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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第3章 文化祭とお嬢様
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第十一話 文化祭二日目

この話最大の無理強い(笑)

 文化祭二日目。今日は午前中、部活動対抗のパフォーマンスがあり、午後は昨日と同じ催し物の方へ。そしてそのあとはフォークダンスという日程。

 朝、俺は目覚めがかなりよく上機嫌で朝ごはんを作る。

 この文化祭中、弁当を作らなくてもいいから何かと楽だ。昼食は自分たちのクラスでの喫茶店や、ほかのクラスで出されている食べ物が食べられる。

 とりあえず焼き上がったホットケーキをお皿に盛り合わせ、はちみつにバターを乗せ、テーブルへと運ぶ。 

 またいつもより早い時間に学校に行かなくてはならないが材料の点検など昨日の夕方の内に済ませてしまったので何の問題もない。うん。無問題ノープロブレム

 あと二日。頑張りますか。

 「よっしゃ!!いってきまーす」

 無人の家にも拘らず俺は元気のいい声を上げて家を出ていった。








 教室に入るとさっそくすごい光景が目に入ってきた。 

 コスプレしている奴らや、かっこいい衣装を身にまとっている奴ら。中にもギターを持っている人もいた。

 ああ、部活対抗のパフォーマンスか。

 そういや、俺たちって何やるんだよ。

 どうせ鈴川の事だろくでもない事、あるいは興味ないとか言いそうだよな。

 「おはよ蓮司」

 声をかけて来たのは大野。

 確かこいつもおれと同じ部活だったよな。もうこの異様なメンツでいったい何やらされるのか想像したくない。

 鈴川はまだ学校には来ていない。よし、何とか捕まる前にここから逃げよう。

 俺が逃亡を試みようとしたところに携帯が鳴り始めた。

 うっ、嫌な予感が。

 携帯を開いてみるとそのまさか。鈴川さんからだった。

 【件名 どこ行くの?】

 【逃げるついでに屋上へ来てくれないかな?話したいことがあるから】

 完全に見破られてます。このひとエスパーですよ。

 一体どこから俺を監視しているのか。下手をすれば日夜監視されることになっちまう。

 しょうがない。従わないとどうなるのかわからないけれど行くだけ行くか。

 俺はどんよりとした溜息を残し、教室を出る。屋上は俺のクラスの教室棟から特別教室棟に行きその最上階。ここは普通閉鎖されているんだけれどどうせ鈴川の事だから鍵をパクるなんてお茶の子さいさいだろう。

 「いてててっ」

 昨日のリレーで足が響いたようだ。朝も階段の上り下りがつらいと思ったらこの所為か。

 最上階へとたどり着き、屋上につながる扉を開ける。

 すこし肌寒くなってきた今日の朝の太陽は一ケ月前の太陽とは全然違う照り付けだった。

 そして、そこには鈴川が。

 俺には背を向けて外の景色を眺めている。

 はぁ、とため息を吐きたくなる(実際についているが)のは仕方がない気がする。どうせ昨日の借り物競争の事だろう。いくら計算で動いていたあいつでもあれは予想外だっただろう。狙っていたとしても俺は勘で回避していたと思うが。

 なんか話しにくいな。昨日は昨日で夜遅くまで家に居座らせちゃったわけだし。

 「来たぞ」

 さりげなく。いつも通りの喋り方をする。

 「あら、思ったより早く来たじゃない」

 予想とは裏腹に鈴川が返答する。

 「早く来なきゃお前うるさいだろ?朝っぱらからどうしたんだよ・・・・・こっちはこっちで」

 って、・・・・・・おい

 鈴川は突然俺の胸に頭を預けた。

 「おい、急にどうしたんだよ」

 「なんか・・・・・瀬原君て温かいなーって昨日の体育祭で思ったからさ」 

 やっぱりそういう事か。あの大衆であんな大胆な行動されたら困るよな。こいつも人間なわけだし。いつもの鈴川ならあれから終わって「やっぱり瀬原君てDA・I・TA・Nね☆」と眉毛が吊り上りそうな言葉を平然と言いそうだけれど昨日の昨日で終われば頬を真っ赤にして春富の後ろに隠れるしいつものこいつじゃないっていう事は何かと分かっていた。

 にしても・・・・・・・なぁ。

 「まああれは俺も悪かったと思ってる。俺も俺でお前しかいないと思ったんだ。その何かと悪いな」 俺はそう言葉をかけるが、鈴川は顔を当てるだけ反応しない。

 んー、そんなに昨日恥ずかしかったのかよ。

 「あ、あのさ。そんなに気に障ったのなら今度なんかおごるよ」

 「・・・め」

 え?

 「だ・・・め」

 何が?何がダメなんだ?

 「おい、何がダメなんだよ」

 鈴川は質問に答えようとしない。だが、いきなり顔を上げてこう言ってきた。 

 「瀬原君には唇で払ってもらおうかしら」

 ・・・・・・・・は?

