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デウス・エルス・マキナ




 クルス先生……いやクルスがそう言ってパチンッと指を鳴らすと、薄暗い室内が突如明るくなった。


 すると――、


「…………ッ」

「何よ……これ……」


 クルスの背後に、巨大な人型の建造物が置かれていた。腰から下、足の部分は無いのに高さは10メートル以上はある。


 外見は羽があり、天使をモチーフにされているようだった。

 だが、巨大な天使は全て歯車やネジ等の機械道具で構成されている。


 その姿はとても異様に見えて、まるで別世界で造られた物のように思えた。


 例えば――地球とか。



「これの名は機械仕掛デウス・けの女神天使エルス・マキナ。王宮の地下に封印されていた、古代の神兵器です」




 何が兵器だ、ガラクタの間違いだろ。


「私はこれの存在をある文献で知っていました。王宮の地下に封印されていることも、使い方もね。恐らく王様も先王から伝えられているでしょう。だが王様は使わなかった……いや、使えなかったのです。何故ならデウス・エルス・マキナを起動するには王家の血が流れる命を犠牲にしなければならないからです」


「「ッ!!?」」


 このクソ野郎、だからシスティスを狙いやがったのか!


「王家の血を散らせる筈がないですからね。しかし代々の王には我が子を犠牲にした王もいたみたいですよ。まぁ、正確な起動詠唱を知らなかった為失敗したようですが」

「そう言うんなら、お前はその詠唱を知っているのか」

「その通りです。だから私はシルベスタ様と交渉し、デウス・エルス・マキナを秘密裏に王宮地下からこの塔に移しました。起動する事が出来たのならば、この国にいる他種族を滅ぼすという条件でね」

「何で……何でシルベスタ様がそんな事するのよ!?」


 カタリナが怒鳴るが、クルスはやれやれといった表情で、


「あのお方は超が付くほどの人間主義なのです。そして政権を奪われてから、他種族に対する憎しみは倍増した。だから私にデウス・エルス・マキナを託したのです。愚かですよね、のちに私に裏切られて殺されるとも知らずに」

「そ……んな……」



 とんだクズ野郎じゃねえか、元王妃も、こいつもッ。

 俺はクルスを睥睨しながら、


「システィスはどこだ」

「おや? まだ気づきませんか。彼女なら最初からあそこにいますよ」

「ッ!!」

「システィス!!」


 目を凝らして見てみると、機械神の中心にカプセルがあり、カプセルの中にシスティスが囚われていた。


 そこにいたのかシスティス、今助けてやるからな。


「おっと、無闇に手を出さない方が彼女の身の為ですよ。既に起動は完了してますから、システィス君は完全にデウス・エルス・マキナと同化しています。これを破壊したりカプセルから無理矢理出そうとすれば、その瞬間に彼女は死ぬでしょう」

「……ちっ」

「そんな……それじゃあどうすればいいのよ」


 同化だと……面倒臭ぇ事しやがって。助ける方法あんのかよ。


 俺は壊すのは得意なんだが、こういうのは苦手なんだっての。


「せめてもの情けで、彼女自らの手で殺してあげましょう」


 クルスがそう言うや否や、機械神が起動した。


 ズズズスゥゥゥンンッと機械が駆動し、羽が広がり、目のパーツが翠色に光り輝く。


 デカいな……。それと何故かは分からないが、見ていると神々しく思えてしまう。側にいるカタリナの様子を確認すると、あの機械神に魅入ってしまっていた。

 それだけの格の存在って事か……。



「さぁデウス・エルス・マキナよ、あの虫ケラ共を駆逐しなさい!」



 クルスが命令を下すと、機械の右腕が強襲してくる。


 速い。が充分避けられる程度。しかし背後にカタリナがいるので、俺は少し距離を詰めて巨大な鉄拳を受け止める。


「ぐっ……」


 おいおい、力も結構強いぞ。魔王の第二形態ぐらいはある。いや……それ以上かッ。


 余裕をかましていられる敵ではないようだな。


「カタリナ、お前は離れてろ! ていうか逃げろ!」

「でもシスティスがッ!!」

「言いたかねえが、お前がいても邪魔なんだよ! システィスを助けたいって思うんなら、言う通りにしてくれ!」

「……! 分かった、システィスをお願い!」


 自分も協力したいって顔をしているが、俺の頼みを優先してくれたカタリナは急いで塔から出ようとする。


 そう、それでいいんだ。

 カタリナがいたら、いざとなった時力を解放できないからな。


 だが、カタリナが塔から脱出する事は叶わない。

 何故なら、突然扉が閉まりカタリナが開けようとしてもビクともしないからだ。


「何で開かないのよ!?」

「逃す訳ないじゃないですか。君達はここで死んでいくんです」


 んの野郎、扉になにかしやがったな。


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