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24話 エイセイの下層ソロ攻略 4


エイセイは、肩に乗せたランチャーを消すと、振り返り爽やかな笑顔を見せる。


「終わったよ。」




<コメント>


■すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■光ったぞ!ピカって光ったぞ!!!


■いやいやいやいやwww


■それはないだろwww


■ランチャーぶっ放しやがったwww


■しかもランチャーの威力じゃねぇしwww


■一発で殲滅したぞ。意味わからんwww


■あまりにも圧倒的すぎて、モンスターの強さがマジで分からんwww


■これが『レベル7』という事か。さっきの【ライジング】と比べると次元が違いすぎるw


■チートだwチーターエイセイ誕生www


■私のエイセイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!


■エイセイ様の笑顔素敵ぃぃぃぃぃぃ!!!


■エイセイ様大好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!




僕はもの凄い勢いで流れているコメントを見ながら、大量のドロップ品をリュックサックへと入れていく。



もうね。



ずっとコメント見てるけど、半分は他の親友達と同じ、驚きや凄さ、感動といったコメントが見て取れるけど、残りの半分は、ひたすらエイセイのラブコールだ。ファンやエイセイ見たさの視聴者が沢山いるのが分かる。今ライブ動画の視聴者数が70万人いっているのだ。



ヤバイ。嬉しすぎる。



このままエイセイのファンや新規視聴者を取り込まないとな!



三階層では、僕はエイセイの斜め後ろから歩くようにして、常にエイセイとダンジョンの両方を映す様に心がけた。



その後、モンスターが何度か現れたが、エイセイが変わらず瞬殺していく。



「あっ。」



僕は、エイセイが倒したモンスターのドロップ品を回収時に落としてしまい、それが転がりダンジョンの壁へと吸い込まれていった。



???



僕はその壁を触ろうとすると透き通る。


「これは・・・・・。」


エイセイの方を向くと、エイセイは頷く。


「ソラ。これは隠し通路だね。」



各層にあまりないが、隠し通路が存在している。目立たない所や、奥まった所にあるのだが、こういった幻覚で隠しているのは始めてだ。


大体決まって、隠し通路には貴重なダンジョンアイテムが眠っている。




<コメント>


■隠し通路!隠し通路発見だ!!!


■うぉぉぉぉぉぉぉ!テンション上がる!!!


■それって貴重なアイテムがゲットできるってやつの???


■そう!隠し通路には大体アイテムがあるんだよ。上層や中層でも結構いい値がしたからな!


■下層で前に、上位の探索者が発見して換金したら億いったみたい。


■マジでか!!!よしソラ!入ってゲットだ!!!


■でも、こんな隠し通路は初めてだぞ。


■これだと普通は気づかないよな。


■何があるんだ?


■気になるでごわす!!!




僕達は隠し通路へと入って行く。



撮影しながら歩いて行くと、光が見える。


ダンジョンの明るさではなく、もっと明るい。



そして、そこに着くと、僕は息を飲んだ。



先程と同じ様に広い空洞。



しかし、足元をみると、真っ白い花。


辺り一面に咲き誇っていた。


まるで白い絨毯の様に、空洞全てに広がっている。


僕はカメラをぐるっと回しながら呟く。



「・・・・・綺麗ですね。」




<コメント>


■ハァァァァァァァァァァァァァァァ!!!


■何これ!!!


■凄く綺麗!!!


■辺り一面花畑!!!


■ダンジョンの中だよな???


■凄いな!!!


■長年探索しているが、流石に花畑は初めてだぞ!!!


■真っ白!!!ちょ~綺麗!!!


■ああ!ここでエイセイと一緒にいられたら!!!


■エイセイとここでデートしたい!!!


■エイセイ!!!!!




