第2話 助力
「じゃあまず傭兵になるために色々準備しないとな。」
ケルベスは言う。
「てかよく考えてみればこんなぽっと出の傭兵に誰が依頼なんてするの?」
「たしかに、それもそうだな…じゃあ人助けとかをして周りからの名声を得るってのはどうだ?」
「たしかにいいアイデアだわ、じゃあ早速人助けしに行きましょう!」
2人は人助けをするために緑色の空の下に向かった。
「多分ここには行ったことないだろ?」
「そうね、私が行ったことある空は青の空と朱色の空だけ。」
それを聞いてケルベスが念じろうとすると…
「ちょっと待って!あんたその姿で行くつもり?さすがに怪しまれるわよ?」
当たり前のことだ、こんな黒くて丸っこい身体の生き物が怪しまれないはずがない。
「じゃあどうすればいいんだ?」
「そうね、人間の姿になれない?」
「まぁ人間の姿くらいなら魔力を使わなくても行けるか…」
そう言うとケルベスは人間の姿になった。
「ちょっとアドバイスしてもいい?足をこうして…髪型はこう…目はもう少しこうがいいわね…」
マーセがアドバイスをしていると…
「おい、ちょっといいか?」
ケルベスは怪訝そうに目を細めてマーセを見つめて言う。
「なに?」
「いや、お前鼻血出てるけど、もしかしてお前の性癖詰め込んでねぇか…?これ。」
「ちぇ、バレたか…」
「テメェ俺で遊ぶな!変身って疲れるんだぞ!」
「別に遊んでないし〜。ただちょっと妄想してただけだし〜。」
「このエロガキが…」
結局マーセのアドバイスをガン無視して自分の好きな姿になったケルベスとマーセは白い光に包まれた。
やってきた国はノースステラと言うようだ、なぜわかったのかと言うと、ケルベスは空の魔力を感じ取ってここがどういう場所がわかるらしい。
「ここには困ってる人は居なさそうね、都市部に行ってみましょう。」
どうやらマーセ達は郊外に転送されたみたいだ。
都市部に着くと商店街や家がたくさんあり、荒廃した世界にしてはかなり賑わっていた。
(みんな世界が荒廃しても頑張っているのね、私達も頑張らなきゃ。)
こう考えながら街中を歩いていると、どこかから女の子の泣き声が聞こえた。
「お、早速手助けできそうだな!行こうぜ!」
ケルベスが泣き声が聞こえる方に向かおうとすると…
「ちょっと待って、多分私が行った方がいいんじゃない?」
「なんでだよ。別に誰がやっても変わらねぇだろ?」
「だって、あんたの姿結構怖いわよ?」
ケルベスは自分の好きな姿に変身した結果、かなりワイルド…っていうか普通に怖い見た目になっていた。声的に幼い少女だし、さすがに怖がるだろう。
「なんだよ、オレのセンスにケチつけるのか?」
「別にそういう意味じゃ無いわよ、まぁとりあえず私が行くから、あなたはここで待ってなさい。」
マーセはケルベスを置いて泣き声がする方に向かっていった。
「うわーん!」
「どうしたの?」
マーセは女の子に尋ねる。
「風船が高いところに引っかかっちゃったの…」
マーセが空を見上げると、3メートルくらいある街灯に風船が引っかかっていた。
「お姉ちゃんが取ってあげようか?」
マーセは優しそうに女の子に言う。
「取ってくれるの?」
半べそをかきながら女の子はマーセを見つめた。
「私木登りは得意だから、任せて!」
マーセは街灯に登って引っかかっている真っ赤な風船を握りしめ、街灯から降りていった。
地面に足を着くと女の子はマーセに近づいて
「ありがとう!お姉ちゃん!」
とお礼をした。
「ちょっと待っててね!」
どうやら女の子は何か恩返しがしたいみたいだ。
「はい!これどうぞ!私が焼いたの!」
女の子はポシェットからパンを取り出し、マーセに渡した。
「いいの…?ありがとう!」
(なんでだろう…普通のパンなのに…なんでこんなに嬉しいの…?)
マーセの目から自然と涙が溢れ出る…
「お姉ちゃん、なんで泣いてるの?」
「ううん、なんでもない。」
女の子にバイバイと言ったあと、マーセはケルベスの元へ向かった。
「あれ?ケルベスは?」
ケルベスが待っている場所に着くと、何故かここにはケルベスの姿はなかった。
しばらく待っていると、遠くから聞き馴染みのある声が聞こえてくる。
「よう!マーセ!こっちも人助けが終わったところだ!」
ケルベスはパンパンに膨らんだ袋を持ちながらやってきた。
「この袋なに?」
マーセは不思議そうにケルベスに尋ねる。
「見てみろよ、金だぞ!」
中にはなんと大金が入っていて、ざっと数えて10万円くらいはあった。
「え?!ちょっと何この大金?!あんた何か盗った?!」
(こんな短時間で10万円なんて稼げるわけがない…!きっと何か悪い事をしたに違いないわ!)
「ちょちょちょ!誤解だよ!落ち着け!」
ケルベスがマーセを落ち着かせようとしてると…
「この話はわしがしよう。」
いきなり、80歳くらいのお爺さんがマーセ達に話しかけた。
「あっ!あの時のおっちゃん!」
ケルベスはこのお爺さんのことを知っている様子だった。
「この子が盗まれたわしのお金を取り返してくれたのじゃよ。」
お爺さんは取り返してくれたお礼にこのお金の半分をケルベスにくれたみたいだ。
「オレにかかれば空飛んで泥棒なんてちょちょいのちょいだ。」
「あんた空飛んで大丈夫なの?怖がられない?」
「まぁまぁ、そうカッカすんなって、結果オーライってやつよ。」
「わかったわよ、だけど過度な変身はやめてよね?」
その後、2人は日が暮れるまで人助けを続けた。
「疲れたなぁ、だけどこの国で結構話題なってるらしいぜ?オレ達。」
たしかに、人助けをすればするほど街を歩いてて助けを求められることが多くなっていた気がした。
「いい感じじゃない、じゃあそろそろ日も暮れるころだし、帰りましょ。」
2人が帰ろうとしたその瞬間…!
ドカーン!
「?!」
マーセとケルベスは驚いて辺りを見渡した。
「敵軍が攻めてきたぞ!みんな逃げろ!」
叫び声を上げながらたくさんの住民たちが逃げていく姿が見えた。どうやら戦争がこの国でも起こったらしい。
「やばいわよ!私達も逃げないと!」
しかし、逃げようとするマーセをケルベスは掴む。
「ちょっと待て!これはチャンスだぞ…この戦争にオレ達も参加して一気に名声を得ないか?」
「たしかに…!そうとなれば行きましょう!」
マーセとケルベスは戦場に足を運んだ。




