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魔法学院の七誤解  作者: チョコレ
第二誤解 偽りの演劇
21/94

第4話 魔王と聖女

 これは、どう考えてもおかしい。


 今、俺は学院の中庭に組まれた特設ステージの上に立っている。本番じゃない、リハーサルだ。なのに、胃が。ずっとキリキリしてるんだが。


 目の前には、演劇部が全力で作り上げた“魔王の玉座”。禍々しい黒と金の装飾、浮遊する魔法陣、空気まで重くなるマナ演出付き。


 これ、魔法劇だよな?


「では、魔王役のアレクシス・ナイトロードさん、第一幕の台詞お願いします!」


 演出係がキラッキラの笑顔で指示してくる。

 その目、完全に楽しんでやがる……。


 俺は、台本をめくって、読む。

「今こそ我は封印より解き放たれ、再びこの世を闇に染め上げる!!」


 いや待て。

 これ、俺の誤解そのままじゃねぇか。


「お坊ちゃま、お芝居ですから。多少の誤解は“味”ですよ♪」


 横で紅茶を片手に涼しい顔のリリス。意味わからん優雅さで笑ってる。もはや舞台スタッフじゃなくて謎の演出家だろお前。


「味が濃すぎるんだよ!! 俺、舞台で伝説の再現してんじゃねぇか!!」


 衣装も容赦なかった。

 漆黒のマントにドクロベルト。

 禍々しき王剣とか名付けられた重すぎる剣。

 

 誰だよこれデザインした奴!!!

 俺を魔王にする気満々じゃねーか!!


 でもひとつだけ、救いはあった。


 対面に立つ“聖女”役、アルマ。

 金髪碧眼、天才特待生。

 聖なる衣装で完璧にキメてる。

 あの横顔。あの眼差し。

 やばい、普通に好きだ。


「なあアルマ……もし俺が本当に魔王になったら……お前、止めてくれるか?」


 照明の魔法がふわっと照らす。

 俺の演技、けっこうキマってたと思う。

 なのに――


「もちろん。即座に討つわ」


 即答かよォォォォ!!!


「もっとこう! 王道ヒロインみたいな、信じてる的なヤツは!?」

「だって魔王は討つべきでしょ?」

「いや、台詞としては正しいけど情緒が死んでる!!」

「じゃあ、本番ではこう言うわ」


 アルマは静かに構えを取り、凛と告げた。


「アレクシス・ナイトロード。私はあなたを討つために生まれてきた」

「なんで劇の外でラスボス宣告されてんの俺ェェェ!!?」

「光の槍も飛ばすから、避けてね」

「討つ気満々じゃねぇかァァァ!!」


 そのやり取りを聞いていた生徒たちがざわつき始める。


「魔王と聖女……完璧すぎる……!」

「本物だ……これは預言の再現……!」

「伝説が、目覚める……!」


 待て待て待て!!!


 しかも、その時だった。

 ステージの上で、俺が玉座に座った瞬間。

 なぜか、観客席の一角がひざまずいた。


「ナイトロード様ァァァァ!!!」

「魔王ご降臨にございますぅぅぅ!!!」

「我ら、忠誠を捧げますぅぅぅぅ!!!!」


 おい、信仰イベント始まってんぞォォォ!!!??

 お前ら、どこまで脳内補完すれば気が済むんだよ!!?


 ティーカップを優雅に傾けながら、リリスが微笑む。


「ふふ……魔王、ご誕生ですね」

「認定すんなぁぁぁぁ!!!!」


 なのに、玉座の周りに生徒たちが集まり、

 何故か俺の足元に“魔王軍”って旗まで立て始めてる。

 アルマはアルマで、舞台袖から本気の光魔法構えだすし。

 なにこれ、どこのラスボス戦前夜!?!?!?


 そうやって演劇練習は、信仰と勘違いの嵐に飲まれいく。

 誰か、劇の脚本より先に、俺の人生書き換えてくれ……。

この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。


https://ncode.syosetu.com/n8980jo/


「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、ぜひ【★★★★★】の評価やコメントをいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


@chocola_carlyle

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