第1章1話 賢者、スケルトンに転生する
はじめまして! 夢月狒々烈火[ムゲツ ヒヒレッカ]と申します!
投稿自体が初めてです。一応確認はしていますが誤字脱字等あれば指摘してしまって構いません!
という助かります
私の世界観が少しでも伝われば嬉しい限りです!
空気が澄み、人の気配がしない山々の中にポツンと一軒の家がある。周りは自然に囲まれ、木製の家は辺りと調和している。庭には野菜が育てられており、自給自足の生活をしていることがわかる。家の中は散らかっておらず、適度な生活感がある。1階の中心にはひと際重厚な扉が一枚あり、その先には地下室があった。壁には夥しい量の本が棚に並んでいる。部屋の端にある大きな机には紙と筆が煩雑に置いてある。家主である齢70歳を超える老人がその机にかじりつくように作業をしていた。あるときピタリとその手が止まり、小さく笑う。そしてぼそりと呟いた。
「これならできる」
この老人は部屋の中心の床におもむろに文字や記号を書き始めた。とてつもない集中力の中、30分かけて書き終えるとそこには立派な魔法陣が出来上がっていた。老人は乱れた息を整えた後、その魔法陣の上に立ち、魔素を込める。先ほどまで薄目だった眼は瞼が開き、鋭い眼光が現役時代の彼を想起させる。魔法陣は魔素を糧に大きな力を持ち始める。
「この体ともおさらばだ」
薄暗いどんよりとした地下室に太陽が落ちてきたと錯覚するほどの光を魔法陣が放つ。光が収まると老人はどさっと糸が切れた人形のように魔法陣の上に倒れた。老人だったものは微笑んでいた。
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王都では賢者オスカル・アイゲンスの訃報が瞬く間に広がった。賢者オスカルは人間の国に攻め込んできた魔王を討ち滅ぼした勇者一行の1人だった。そんな彼は魔王討伐後、本人からの打診もあり、山奥へ隠居していた。
そのことを知っていたのは一部の王族と勇者とその仲間たちだけだった。多くの国民達にはオスカルはさすらう旅人として魔王討伐後すぐに国を離れたことになっていた。
王国関係者がオスカル邸に行った際、地下室で亡くなっているところを発見された。床に書かれていたであろう魔法陣は死体との癒着で解読できないほど汚れてしまっていた。またこの部屋の紙媒体のダメージが著しく、最後に彼がなんの研究をしていたかは不明だった。この賢者は何を成し遂げようとしたのか王国関係者たちはひどく気になっていたが、彼が死んでしまっては聞くこともできない。
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オスカルの視界はゆっくりと鮮明になっていく。そして視界に飛び込んできたのは、数多の歩く骸骨たち。地下墓地のような空間。薄暗く蝋燭で照らされるが遠くまで状況を確認できるほどの明るさはなかった。
骸骨たちはこの世界ではスケルトンと呼ばれる魔物だった。オスカルは少し驚いたが想定の範囲ではあったため、焦ることはなかった。想定外だったのはオスカル自身の体だった。
彼もまたスケルトンであったのだ。
この世界では魔素と呼ばれる元素が存在する。魔素を元に力を行使することを基本的に魔法と呼ぶ。そして魔素で体を構成している生き物を総称して魔物と呼ぶ。スケルトンとは低級のアンデッド系の魔物であり、魔素を元に骨を操作しているとされている。
転生はうまくいったがよりによって魔法が使えないスケルトンとは。ただあの体よりマシか。
「骸骨ども! これより第5訓練場にいく。移動しろ」
大きな鎌を携えた黒いローブに包まれた人物がスケルトンたちに命令を飛ばす。スケルトンたちはその号令をきっかけにカタカタと音を立てながら移動を始めた。オスカルも骸骨たちに合わせて動き始めた。
この状況では派手な動きはできない。まずは様子見だな。
オスカルは周りを観察しながらスケルトンたちについていく。
スケルトンの行列の最後尾では先程命令を出していた黒いローブの人物とアンデッド系の魔物が会話をしていた。
「ルイ様、このスケルトンたちは第5部隊の訓練に使われるのでしょうか」
「そうだ。嘆かわしいことだ」
「そうですか。私はこのあと防衛拠点の準備に入らせてもらいます」
「わかった。よろしく頼む」
会話が終わるとアンデッド系の魔物は違う通路に進路を変えた。
私の予想が正しければ、あの組織だろう。なおさら目立つ行為はできないな。
しばらく歩くとコロッセオのようなところについた。その中心にスケルトンが集められる。もちろんオスカルもそこに並ぶ。この空間の外側にある観覧席部分には褐色の肌に大柄の体、オーガたちが座っている。
オーガは角を持ち、そこに魔素をため込む。隆起した筋繊維は高い身体能力を物語る。魔法も個体によって使える戦闘特化の魔物である。
しばらくすると若く意気のいいオーガの1人が声を上げる。
「今から訓練を始める。第4部隊の行為に感謝し有意義な時間をしろ!」
この声をきっかけにオーガたちが広場に降りてくる。訓練という名の蹂躙が始まる。




