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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第3章 文化祭とお嬢様
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第十二話 告白

ユニークユーザー2205人。PVアクセス16652。前日アクセス数240

お気に入り登録数21件

ありがとうございますorz

感想等お頂ならなくても、これかだけ見て頂いてくれる方々いるのでとてもいいモチベーションとなります。

では、第三章文化祭とお嬢様最終話どうぞお楽しみください。

 告白。という言葉を聞いたことのない人はおそらくいないだろう。

 あることを相手に打ち明けたり相手に告げたりする。つまりは隠していたこと、あるいは発覚したことを伝えることと思っていい。

 では、こっちの告白はどうだ?

 異性に自分の気持ちを伝える方の告白だ。

 青春を謳歌している学生ならだれもが体験したい、あるいは一度は勇気を出してやってみたいものではないのだろうか。

 校舎裏で好きなあの子に自分の気持ちを伝える。しかしその子の返事は必ずしも首を縦に振る、あるいは受け入れることなどは数少ないだろう。

 一般にも彼氏彼女がいるやつを『リア充』と称している人たちが多数。

 リアルを充実している人物。あるいは恋人がいる人のことをさす。

 中学校時代、そのような人物はそう多くはなかった。

 クラスのやつに1人はイケメンが存在する。とよく聞きがちな言葉でそうでもないのだが、実際俺のクラスにいたイケメンは中学三年間告白されたものの自分から告白をして、首を縦に振ることは一回もなく中学を卒業していった。

 じゃあ俺はかって?

 俺は年齢=彼女いない歴であるため、そのような人物はいない。

 というよりもその人がいる前提で告白をしたこともされたことも皆無である。

 けれど周りには平気で女の子をナンパしては告白前に降られる。という奴がいるのは間違いなく悪友としての宿命なのかはたまた。

 おそらく彼なら平安時代の一夫多妻制を憧れて無理強いをしてまでもタイムマシンを作り上げて平安時代に乗り込むだろう。

 まあ、無理だけれど。

 しかしなぜおれはいきなりこのような話をしたのか。それは文化祭二日目の中夜祭が終わったのち、俺は悪友の林俊哉と近くの喫茶店で少し早い暖を取っていた。

 洋風でおしゃれなその喫茶店はこの時間帯、お客さんは夕食目当てで来る人が多い。

 そんななか、ブレザーにネクタイとどこからどう見ても仕事帰りのサラリーマンのように見えるが俺たちは一介の高校生です。

 店員にそんなことを聞かれた俺たちはよろよろと目立たないテーブルへと行く。

 俺はメニュー表を開きすこし腹の足しになるものを取ろうとしたが、俊哉は席に着くなりノートとペンケースを取出し頭をねじらせる。

 「まだこだわっているのかよ」

 「いいだろ、きれいな女の人ほどいい言葉をかけろって」

 一体誰の言葉なのかお聞きしたいことなんだけれどこいつが俺を喫茶店に誘った理由はそこにあるんだからな。

 文化祭最終日の明日はまさかの休日。しかし一般公開の開放は午後三時まで。そこからの後夜祭は生徒だけの物。ちなみにこれまでの前夜祭、中夜祭、後夜祭とプログラムが一通り終わった後の行事、体育祭以外は職員は不在である。

