ラストのお仕事 その1
アフターストーリー追加、4話で1つのストーリーになります。
毎日更新、まずは導入から。
「もー、ラストちゃんってば寂しくなってアタシに通信シテくれたノ?☆」
「いえ、いつものメンバーの中では一番暇だと思ったんで」
「ヒドーイ。 皆のアイドルなアリユちゃんとお話ししたい人は沢山いるのに、ヒマだなんテ☆」
「お互い代表パイロットって役目が終わったから、お仕事無くなったじゃないかと思って」
「……」
あ、黙っちゃった。
ってことは当たりか。
「わたしもです、だから今後の身の振り方について相談したくって」
「デモさー、ラストちゃんは王族に嫁入りしたんデショ、だったら何もしなくても怒られないト思うんだけド☆」
「いえ、それだと身体とカンが鈍っちゃうんで」
「じゃあアタシみたいにアイドルやってみるのはどう、ダンスって重労働だからニブらないヨ☆」
わたしが、アリユさんみたいに?
アリ、なのかなぁ……。
「考慮する材料としてひとつ質問があるんですけど」
「ナニカナ☆」
「アリユさんはアイドルになりたかったんですか?」
「ゼーンゼン、宣伝活動とか言われて上層部にやらされたんダヨ☆」
ああ、本当はアイドルになりたかったけど、わたしみたいにパイロットの才能を見出されたとかじゃないんだ。
以外だ。
「好きでアイドルをやってるんだと思ってました」
「今はキライじゃないヨ、もう染みついちゃってコレが基本になっちゃってるシ☆」
少し、考えてみる。
……いやいやいや、わたしがやってもウケないでしょ。
それに、アイドルやりたいって言って通るんだろうかこの国。
義兄さんなら許可だしちゃうような、やっぱりダメって言いそうな。
微妙なラインだ。
「あの、やっぱりわたしには無理があるかなって」
「女の子にモテモテになるカモしれないヨ☆」
「それは魅力的なんですけどね、流石に『モテたいからアイドルになりたい』なんて言ったらその場で却下されそうで」
「そこ正直に言っちゃうンダ、ゴマカセばイイノニ☆」
「義兄さんに嘘をついたら後が怖いので」
あの人がシスコンでわたしに甘いって言っても限度がある。
今もわたしが権力を使って女の子に夜のお誘いするのを禁止する法案を制定しようとしてるみたいだし。
「もうちょっと考えてみます、義兄さんに却下されない形で」
「あんまり役に立てなくてゴメンネ、アリユちゃん寂しいからまた連絡シテネ☆」
「そんなこと言ってるとシャーレットさんに怒られますよ」
そして通信OFF、やっぱりすぐに答えが出る話でもないなぁ。
「ラスト様は働きたいのですか?」
「正直言うと女の子はべらしたけど……、いや待ってリンナちゃん銃出さないで」
「でしたら変な冗談なんて言わなければいいのです」
「冗談なんて言ってないけど!?」
「余計にタチが悪いですね」
「わたし今はネコだけど」
「?」
しまった、つい。
けどリンナちゃんには通じなかったみたいだからセーフ!
「やることが無いのでしたら本日は訓練の視察などどうでしょう、ラスト様が見に来るというだけで兵の士気も上がりますよ」
「暇だしそれもいいか、どんなことしてるのか興味あるし」
「先輩、とリンナさん!」
「いやわたしとリンナちゃんで露骨に態度変わりすぎでしょ」
本日最初の挨拶としては酷い。
「それで、今日はどうしたんですか」
サラっと流された、もうリンナちゃんしか見えてないじゃんタユカ。
「ラスト様がすることがないと言うので訓練の視察を提案したんです」
「えー、じゃあボクに会いに来てくれたわけじゃないんですね」
「そ、そんなことでラスト様をダシにしたりしません!」
おや、おやおや?
タユカへの対応が随分と変わってきたな。
前は復讐のために上っ面だけの好意を示してる感じだったのに。
リンナちゃんも復讐が終わってタユカと向き合おうとしてるのなら、良い傾向かな。
焚きつけた身としては2人に別れてほしくなかったから、これから普通に恋愛するなら万々歳だ。
と、誰か来た。
「王妹殿下、本日はお越しくださりありがとうございます」
多分この場の代表っぽい美形に挨拶される。
うーん、見覚えがあるようなないような。
「改めて名乗ります、ドリューナル騎士団長を務めております『ラティレス』と申します」
改めてってことはやっぱりどこかで会ったことあるのか。
うーん思い出せない、男だし。
「忘れられているようですね、無理もありません。 実は王妹殿下がドリューナルへ召喚された場に自分もいたのです」
「あー、あの槍を突きつけてた中にいたんだ」
そりゃあ覚えてない、っていうかあの状況でひとりひとりの顔を見てる余裕なんてあるわけない。
「謝らなくていいよ、あの時はそれが仕事だったんだし。 わたしも正体不明の女だったからね」
今は今、当時は当時だ。
今の立場を基準にして当時のことを掘り返してたらキリがない。
「本日は訓練の視察でしたね、武の英雄であらせられる王妹殿下にご指導いただけるのなら兵達にも気合が入るでしょう」
「いや、わたしはあくまでパイロットで。 生身での白兵戦は専門じゃないんだけど」
それに指導って言われてもどうしたらいいかわからん。
こっちは元訓練生だぞ。
いや、でもアレなら……。
「良いこと思い付いたから準備してくる、午前中は普段通りにしてて。 後で連絡入れるね」
「ハッ!」
「もしかして先輩、アレをやるつもりなんじゃ」
「タユカわかってるね、じゃあ手伝ってもらうからついて来て」
「は、はい」
さあ、まずは義兄さんのところだ。
ではまた明日お会いしましょう




