るこのチャンネルは、私だけじゃなくて【星空】メンバー皆が大事に思っているの。だからこれからもよろしくね♪」
<コメント>
■はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
■とぉぉぉぉぉぉぜんですっっっっっっっ!!!
■ソラのチャンネルは、もう俺達には欠かせない物になってるから当然さ!!!
■俺は古参だけど、【星空】の前にソラのファンさ!!!
■ごわす!ごわす!ごわす!ごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
■うぉぉぉぉぉぉぉ!スピカちゃんのアップ!マジやべぇ!!!
■喋った所観た事なかったから、初めて聞いた!可愛いぃぃぃぃ!!!
■惚れた!マジで一目ぼれです!!!
狂った様にコメントが流れている。
「スピカさん!視聴者の皆さんが褒めてますよ!」
「そっそう?」
「・・・・・あてっ!」
あまりにも出だしのコメントが好調だった為に、興奮しながらずっとコメントの様子を見ていると、気づかなかった足元の凹みに足を取られ、そのまますっ転んでしまった。
「いててててて・・・・・。」
尻もちをついたが、カメラは離さないで守った。
これぞカメラマン魂!!!
するとスピカが凄く心配そうに、僕と撮影しているカメラの前に屈む。
「ちょ、大丈夫?」
「あぁ。ちょっとつまずいたみたいだ。」
「そう・・・・・。」
するとスピカはハッと気づいて、顔を赤くしながら立ち上がると、後ろを向きながら言う。
「べっ別に・・・・・し、心配なんてしてないんだからね!早く立って行くわよ!」
「ハイハイ。」
僕はゆっくりと立ち上がる。
スピカの方を見ると、肌が白いからか、顔が赤いのがよくわかる。
<コメント>
■おや?????
■おやおや????
■おやおやおやぁぁぁぁぁぁぁぁ????
■えっ?これってもしかして???
■もしかして、もしかしたらぁぁぁぁぁぁぁぁ???
■ツン?・・・・・・ツンだよねぇぇぇぇぇぇぇぇ???
■ツンツン来た?????
■ツンデレきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■ツンデレ属性きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■マジか!スピカちゃんツンデレ属性???
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!やべぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!もうパーフェクト!!!
ハハハ。ヤバい位に盛り上がってる。
「ちょっと!何ずっと見てるのよ!」
また近づいてスピカが覗き込む。
「ちょっ!ツンデレってなによ!貴方達!違うからね!もう!!!」
<コメント>
■うひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■ぴょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■ありがとうございます!!!
■ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
■可愛い!マジ可愛い!!!
■ご褒美きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■ご褒美ありがとうございます!!!
■もうずっとスピカちゃん観ていられる!!!
■この照れ隠し!サイコぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■好き!好き!大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
更に顔を真っ赤にしながら、視聴者にプンプン怒るスピカ。
それを観ながら、大盛り上がりしている視聴者さん達。
僕は、スピカとコメントを見ながら言う。
「あの・・・・・・いい加減、探索はじめてもいいでしょうか?」