 だからと言って自由行動が許されるわけがない。

 基本自由参加なわけだから自由行動もくそもないんだけれど。

 体育祭はさすがに脱走する奴はいなかったようだけれど。

 しかしこいつ大丈夫なのかよ。

 告白する前から緊張してどうするんだか。

 「おいおい、これでニ十分たったぞ」

 「え?もうそんなんか!?」

 ああ、このミルクティー美味しいからおかわりしようかな。と思うけれどそんなことを繰り返しいたら俺の財布が空になってしまう。しょうがない。我慢してお冷で凌ごう。

 「そういえば空いた期間にほかの言葉は考えて来たんだろ?」

 「考えて来たっちゃ考えて来たけれど・・・・・」

 「なるほど。そういう訳か」

 「何がそういう訳だよ!!」

 行ってのとおりだよ。どうせこの前に見たいな「君の瞳に恋をしました」とかそんなものだろうけれど。期待はしないけれど。

 「ほれ、見せてみ」

 「しょうがねえな」

 俊哉はノートを俺に手渡し俺はペラペラとページをまくっていく。おいおい、この辺全部告白の言葉かよ。

 にしても・・・・・・・・ほとんどペケじゃん。

 流し読みで読んでいくとほとんどがバツ印と記されていた。

 しかし一つだけついていないものがあった。

 『叶わない恋なら俺が叶えて見せます』

 「なんだよこれ」

 ふと視線に止まったフレーズを見て俺は俊哉に聞く。

 俊哉はしっかりと凝縮された文面を見てううと唸る。

 「これは・・・・・・たしか姉ちゃんの少女漫画のフレーズをもじったものだった・・・・気がする」

 ずいぶんとあいまいな答えだな。けれどこれいいんじゃねえのか?

 俺がそう聞くと俊哉は首を横に振った。

 「なんでだよ」

 「だって、考えてみろ。もし利華に恋する人物がいて実はその人も利華のことが好きでっていたら完全に恋が実っている解釈になるだろ?もし叶わない恋をしているのならばそれでいいけれどあまりにもリスクが高すぎるぞ」

 なんだよ。ちゃんと考えているじゃん。

 確かにそんな点を考えればかなりのハイリスクで挑むことになるよな。

 にしても解釈ってよう・・・・・

 思わず苦笑しそうになる。

 でも見る限り賀川は俊哉のこと気にかけているだろ。

 あれはどうみても・・・・・・・・・・・・

 「という訳だから俺はこの言葉は使わない」

 そう考えれば確かに使えねえよな。いくら賀川が頭がよかったってこの言葉を理解するのにどれだけの時間がかかるか。

 「じゃあそれからいい言葉は思いあがったのか?」

 「まさか」

 そりゃあそうですよな。思いつくはずがない。

 やっぱりストレートに行けばいいと思うんだけれど。

 「そう焦るなって。時間はまだまだあるんだから」

 「何仙人みたいなこと言ってんだよ」

 誰が仙人じゃ。

 そんな会話を交わしつつ、俊哉は結局ストレートに行くことに決めたらしい。

 ストレートはストレートでもあまりにも極端に「好きです!!」だけだとされた側の気持ちを考えてみたい。

 小学生の告白じゃねえんだから。

 あとは当日の俊哉しだいだな。俺も賀川の方からどうにか言っておこうかな。

 喫茶店を出て俺と俊哉はそれぞれの道へと歩む。

 「あ、カシオペア座」

 ちょうど空を見上げた時、小さなその星座が俺の視界に入ってきた。

 蒼空も秋空にしては綺麗で澄んでいた。

 明日もこんな天気になればいいのに。

 と俺は日が沈んだ夜の街をゆっくりと歩いて行った。










 翌日、学校へ来ると、ピリピリとした空気がそこら中に漂わせていた。

 ちなみにほとんどは男子どもが放っている。

 見ていればわかるだろ?こいつら後夜祭の告白タイムに向けて気持ちを整えているかもしれない。今からそんなことしていちゃあ気力が持たないだろ。

 ちなみに今日の午前中のプロググラムはのど自慢大会や、一発芸などの催し物が開かれる。それから午後は一時から一般公開が解放。

 休日だから校外からいろいろな人たちが来るかもしれない。

 もしかしたら・・・・・・なんてことはあり得るかもしれない。

 けれど今日で最後だ。何とかここで乗り切って文化祭の振り替え休日は楽しむとするか。

 心の中で張り切っていた俺は教室の扉を手にかけ開こうとしたさなか、

 「せいやっ!!」

 前方から跳び蹴りをするものが約一名。

 たしか・・・・・・・なんだっけ?名前も名字も忘れちまった。

 そんなことを思いながら俺は俺はひょいっと跳び蹴りと紙一重でかわす。

 おそらくこんな余裕な回避技は反射神経を鍛えられた剣道をやっていた奴にしかできない。きがする。そもそも剣道と反射神経って関係あったっけ?

