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魔法学院の七誤解  作者: チョコレ
第二誤解 偽りの演劇
20/94

第3話 魔王確定

 終わった。


 ようやく最近、アルマと図書館で勉強できるようになって、「誤解もまあ、悪くないかもな……」なんて思った。思っちまった。そう、あの瞬間の俺を全力で殴りたい。ド直球で。


 今、俺は学院広場の片隅で腕を組んでいる。

 壇上では、生徒会長セリーヌがキラキラしながら喋っていた。


「今年の魔法劇のテーマは、『魔王降臨の儀式』です!」


 は?


「魔法劇は、学院の伝統行事のひとつ! 一年生が半年で学んだ魔法とその応用力、表現力、戦術構築力を、劇の形で上級生に示す“実技の集大成”です!」


 熱く語るセリーヌと、大歓声の一年生たち。

 待て待て、なんだそのテーマ!?

 降臨? 魔王? 儀式!?

 俺に喧嘩売ってんのか!?


「なお、配役はすべて、魔導抽選によってランダムで決定します!」


 嫌な予感しかしない。


 セリーヌが魔導カードを掲げ、淡々と読み上げていく。


「『封印を守る聖女』役は……アルルマーニュ・デュフォンマルさん!」


 うん、まぁ、そうだろうな。

 知性も気品も完璧なアルマに、聖女とか似合いすぎる。

 なんかもう、立ってるだけで後光射してるし。


 なのに次の瞬間。


「『魔王』役は……アレクシス・ナイトロードさん!」


 ……………………。


 おい。


「ちょっ待て!! なんで俺なんだよ!!?」


 叫んでも、誰も驚かない。

 むしろ納得してやがる。


「やっぱり……!」

「これは運命か……」

「選ばれし器……」


 いやいやいや、抽選だろ!?!?

 ランダムって言ったじゃん!!!

 俺、朝から何も悪いことしてねぇぞ!!?


 そのとき、空気が一段階ざわついた。


「おやおや……これは、実に……興味深い!」


 ヴィクトル教授、登場。

 白衣は焦げてるし、瞳孔は開いてるし、

 なのにテンションだけは爆上がり。


「魔法劇で封印の揺らぎを観測できるとは……! 」

「絶対に観測なんかさせねぇよ!!」

「論文三本は書けるぞ…!! あぁ、震える……!」

「震えるな!!! 何が始まるんだよ!!!!」


 生徒たちも盛り上がってくる。


「演劇中に覚醒したら伝説じゃない?」

「むしろ“演出”にしか見えないから安全なのでは!?」

「まさか、封印を“劇中で”解くなんて……!」


 誰か止めろォォォォ!!!!


 俺は最後の希望を握りしめ、セリーヌに詰め寄った。

「なぁ……俺、降板していいよな……?」


 セリーヌは一切の迷いなく、


「ダメです。」


 崩れない生徒会長スマイル。


 俺の未来、魔王確定。

 演じるのは、世界の敵。

 封印されるのは、俺。

 その封印を施すのが――アルマ。


 最悪だ。いや最強か?

 いやどっちでもいいからやめろ。


 そのとき、ふと横目で見えた。

 リハーサル席で魔導ノートを見つめるアルマ。

 無表情だけど、ほんの少しだけ、笑ってた。


 ……なんで、そんな顔で微笑むんだよ。


 俺の妄想が走る。


 劇のラスト、封印される“魔王”と、“聖女”が向かい合って――

「もう一度やり直しましょう」とか、「あなたを信じてる」とか、

 そんなセリフを――


 ……あれ、なんか悪くないかも。


 誤解されるのはもう慣れてるし、

 だったらせめて、

 誤解されたまま、アルマと演じられるなら――


「いや! でもやっぱ誰か脚本書き換えてくれぇぇぇぇぇ!!!!!」


 俺の叫びは、学院の秋空に見事なまでに吸い込まれていった――。

この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。


https://ncode.syosetu.com/n8980jo/


「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、ぜひ【★★★★★】の評価やコメントをいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


@chocola_carlyle

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