 「なんだよ。唇って」

 「やっぱり馬鹿ね」

 その言葉は聞き飽きました。

 「鈍感な瀬原君には言葉だけでも理解できないみたいだね」

 やばい。こいつ何かしようとする。危険すぎる。

 気づかれないように逃げようとするが腰に手を回され身動きが取れない状態に。

 「まて、すずかわ。ここ屋上だぞ?場をわきまえたほうがいい・・・・こんなところでこんなことはまず許されないと思うぞ」

 鈴川は俺の言葉なんてお構いなしにもう片方の手を俺の頭に回し押してくる。

 そして鈴川は目を閉じ、唇を突き出してくる。

 これって・・・・・・・・・

 もうだめだ!!

 身動きを取れないようじゃどうしようもないと悟った俺はあきらめて目を瞑る。しかし、いくら時間がたっても事は起きようとしない。そうおもって目を開けたら鈴川の唇は寸止め状態だった。

 「これで私が君にしてほしかったことがわかったでしょ?」

 ははっ。ははっ。

 おれはその場で立ち尽くして放心状態のまま笑う事しかできなかった。

 「あら、その顔じゃ今のでも十分興奮したようだね」

 うるさいぞこいつ。

 何が興奮だ。どっから俺を見たらそう見えるんだよ。

 ああ、こいつは人間じゃねえ。悪魔だ。

 誰かこの悪魔を制裁してくれ。今すぐ。

 「じゃあ、文化祭の準備頑張ってね。私は実行委員の方があるから」

 「ちょっと待てよ!!」

 俺が呼び止めると鈴川はぴたりと止まる。

 「今日の部活対抗パフォーマンスは俺たちはどうするんだよ」

 「ああ、『青春乙』はもちろん出るわよ。でも準備の方は大丈夫よ。だから安心しなくてもいいから」

 いや、そういう問題じゃねえし。

 しかし俺がその理由を聞く前に鈴川は屋上から出ていってしまった。

 「ったく、マイペースなやつだな」

 仕方ない。俺も教室に戻るか。そろそろ二日目の開祭式が始めるところだし。

 そんなかんなで俺は屋上を出ることにした。

 ってか屋上のカギは誰が閉めるんだよ。











 文化祭二日目の体育館も物凄い盛り上がりだった。朝こんなに寒かったのにもかかわらず生徒たちが放つ熱気で包まれていた。

 これが夏だったらいったいどういったことになっているやら。

 昨日と同じ要領で開祭式がとり行われ、いよいよ午前の部が始まる。

 余談だがうちの学校はスポーツも勉強もどちらも全国で名を轟かせている。

 野球部は甲子園に出場。そしてベスト8という好成績を残しということ。

 サッカー部、バスケ部、バレー部はインターハイ出場。

 他にも剣道部に柔道部、弓道部、テニス部にソフトテニス部、アーチェリー部、バトミントン部、陸上部、卓球部など運動系の部活はこんなところ。

 文科系の部活では吹奏楽部にギターマンドリン部、茶道部、写真部、軽音部とこんなものだ。

 さらにこのパフォーマンスでも審査員制が設けられる。運動系と文科系それぞれの部門で優勝が設けらり、その中で最も優秀な部が総合優勝と成る。

 去年の運動系優勝はサッカー部。理由は審査委員のほぼ七割がサッカー部ファンだったらしい。

 それで文科系の優勝が吹奏楽部。

 さらに総合優勝が軽音部らしい。そりゃあそうだ。有名なアーティストの歌やバンドをまねたり、更には某アニメーション会社が製作した『け〇おん』のコスプレをした女子たちがいたりとそれはそれでかなり凄かったらしい。

 あ、今年は青春乙も入っていたっけな。

 悪受けしなければいいんだけれど・・・・・・ってか本当に何もしなくて大丈夫なのかよ。

 考えれば考えるほど心配になってくる。

 けれどプログラムを見る限り青春乙は最後だ。まあ、正体不明の部活だからな。俺は最後で異論はないぞ。

 という訳でパフォーマンス開始。

 野球部とサッカー部、バレー部は踊り。野球部はあの直線に並んで前の人とずれて体をかいてんさせる某グループの踊りをまねしている。

 サッカー部、バレー部はあの有名なアイドルグループ。ああ、吉岡と清田の女装姿が目に入って痛い。

 けれど踊りもどこも悪くはない。あとは女装姿を改変させればいい話なんだが。

 それでもどの部活も高得点を記録している。バスケ部のシュートパフォーマンスが終われば運動系の部活の発表が終わる。

 ここまでで一位はバスケ部、二位が野球部、三位がテニス部となっている。

 次は文科系の発表。吹奏楽部、軽音部、ギターマンドリン部の順に発表される。

 確かにどの部活も高いクオリティだけれど・・・・・うちは大丈夫なのかよ。

 そうとしているうちに最終プログラム。青春乙の発表。

 そのアナウンスと同時に周りがガヤガヤとする。

 「青春乙ってどういう部活なの?」「なんか鈴川さんが入っているらしいぜ」

 「なんか楽しみだな」

 などの声がちらほら聞こえてくる。

 期待しないでください。成り行きで立てた部活でろくに活動していないんで。

 実際、部員である俺もどんな発表をするのか知らない。

 暗幕が上がってくる。そして、そこには何とも可愛らしい天使が・・・・・

 いや、あれは何処からどう見ても鈴川、賀川、春富の三人だった。

 三人。それぞれ違うが派手な衣装を身に着けている。露出度はそこまでないが色がかなり目立っている。鈴川が黒で賀川が赤。春富はブルー。

 あなたたちそこで何をやっているの?