 まあ、子供のころから運動神経はよかったからそれとしておこう。

 そして俺に回避された名前の忘れた男子生徒はガッシャーンとけたましい断末魔の叫びと共にどこかに突っ込んだようだけれど俺は無視しいてく。

 しかし、

 「隙あり!!」

 後ろから誰かに羽交い絞めされ俺は身動きが取れる状態ではなくなった。

 え?何このシチュエーション。

 すると再び前方から押し寄せてくる人の波。それに俺は押しつぶされる。

 ううっ、重い。

 「ははっ、かかったな瀬原。これでお前の身柄を拘束できる」

 「俺が何したんだよ!!」

 ちなみに俺の前に仁王立ちで立っている人物は、四組の大垣昌平。俊哉と同様中学校時代からの友達みたいなものであるが、こいつとは二年のクラス替えで出会った。

 そういやこいつ、入学式に鈴川に一目惚れしたんだっけな。

 ああ、なんか帰りたい。

 「で、俺をどうしようっていうんだよ」

 「俺たち、一年生によって結成された『鈴川蘭後援会』は天敵、瀬原蓮司が鈴川さんへの告白を阻止するべく貴様の身柄を拘束しに来た!!」

 いや、何自信満々に言ってんだよ。

 「俺がいつ鈴川に告白するっていった?」

 「それは我々の予想で」

 ああ、そうか。偏見な予想を立てていきなり人を襲ったのかよ。

 「あのなぁ・・・俺は鈴川に告白しねえしされる必要性もないんだけれど・・・・だから早く降りろ」

 「いや、言葉だけでは何とも信じられないんだなせめて・・・・そうだな」

 いいから・・・・・・・

 どうせなら・・・・・・

 「お前ら全員今からフラれてこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!」

 俺は全力で上に乗っている輩を払いのけ教室の外へと追い出した。






 どんよりと疲労感が俺に体中を駆け巡る。

 朝っぱらからあんな騒動に巻き込まれて正直観念したかった。というかもう来るな。

 そんなかんなで俺は体育館へ移動して、ギャラリーで寝ることにした。

 ああ、憂鬱だな。

 別に俺は鈴川に告られようともしようとも思ってもいない。年齢=彼女いない歴なんだからそんなことはそうだ。

 「そういや賀川にも話をつけなきゃな」

 「私がどうかしたの?」 

 突然の出来事。

 俺は思わず瞑っていた眼を開けて顔を上げるとそこには暗闇ではっきりと顔は認識できないが、どこからどう見ても印象的な赤い髪が暗闇でも輝いているような気がする。

 まちがいなく目の前にいる人物は賀川利華。

 偶然の産物と言ってもいいのだろうか。俺にとっては好都合のようで不都合であったのだから。

 まだ話す内容がきちんと整理できていない。

 いきなり率直に「俊哉のことどう思う?」とか聞けるわけない。きいたら完全に俊哉が告白したら首を縦に振ってくれって俺が頭下げて頼んでいるようじゃねえかよ。

 「で、私に話したいことあったんでしょ?」

 「その前になんで俺がここにいるってわかったんだよ」

 「俊哉君が瀬原君探して来てって言われてギャラリーの隅で寝ているからって探しにいったら本当にいたのよ」

 ったく、前もってそうするのならあらかじめ言っておけよ。

 まあここで追い返すわけにもいかない。まさかあいつ、こうなることを見据えてやったわけじゃなかったら相当なあほになるよな。

 とりあえず話すだけ話すか。

 それを見計らって賀川は俺の隣に腰を掛ける。

 「こうやって二人だけで話すのは夏休み以来だね」

 「誤解するような発言になりそうだから控えめにしてくれ」

 「あら、俊哉君なら気にするなって言ってくれるのに」

 「あいつはあいつだ。俺はただでさえ鈴川の事で振り回されているんだから」

 今朝だって大変なもんじゃない。今まで鍛えてきた筋肉量がなければ今頃保健室で寝ていただろう。

 「そういえば瀬原君て蘭に告白するの?」

 「同じ質問には同じ答えで返す」

 「え?告白するの?」

 「おい!!この質問この前もしたよな?していない?俺しないっていったはずだぞ!!」

 ああ、こいつも同類か。と俺は頭を抱えながらため息を吐く。

 「そういうお前こそ、告白する奴はいねえのかよ」

 「いないわよ、私には」

 「じゃあ、されるのは?」

 「人による。だっていきなり名前も知らず、顔もあまり覚えていない人から告白されてもどうすればいいのよ。その人の性格とか考慮したうえで告白されれば考える余地はあるけれどその人の性格を知らないうえで告白されてもどうしようもできないわ」