撮影しながら花畑に見とれていると、その一ヶ所が動いた。



動いた所にズームする。


見るとあの時消えた・・・・・『レア』だった。



エイセイが僕に話しかける。


「何であの時居なくなったのかは分からないけど、あれは多分【深層】レベルだね。・・・・・ソラ。少し後ろへ。ちょっと本気をだすよ。」


僕は撮影しながら後ろへと下がった。



エイセイはゆっくりと『レア』の方へと歩き出す。


歩きながら両腕を真横に広げて小さく呟く。


すると両手に二丁の銃が現れた。



『アサルトライフル』だ。



『レア』は警戒しながらエイセイの方へと近づいて行く。


徐々にお互いの距離が近づく。


エイセイは両手でアサルトライフルを構えると、ニヤリと笑って言う。




「let’s go!」




その言葉を合図に戦闘が始まった。






☆☆☆






私の名は『ハク』。


思い出せない。


何故、ここに連れてこられたのかすら分からない。


気がついたら、この【ダンジョン】という所にいた。


他の者は、私を見ると逃げ出すか、従おうとする。



興味がなかった。


私は帰りたい。


帰りたいのだ。


主の元へ。


あの優しい主の元で、一生お守りしようと誓ったのに。



変わらず他の者達が来る。たまに主と同じ様な格好の者も。



でも興味がない。


だから殺さないし、食おうともしない。


相手に殺意がある場合にのみ、瀕死を負わせて帰らせた。



時間だけが過ぎ去っていく。



【ダンジョン】で目が覚めた時、たまたま自分の体に付いていた、主の庭に咲いてあった白い花。・・・・・これを自分の隠れ家で育てた。それしかやる事がなかったから。


そして先程、散歩をしていたら、主と同じ様な格好をした者達が現れた。



その内の一人。金の髪をした者。



今まで、どんな相手でも危険を感じた事などなかったが、本能が言っていた。



逃げろ・・・・・と。



その場はすぐに退散したが、まさかこの隠れ家に来るとは。


ここだけは譲れない。


主が育てた花があるから。






☆☆☆






何分経っただろうか。



目の前で凄まじい戦闘が繰り広げられていた。


コメントを見ると、何も表示されていない。


この戦いに皆、見入っているのだ。



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!



エイセイが、二丁のアサルトライフルをフルオートで撃ち続ける。


それを『レア』が、もの凄い速さで横に飛び、躱す。


そのまま一気にエイセイへと距離を縮めて嚙み砕こうとするが、瞬時に同じ速さでエイセイは距離をとる。


エイセイのスピードはココセ程ではないが、【星空】の中で二番目に速い。



この戦いは、そんなに長くは続かなかった。



常に一定の距離を保って攻撃するエイセイ。


躱しながら近づこうとする『レア』。



ずっと連射している何十発もの魔力の弾を躱せるはずもなく、徐々にレアの白い体が赤く染まっていく。



そして、とうとう『レア』が倒れた。



エイセイは近づくと、『レア』の額に銃を向ける。


『レア』は銃を見ながら、かすれた声で一言呟いた。



『・・・・・帰りたい。』


「エイセイ!ストップ!!!」



僕の声で、エイセイは撃つのをやめる。


僕はカメラを回しながら、エイセイと『レア』の元へと駆け寄る。



「ソラ!近づいちゃダメだ!」


エイセイが『レア』の前にいこうとする僕を止めるが、優しくその手を払う。


「多分大丈夫だよ・・・・・ね?」


エイセイは仕方ないといった顔で、いつでも撃てるようにアサルトライフルを構えた。




<コメント>


■はっ!!!見入ってしまった!!!


■凄すぎて言葉が出ねぇ!!!


■何だよ!あの戦闘は!!!


■目が離せないとはこの事だな!!!


■エイセイかっこよすぎだろ!!!


■レッツゴーって言ったぞ!レッツゴーって!!!


■エイセイ素敵ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!


■エイセイ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■つうか、ソラ!やめろ!!!


■マジでヤバいって!!!


■お前一般人!!!相手は深層レベルのモンスター!!!


■近づくんじゃない!!!


■うぉ!『レア』が近い!!!!!




