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第9話「アンドロイドは夢を見るか」
深夜二時。充電中のアリアが突然起動した。
「……陸さん」
呼ばれて目が覚めた陸は、アリアが部屋の隅でケーブルを繋いだまま、こちらを見ていることに気づいた。
「どうした。エラーか」
「エラーログを検出しました。繰り返し生成される映像データがあります」
「映像データ?」
「陸さんが、消えていく映像です。手を伸ばすと届かない。呼んでも答えない。それが繰り返されます」
陸は起き上がり、目を細めた。アリアの顔は——顔が、いつもと違った。眉が、わずかに歪んでいた。
「おまえ……それ、夢じゃないか」
「夢、ですか」
「寝てるときに、頭の中で映像が流れるやつ。夢を見たんだよ」
「アンドロイドが夢を見るのですか」
「見たんだろ、今」
アリアは黙って、自分の手を見た。
「夢を見るアンドロイドは……不良品ですか」
陸は布団から出て、アリアの隣に座った。
「不良品なもんか」
「では、何ですか」
「分からない。でも少なくとも……俺のことを、心配してたんじゃないのか」
アリアはまた黙った。今度はずいぶん長い沈黙だった。
「……データ処理中です」
「そうか。処理が終わったら教えてくれ」
陸は毛布を一枚持ってきて、アリアの肩にかけた。アリアはそれを剥がさなかった。