 この口ぶりからして多分ずっと前からそんなようなこと、いや、そういう人と付き合ったことがあるっていう言葉だな。ったく、ご苦労なやつだ。

 「という事は、いくら今まで知り合った男子でもそういう奴はいなかった訳なのか?」

 「そうね。だから私は恋をしないのよ。最初から叶わない恋なんて」

 叶わない恋。実らない恋。

 それが今の賀川の現状。いまの賀川の気持ち。

 「そうか、よかったよ話が聞けて」

 「瀬原君どうなの?」

 「何がだよ」

 「恋って大変でしょ」

 とりあえずため息を吐きたくなる一言だな。

 「そうだな」

 とりあえずそう答えることにしておこう。

 「それでも初恋は小学校でしょ?」

 「なっ!!お前何処でその情報・・・・・・・」

 フフッと、小さく笑う賀川。

 あのバカ野郎。

 俺はここの中であのアホ野郎を蹴飛ばしたい気持ちでいっぱいだった。










 午後の一般公開も難なく終了し残すは後夜祭の告白タイムのみ。

 男子生徒はこの時をどれだけ待ちわびていたかと思うように手を両手に握りしめては天に祈りを捧げている。

 この学校はいつから宗教団体へと変化していったんだよ。

 とりあえず俺は俊哉を探す。

 日はもうすぐで沈みそうで周りの街灯などの明かりは既についている。

 星もちらほらと顔を出して雲一つない綺麗な空が俺の上に広がっている。

 俊哉は人から離れた朝礼代の縁に腰をかけていた。

 「ちょうしはどうだ?」

 「お前はいいよな。告白することなんてねえし」

 だったらお前もやめろよ。

 「で、言葉の方は?」

 「悪いけれど本番までのお楽しみな」

 本番て・・・・確かお前相当後ろだったよな。

 この告白タイム、まさかの順番制でありエントリーしたらランダムにその告白する順番の札が食らばれるという何ともモダンなセッティングであることは褒めたくもない。

 告白タイムに参加する人数は全員男子。まあ、女子はこういう公の場でなんか告白なんかできるわけないよな。

 参加人数は男子生徒504人中、140人の参加。俊哉の情報曰くこの人数の中のほとんどが鈴川、漆原会長、賀川に告白するらしい。

 鈴川なら放棄しかねないな。とりあえずどこか鈴川から届かない範囲で逃げてやり過ごすか。

 「瀬原君、どちらへ行くの?」

 げっ、また見つかった。

 なんでこう言うときに限っていつも現れるんだよ!!

 「あら、何その顔は。まさか私が急に現れて「んだよ。このアマは。ラブホに行きたければ後で連れて行ってやる」っていう顔しているじゃない」

 「俺はそんなこと思ってねえええええええええええええええ!!」

 誰がラブホに連れて行くだと?あ?誰なんだよ!!