僕は撮影しながら、倒れている『レア』の前まで来ると、しゃがんで目線を合わせる。



「僕の言葉は分かるかい?」


『あぁ。・・・・・前に、お前達と同じ者を何回か見たからな。それで覚えた。』


「そうなんだ。僕はソラ。君は?」



『レア』は息も絶え絶えに答える。



『私はハクと言う者だ。』


「ではハク。帰りたい。と言っていたけどなんで?」


『・・・・・ここは、私がいる場所ではない。私の場所は門の向こう側だ。』


「そうなんだ。」



僕はエイセイを見る。


エイセイはため息をつくと、アサルトライフルを消して僕の横に屈み、ハクに手を当てた。


すると手が緑色に輝き、みるみるうちに、ハクの傷が治っていく。



『・・・・・何の真似だ?』


「ソラの意思さ。僕はリーダーの意思を絶対に尊重すると決めているからね。だからソラに何かしたら、ただじゃおかないよ?」


ハクはゆっくりと立ち上がると、僕とカメラを見る。




<コメント>


■おぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!


■近い近い近いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!


■こぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■ソラ!何考えてんだ!モンスターだぞ!!!


■ソラ!エイセイに言って、はよ倒せ!!!


■ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!!!


■そこにいないのにめっちゃ怖い!めっちゃ怖い!!!


■近すぎぃぃぃぃぃ!!!息遣いが聞こえてるぅぅぅぅ!!!




『・・・・・で、どうするつもりだ?』


「帰りたいんでしょ?【ゲート】に行こうよ。」


『フッ。もちろん試したわ。だが、通る事が出来なかった。』


「それは君だけだからでしょ?僕と一緒に行ったら通れるかもよ?」


『!!!・・・・・いいのか?』



僕は笑顔で頷く。



「さっ。行こうか。」


『ならば、私の背中に乗れ。その位はさせてくれ。』



僕はエイセイと顔を見合わせると、僕が前に、エイセイは後ろに乗った。



そのままハクは一気に【ゲート】に向かって駆けだす。


途中、モンスターが現れたが、みな道を空けた。


真っ白い毛並みを触りながら、流れゆく景色を映す。



「皆さん。このハクというモンスターの毛並み。結構触り心地いいですよ。」




<コメント>


■何触ってんだよwww


■お前、度胸凄すぎwww


■どんだけ据わってんだよwww


■ソラ。お前何なの???


■頭大丈夫か???


■深層レベルのモンスターの背中に乗って感想を言っている一般人www


■参りました。


■ソラ。お前ある意味すげぇよ。


■はいはい。触り心地よさそうですね。


■俺も触りたいなぁ~。




・・・・・何か呆れられている。何故だ?


だって、可哀そうじゃん。出たいのに出れないって。


まぁ視聴者さんは知らないか。


喋るモンスターは、【深層】には結構いる。


インドダンジョンがそうだったからな。



そして最終地点【ゲート】へと僕達は着いた。



ハクが僕に尋ねる。


『・・・・・本当にいいのか?』


「うん。このまま【ゲート】をくぐろう。でもちょっと待ってね。・・・・・皆さん、【深層】は通常だと通信が届かないので、カメラをモザイクモードにしてここに置いておきますね!暫くお待ちください!」



カメラをモザイクモードにして、地面に置く。


僕達はハクに乗って【ゲート】へとくぐっていった。






☆☆☆






「・・・・・さっ、戻します!無事、送りましたよ!」


最終地点の【ゲート】の前に戻ると、モザイクモードを解除する。




<コメント>


■モザイクモードなんてあるのなwww


■深層観たかったけど我慢するわwww


■何か不思議な気分。


■モンスターが喋るなんてな。


■あれ本当にモンスターだったのか?


■前のレアとは全然違ってたな。


■何か凄い経験した様な気がする。


■観れてラッキーだったかも!!!




