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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season15 数字は嘘をつかない、嘘つきは数字を使う  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season15 数字は嘘をつかない、嘘つきは数字を使う
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エピローグ

[アスペクトからの帰宅中の車内/夕方]



環(たまき)が、少し甘えた声で言った。


「はは……今日は、家に来ませんか?」


灯(あかり)は、驚いたように一瞬目を見開いてから、やさしく微笑む。


「そうね……久しぶりに、おじゃましてもいいかしら?」


柊(しゅう)が、穏やかに頷く。


「はい。もちろん大歓迎です。」


凪(なぎ)が、子どものように声を弾ませる。


「わぁ!じゃあ僕、久しぶりに灯(あかり)さんの肉じゃが食べたいです〜」


環(たまき)も、すぐに続く。


「あ!それいいですね〜。わたしも、ははの肉じゃが食べたいです」


柊(しゅう)が少し笑って言う。


「いいね〜。灯(あかり)さんの肉じゃが、おいしいから。俺、作り方教えてもらいたいです」


灯(あかり)は、少し照れたように手を振った。


「そんなふうに言われるとうれしいけど、本当に大した作り方じゃないのよ。びっくりするくらい手抜きなの」


環(たまき)が目を丸くする。


「手抜き……なんですか〜?」


「そうよ」


灯(あかり)は、やさしく続けた。


「主婦の料理なんてね、いかに手を抜いて、それでもおいしく作るか、なのよ」


柊(しゅう)が、少し考えてから頷く。


「ああ……わかります、それ」


環(たまき)が驚く。


「え!柊(しゅう)、わかるんですか?」


「手抜きっていうより、どうやって時間を短縮するか、ってことですよね」


灯(あかり)は、うれしそうに笑った。


「さすが、柊(しゅう)くん。

 そうなの。今はね、調味料もお出汁も、いいものがたくさんあるでしょ?そういうものを使って、無理しないで作るのが大事なのよ」


凪(なぎ)と環(たまき)たが声をそろえる。


「へぇ〜……」


灯(あかり)が、ふっと2人を見る。


「あなたたちは、いつも柊(しゅう)くんに作ってもらってるわね」


環(たまき)が、少し照れながら笑う。


「はは……なんでわかるんですか〜」


「ふふ。わかるわよ」


灯(あかり)はやさしく言った。


「柊(しゅう)くん、お料理上手だもの。それに、環(たまき)は前に言ってたでしょ。“柊(しゅう)が作るほうがおいしい”って」


凪(なぎ)がうんうんと頷く。


「柊(しゅう)先輩、シェフみたいなんですよ〜」


「そうそう!手際よく、なんでも作れちゃうんですよね〜」


柊(しゅう)が、少し照れたように言う。


「なんだそれ。褒められてるのか?」


灯(あかり)が、くすっと笑う。


「柊(しゅう)くんも大変ね。大きな子どもが2人いるみたいじゃない」


環(たまき)が、すぐに反応する。


「え〜はは、わたしも子どもですか〜?」


灯(あかり)は、少しだけ考えてから、やさしく答えた。


「そうね……環(たまき)は、子どもみたいなところ、あるわね」


環(たまき)は、一瞬きょとんとしてから、にこっと笑った。


「……でも」


灯(あかり)は、その続きを言った。


「ちゃんと、自分の足で立ってる。だから、もう大丈夫」


車内に、少しだけ静かな時間が流れる。


柊(しゅう)が、前を見たまま言った。


「……今日は、おいしい肉じゃがの夜だな」


凪(なぎ)が笑う。


「はい!ぽかぽか確定です!」


環(たまき)は、胸の奥があたたかくなるのを感じながら、そっと呟(つぶや)いた。


「……うん。帰ろう」


夕焼けの中、車はぽかぽか邸へと向かって走っていった。


――守られるだけだった時間は、もう終わった。


けれど、帰る場所があることは、変わらない。

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