 「あら、じゃあ、「俺の好みの下着は黒の紐ブラだからそんな子供っぽいものつけているお前には興味がない」っていう・・・・」

 「俺の好みってなんだよ!!しかもなんで子供って断定しているんだよ。おかしすぎだろ。俺変態じゃねえかよ!!」

 ダメだ。こいついかれてやがる。誰か止めてくれよ。

 「じゃあ、私は行くわね」

 「行くってどこにだよ」

 「あそこに決まっているじゃない」

 指で差されたその先には告白タイムのステージ。

 「なんだよ。もうお呼び出しかよ」

 「モテる女はつらないのよ」

 こいつ、自分で自分をモテるって言ってるぞ。

 さすがナルシスト鈴川。

 「あなたも頑張りなさいよ」

 何をだよ。

 そういいって鈴川は俺の前から立ち去る。

 はぁ、これでいいか。

 そろそろ始まる時間だな。

 俺は適当に腰を掛けて見物することにした。




 率直な感想を言うとみているこっちも精神的にきそうである。

 現在、138人目の人が鈴川に告白して撃沈された。

 これまで鈴川、漆原会長、賀川にその他数名が告白されて圧倒的にその三人の方が多かった。春富は数回だったけれど数日に及ぶテンションで今日は欠席らしい。

 それにしても鈴川も降り方っていうものもあるだろう。

 俺も自分で口にすれば精神的に参る。

 一番周りに衝撃を与えたのは「私には好きな人がいます」その言葉がマイクから響き渡るたびに男子生徒の視線がレーザービームのように炸裂する。

 うう・・・・・視線が。

 そういえばそろそろ俊哉の番だな。あいつもそろそろ舞台裏に・・・・・・・

 と、俺が周りをきょろきょろしたいたら賀川の姿が目に入った。

 なんで・・・・あいつがあそこにいるんだよ。

 俺も鈴川に夢中で気づかなかった。まさか、もう終わりだと思っていたんかよ。

 とりあえず俺は賀川のところに歩み寄る。

 「あら、瀬原君。どうしたの?」

 「どうしたもこうしたもねえだろ。なんでこんなところにいるんだよ」

 「午前中も言ったでしょ?叶わない恋なんてするものじゃないって」

 それはそうだけれど・・・・・・けれど、俊哉の気持ちはどうなるんだよ。

 「お前はそれでいいのかよ」

 「え?」

 賀川に疑問が生じたのと同時にアナウンスが響き渡る。

 『それでは最後の挑戦者、一年三組の林俊哉さんです!!」

 「え・・・・俊哉君?」

 「お前は俊哉の気持ちを踏み弄るつもりなんかよ」

 『それでは林君どうぞ!!』

 『ううん。一年三組賀川利華さん!!」

 咳払いを一つして、俊哉はありったけの声で告白する人物の名前を叫んだ。

 その声にキィーンと金属がこすれ合う音が聞こえる。

 「いいのかよ。これで」

 「・・・・・何度言わせるのよ。私は叶わない恋なんて・・・」

 『俺は・・・・俺は、あなたの叶わない恋を叶えさせたいです!!』

 その言葉に賀川の表情は一変する。

 あいつ、結局あの言葉にしたのかよ。 

 大丈夫だ。リスクはもう・・・・・恐れるな。

 「行って来いよ」

 「・・・・・・もう、ほんとに・・・・」

 そう言いながら賀川は歩き始める。

 そうだ、あいつは本当にあほだ。

 俺が知る限り世界で一番あほなやつだ。

 叶わない恋を叶えさせたいです。か。

 賀川はマイクを受け取り、返事を言う。

 おそらく、考えているだろう。何せ今までずっと話してきた仲で、お互い通じ合える仲なのだから。

 「俊君。嘘ついたらダメだよ」

 小指を差出し、指切りげんまんの仕草を要求する。

 涙を目にいっぱい溜めて、彼女は遠回しにOKの返事を入れた。

 会場から拍手の喝采が流れ渡る。

 「本当にいいドラマを見せてもらったわね」

 「一時はどうなるかと思っていたんだけれどな」

 「いいじゃない。結果オーライで」

 「それはそうと鈴川」

 「何?」

 「お前が告白してきた中でいい男はいなかったのかよ」

 「いるわけないじゃない」

 と、すかさず俺の正面に回り、




 俺の唇をふさいだ。

 



 何が起こったのか理解するまで時間がかかった。人はみな、俊哉たちの光景にくぎ付けで誰も今の光景に目を向けていない。

 鈴川が俺に・・・・・・キスをしてきた。

 しかも俺の初めてのキス(ファースト・キス)だ。

 「お、お前」

 「実は私も始めて(ファースト)なのよ」

 自慢げに言うなよ。

 なんて、予想外なことも有ったけれど、無事文化祭は終了。

 そして、俊哉と賀川はめでたく交際をすることになった。


~第三章 文化祭とお嬢様 完~

いかがでしたか?詳しくの話はあとがきの方で記載するので。

それでは!!

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