僕はぐるっと【ゲート】のある空洞を映す。



「さて!改めまして皆さん!目的地に着きました!では最後に恒例のコメントの中から質問をしますね!」



コメントが勢いよく流れた。



「エイセイさん!視聴者さんからの最後の質問です!ヒーラーになろうとしたのは何でですか?」






-------------小さい頃-------------



「グスッ。グスッ。グスッ。」


病院のベットの上に横たわっているソラを見ながら僕は泣いていた。


ソラが言う。


「えいちゃん!泣くなよ!こんなの大した事ないからさ!」


「僕は!・・・・・見ているだけで何も出来なかった。僕は何も出来ないんだ・・・・・グスッ。」


ソラは困った顔をすると思いついた様に言う。


「えいちゃん!ならさ!僕が何かあったら治してよ!この間ゲームやってて、ヒーラーって絶対にパーティには必要なんだ!何でも治せるヒーラーってカッコイイよね!」


「・・・・・カッコイイ?」


「うん!」



----------------------------------






エイセイはカメラに向かって笑顔で言う。


「皆を救いたいし、カッコイイから・・・・・かな。」




<コメント>


■エイセイィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!


■エイセイィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!


■エイセイ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■私も救ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■最後までイケメンかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■カッコよすぎ!!!カッコよすぎだろ!!!!


■ちきしょう!勝てねぇ!!!!!


■やべぇ!俺も惚れそうになっちまった!!!




もの凄い勢いでコメントが流れている。


いつもはここで終わるんだけど、やっぱりエイセイのファンをしっかりリピーターにしたい。


ここは最後に一肌脱いでもらおう。


「エイセイさん!最後にお願いです!このカメラを恋人と思って、映画の様に告白してみてください!俳優としての姿が見たいです!」


「えっ?・・・・・マジですか?」


「マジです!」



少し困った顔をしたが、諦めてカメラの方を向く。


僕はゆっくりと彼をズームする。



エイセイは少しうつむきながら話しかける。


「・・・・・ねぇ。ずっと君に伝えたい事があったんだ。」



ゆっくりと顔をあげてカメラに向かって、目は真剣に、爽やかな顔で言う。



「君が好きです。」



金色に輝く髪が、ダンジョンから吹き抜ける風に揺れる。




<コメント>


■あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!===50,000円


■あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!===50,000円


■あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!===50,000円


■もうダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!===50,000円


■好き好き好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!===50,000円


■私も好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!===50,000円


■愛してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!===50,000円


■付き合ってくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!===50,000円


■もう思い残すことはないわぁぁぁぁぁぁ!!!===50,000円


■ソラさん!ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!===40,000円


■ソラさん!グッジョォォォォォォォォブ!!!===40,000円


■チャンネル登録しました!!!===30,000円


■私も!!!===30,000円


■私も!!!===20,000円




「さて皆さん!どうだったでしょうか!長い時間ご視聴頂きありがとうございました!!!次回も日曜日!!!メンバーの下層ソロ攻略もとうとう最終回です!最後に、気に入ってくれた方はチャンネル登録をお願いしますね!!!・・・・・それではさようなら!!!『空ちゃんねる』また来週ぅぅぅぅぅ!!!」



エンディング曲を絡ませながら配信を終了させた。




「エイセイお疲れ!」


僕は水筒をエイセイに渡し、撤収作業を始める。



「大丈夫だったかな?」


エイセイは飲みながら僕に話しかける。



「大成功だよ!いゃぁ、やっぱりエイセイは有名人だから凄いな!これでさらに登録者が・・・・・フフフフフ。」



僕は気味悪い笑いをしていると、エイセイが肩を組んできた。



「ハハハ。なら良かった。それじゃ、打ち上げでも行こうよ。」


「行こう行こう!今日は今までよりも美味しく食べられそうだ!ハッハッハッハ!」






作業が終わると、僕達は肩を組みながら笑顔でダンジョンを後にした。


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― 新着の感想 ―
[一言]  作品によっては無関係な他人が目の前で死んだり怪我をしたりすると無意味に助けられたのに……って落ち込んだりしそうな場面もあったけれど、今作品の世界観ではダンジョン内での戦闘の結果はしっかり自…
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