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21 戦い




「ったく、人質さえいなければこうも手古摺る事は無かったものを」

「ハクア様」

「アイツらさえいなければ適当に襲撃して連れ出せばよかった。あんなの、言葉をどう繕ったと


ころで都合のいい人間の盾に他ならないだろう」

 モニターの並んだ暗い部屋。若い男が画面に向かって話しながら手を動かしていた。

「生命維持装置なしでは生きられないような人間を乱暴に扱う訳にはいかないからな」

 次々実行される沢山のプログラム。画面の向こうで銀髪の少女が振り向いた。

「作戦は順調ですよ」







「で、どうやって化け物の元を壊すつもりなんだ?」

「分かりません」

 討伐隊の一人が、小さな少女と共に行動する。

「けれど、実際にそれを見れば自ずとわかるはずなので心配しなくても大丈夫なのです」


「製作者は他にもやる事があって忙しいのです」







「我々は悪しき支配者によって醜い姿に変えられた、救世主の使者だ。間違っても悪魔の類ではないし、滅すべき存在ではないのだよ」

 流暢に喋る化け物。

「それはそれとして、正直邪魔なんだけど」

「我々を魔物などと一緒にするな」

「普通の魔物だって、別に悪い奴じゃないしね。邪魔だから戦ってるだけだし、お互いに力を高めあうライバルでもあるし」

『魔物側はデスペナルティが無い上、自分達の領分で人に挑戦するだけでも力が手に入るぞ』

「あ、いーなー」

「あの説教は結構効くよね」

「あんまり死にまくると魔物に変えられるって噂聞いたよ」

「マジでか」

『いや、それはただの噂だ』








「昔話をしよう。化け物達が現れたのは何も今回が初めての事ではない。今から約十年前。一番最初に生まれた年長組すらまだ武器を持っていなかった頃の話だ」

 創造主はゆっくりと話をする。

「当時はまだまだ防衛体制に穴があったが、その頃はまだ奴らもこちらを見くびっていて、初動こそ遅れたものの、難なく撃退し、彼らの襲撃データを利用して防衛システムを構築した」




 ヤクモはシラハに話す。

「外の世界……絶望の世界とも呼ばれる場所がある」


「けれど、絶望の世界というのは所詮俗称だ。あれはもともと絶望の世界でも何でもない、普通の世界だった」


「俺が思うに、あれが腐り落ちた原因は絆の概念化によるものじゃないかと思っている」


「絆というのは本来目に見えるものではないし、定義できるような形を持っているものでもない」

「相手と自分を信じ、相手も同じ事をした時に自然と生じるものだ」

「だが、人付き合いが希薄になる中で、相手を信じる事が難しくなっていった。無理もない。生きる事に直接他人を必要としなくなったことで、はなから他人を大切にしない人が現れ始めたのだから」

「楽な道があれば選ぼうとするのが生き物だが、一見遠回りの方が実は近道だとか、目の前の物につられたら遠くでとんでもない物を失っていたとかいうのは実によくある話だ」

「難しい人付き合いを条件付けすればなんてのは、積み木を積むのにいちいち角度だのを計算して積むようなもの。それで本当に楽になるのは、とてつもなく賢い人か、逆に感覚的な認識が極端に苦手な人ぐらいなものだよ」





「我々は解放者だ。この箱庭に閉じ込められたお前達を外に出してやる」

「何言ってんだ? 誰が閉じ込められてるっていうんだ。俺達は出ようと思えばいつでも出られるし、過去にも外へ出た奴はいるぞ?」




「つ、作リ物、の、世界ヲ守、ッて、何になるト、デモ……」

 化け物が呪詛のように叫ぶ。


「作り物って言ってもなあ、全てが誰かによって作られてるってのは当たり前の事じゃないのか?」

「でも、創造主様はよその世界から来たっていうし、そっちの世界では当たり前じゃないのかもよ?」

「外の世界ってどんなところなんだろうな」

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