第1話「奪われた家族」
――50年前。
世界は変わった。
突如として現れた異形の存在。
人間を喰らい、街を破壊する怪物。
人々はそれを恐れ、こう呼んだ。
鬼――。
鬼は人間を遥かに超える力を持っていた。
銃弾は効かない。
刃で斬っても傷はすぐに塞がる。
人類は敗北を続けた。
国は崩壊し、世界は鬼に支配されていった。
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そんな絶望の中、一人の男が立ち上がる。
「鬼と戦える者を集めろ」
「人類には、まだ戦う力がある」
そして誕生した組織。
滅鬼団
鬼を討ち、人間を守るための戦士集団。
しかし……
鬼との戦いは、まだ終わっていなかった。
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現在
山奥の小さな村。
そこには、仲の良い家族が暮らしていた。
父。
母。
そして二人の子供。
兄――
早本総司
10歳。
妹――
早本美月
8歳。
「お兄ちゃん!」
美月が笑顔で駆け寄る。
「また剣の練習してるの?」
「ああ。強くならないと」
「なんで?」
総司は木刀を握る。
「父さんみたいに、みんなを守れる人になるため」
美月は嬉しそうに笑った。
「じゃあ私も応援する!」
「約束な」
「うん!」
その約束が……
最後になる。
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その日の夜。
村に異変が起きた。
風が止まる。
鳥が逃げる。
そして――
悲鳴。
「鬼だ!!」
村人の叫び声が響く。
総司が外を見る。
そこには……
赤い目をした怪物がいた。
「……鬼」
父の表情が変わる。
「総司、美月を連れて逃げろ」
「父さん?」
父は刀を抜く。
「絶対に振り返るな」
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鬼が家の壁を破壊する。
「人間の匂い……」
鬼が笑う。
父が斬りかかる。
しかし――
一瞬だった。
鬼の腕が父を吹き飛ばす。
「父さん!!」
総司が叫ぶ。
母も鬼へ向かう。
しかし敵うはずがない。
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総司は美月の手を握り、逃げようとする。
しかし……
鬼が二人の前に現れた。
「逃げるのか?」
鬼は二人を見る。
そして美月を見る。
「……ほう」
鬼の表情が変わる。
「この娘……」
「鬼王様が探していた存在か」
「え?」
総司には意味が分からなかった。
鬼は美月へ手を伸ばす。
「やめろ!!」
総司が立ち向かう。
だが――
力の差は大きすぎた。
吹き飛ばされる総司。
「お兄ちゃん!!」
美月が叫ぶ。
「美月!!」
総司が手を伸ばす。
しかし――
届かない。
鬼は美月を抱え、闇へ消えていく。
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「待て!!」
「美月を返せ!!」
総司は必死に追いかける。
しかし鬼の姿は消えていた。
残されたのは……
燃える村。
倒れた両親。
そして――
奪われた妹。
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その夜。
総司は瓦礫の中で拳を握る。
涙を流しながら誓う。
「俺は……」
「必ず強くなる」
「鬼を倒す」
「そして……」
「美月を取り戻す」
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数年後。
15歳になった早本総司は、一つの門の前に立っていた。
巨大な旗。
そこに刻まれた文字。
滅鬼団
総司は双剣を握る。
「待ってろ、美月」
「必ず迎えに行く」
こうして――
少年の鬼討伐の物語が始まる。
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第1話 完