 三人が姿を見せると男子全員(俺を除く)が一斉に歓声を上げた。女子からも「かわいー!!」となんとラブリーコールまで送られているのにも驚く。

 これだけ歓声が起こるのは無理がない。一年の間では可愛いランキングベスト3に入っている三人が揃っている。女子からもかなり人気があるらしく男子に混ざって歓声を上げている女子もそこらにいる。

 これから何するんだ。何するんだ。何するんだ。

 心の中で俺は体育館内に血の花が咲かない事を念ずる。

 するとマイクをどこからかだし、三人同時に声を出せば・・・・・・

 綺麗な歌声が体育館内に響き渡る。

 最初はアカペラであるが徐々に伴奏が入ってくる。その綺麗な歌声にみんなは魅了されている。もちろん、俺もだ。

 だってあんな綺麗でハモった歌声は聞いたことがない。

 もし来賓とか出ていたら即刻この三人は芸能界入りだろう。 

 鈴川もいつもとはどこか違く清々しい表情で歌っている。これをみて俊哉はどう思っているんかなー。

 「おれなら可愛いと思っているぜ」

 ほう、可愛いと・・・・

 「って、いたんかよ!!」

 「いちゃいけないのかよ」

 別にそういう訳ではないけれどさ。

 「ってか、人の心読むなよ」

 「いや、今思いっ切り口にしてましたけれど」

 えっ、まじかよ。

 「うわあああああああああああああああああああ!!」

 歓声がドッと沸く。歌が終わり退場していたらしい。

 「こりゃあ、高得点が期待できるな」

 「高得点さ。あの三人の中では。俺たちの中では」

 と、まさか審査員の特典が圧倒的にうちの部活に入っていたことは満更夢でもなかったことには俺は後々気づいた。










 午前のプログラムも、午後の方も順調に進んでここでようやく中夜祭へと入る。

 グランドには積み立てられた木が三か所に作られていた。どうやら一年、二年、三年と分かれているらしい。

 昨日できなかった片づけを俺は早めに済ませグランドへと顔を出した。

 生徒は既にダンスに向けて張り切っている(主に男子)

 こういう場合って大抵鈴川が誘われるパターンなんだよな。

 と、群衆がないか探しているとあった。しかも四つ。

 一つは鈴川のかなり人が集っている。助けてやりたいのは山々だけれどあん中に入っていったら完全にフルボッコだから俺は死ににはいかない。だから許せ、すずかわ。

 二つ目は賀川利華。鈴川と同じくらいであったが俊哉がなんとか連れ戻したらしい。これを鈴川が見たら「瀬原君はやっぱりチキンね」とか言いそうだな。

 三つ目は春富。これも大野が連れ出した。

 ああ、完全にフラグ立っているよ。「瀬原君はやっぱりチキンね」という言葉が。

 四つ目はどうやら生徒会長の漆原という人らしい。けれど誰も助けない・・・・・・

 よし、これで仲間がいたぞ!!安心しろ鈴川。

 と心の中で若干勝ち誇っていたが少しして生徒会役員らしき人が連れ出した。

 ・・・・・・・・・。

 俺は沈黙の中、横たわっていたかった。

 そんな俺を見るように俊哉、賀川、大野、春富の四人は俺をジト目で見る。

 ああ!!」分かったよ。行けばいいんだろ!?

 ダッシュして俺は鈴川に集っている連中の中を割り込み手当たり次第鈴川の手を探る。

 「鈴川!!」

 「瀬原君?」

 暑苦しいな!!もう。

 俺は鈴川の手を握ったことを確認して輪を潜り抜ける。

 もう、これで俺の死は確実だ。

 「もう少し遅かったら瀬原君をチキン野郎って名づけるところだったよ」

 フラグは既に立っていましたね。はい。

 「とりあえず・・・・・今日は私とずっと一緒に踊ってくれる?」

 「なんでだよ?」

 「だって、さっきみたいに男子が群れてきたらまた瀬原君助けに来なきゃいけないじゃない」

 それもそうだ。さすがにそれはめんどくさいな。

 「分かりましたよ。踊ればいいんだろ?」

 「あら、素直じゃないんだから」

 素直じゃなくて悪かったな。

 とりあえずこうして俺は鈴川と時間が来るまで二人で踊り続けた。この時鈴川はどう思っていたんだろう。ん?俺か。

 俺は周りの男子の視線が痛かったからとりあえず早く終わってほしいと思っていた。

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