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異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について【リメイク版】  作者: よしみん
第四章 女神激戦

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決戦!

世界が消滅する、その直前へと戻ってきた。


燃え盛る空母の甲板では、村長達と大魔帝ハーレム達が、今まさに睨み合っていた。


「リーペに続いてミミまでやられるとは……!」


大魔帝ハーレムが、ぎりっと歯を食いしばる。


「もうダマされんぞ! タヌー行け! 八百万やおよろずの力でねじ伏せるのだ! クルゥリー! タヌーがダマされないようにサポートしろ!」


「了解だポン! 八百万の神っだポン!」


タヌーが胸を叩く。


「わかりました……!」


クルゥリーが水晶を掲げ、ふと首をかしげた。


「……あれ? 普通に占術が使える……?」


その一方で、シロは周囲へ耳をぴんと立てていた。


「アシヲぴょん! 燃えてる人々が迫ってきてるぴょん! 周りを気をつけるぴょん!」


「シロ! ありがとう! ……ん?」


アシヲが眉をひそめる。


「何か様子おかしくないか?」


燃え盛る国民達は確かに暴れている。だが、最初のような殺気はない。ただ苦しみに耐えきれず、のたうち回っているだけだった。


その姿を見たアシヲの顔が曇る。


「アイツら……何とか火を消してやれないかな」


シロは海を見つめたまま、小さく答えた。


「それは、かけるピョン達次第だピョン……。早く帰って来てほしいピョン」


その瞬間だった。


≪皆、すまない! 待たせた!≫


頭の中へ、声が直接響く。


「「え?」」


一同が周囲を見回す。だが、甲板の上にも、空にも、それらしい姿はどこにもない。


「架か!? キサマ、どこにいる!?」


ハーレムが怒鳴った、その次の瞬間――


≪ここだ!!≫


海が、真っ二つに裂けた。


「なっ……!?」


ハーレムが息を呑む。


割れた海の底から、白い飛沫をまとって二つの影が現れる。


天高原架と、エーコだった。


二人はそのまま宙へ躍り出る。


甲板に降り立った俺は、まっすぐハーレムを見た。


「ハーレム。すまなかったな」


神剣を握る手に、自然と力がこもる。


「今、楽にしてやるからな」


俺が天へ剣をかざすと、ハーレムは顔を歪めた。


「ミサイル地獄で我を散々もてあそんだ恨み! 我が【なんでもあり】で真の地獄を見せてやる!!」


ハーレムの全身から、禍々しい気配が噴き上がる。


【触れたものを絶対消滅させるオーラ】が、その身を黒く包んだ。


ハーレムが一直線に突っ込んでくる。


俺は一歩も引かない。


「――【天叢雲剣あめのむらくも】」


剣を振るう。


一閃。


何かが、斬れた。


目には見えないはずの“チート”そのものが、確かに断ち切られた感触があった。


「グハアアアアアアッ!?」


ハーレムの絶叫が響く。


禍々しいオーラは一瞬で霧散し、支えを失ったハーレムは、そのまま甲板へと叩きつけられた。


その瞬間。


「あれ? ワッチは何をしてたんだポン?」


タヌーがきょとんと目を瞬かせる。


「どうやら、ハーレム様に操られていたようですね」


クルゥリーが冷静に言う。


「ぶわっ! ミミ、何で海の中に!? あーっ、ビショビショですわっ!」


「気づいたらウォーターハザードだったにゃ〜!」


四天王達の目から、濁った色が消えていた。


正気に戻ったのだ。


だが、そのすぐ後だった。


「うわぁ! 熱いぃー! 助けてくれー!!」


「「「熱い! 熱い! 熱い! アツイ! アツイィイイイイ!!」」」


燃え盛る国民達の悲鳴が、甲板全体に広がる。


俺は空母の上へと大きく踏み出した。


眼下には、百五十万もの国民達。


苦しみ、のたうち、助けを求めている。


俺は神剣を握り直した。


「神剣よ!」


その切っ先を、天へ向ける。


「炎のチートを断ち切れ――草薙くさなぎ!!」


剣を一振りした。


その瞬間、空母の上を巨大な風が駆け抜ける。


見えない刃が一斉に走り、百五十万の国民達に絡みついていた炎だけを、根こそぎ断ち切った。


炎が、消える。


「あれ……? 熱くないぞ!?」


「キングカケルだ! キングカケル様が助けてくれたんだ!」


「「「キングカケル! キングカケル! キングカケル!」」」


歓喜の声が一気に湧き上がる。


だが、その熱狂を呑み込むように、急にあたりが暗くなった。


空を見上げる。


無数の暗雲が、いつの間にか空を埋め尽くしていた。


そして、その雲の隙間という隙間から――


女神が現れた。


一人ではない。


二人でもない。


空を覆い尽くすほど、無限にも思える数の女神達が、こちらを見下ろしている。


≪≪≪キサマァアアア!! 人間の分際で、私に逆らうつもりか!!?≫≫≫


怒号が空から降り注ぐ。


その圧だけで空母がきしむ。


けれど、俺は剣を握ったまま、前へ出た。


「そうだ!」


声が、自分でも驚くほどまっすぐ伸びた。


「俺達は人間だ! 小さい存在だ!」


隣でエーコも一歩前へ出る。


「でも、神に頼るだけの時代は終わったの!」


俺は続ける。


「俺達は、夢を描き!」


エーコが重ねる。


「現実と戦う!」


二人の声が、空へ届く。


「苦しみながらでも!」


「それでも理想の世界を創り上げていく!」


俺とエーコは、三種の神器を高く掲げた。


「「――神の裁き!!」」


神器から放たれた光が、世界を塗り替える。


無限の閃光が天を包み込み、女神達の姿も、空母も、海も、すべてを真っ白に染め上げた。


          


「うっ……」


女神は、ゆっくりと目を開けた。


「はっ!? ここは……神界!?」


立ち尽くしていたのは、果てのない白に満たされた空間だった。


その静寂の中で、男の声が響く。


「目覚めたかね、妻よ」


振り向いた女神の前に、一柱の神が立っていた。


父神だった。


「お前は神の理に違反した」


父神の声は静かだった。


だが、その静けさはかえって逃れようのなさを感じさせる。


「そのため、黄泉の主権を剥奪した」


父神は、淡々と違反の内容を告げていく。


だが女神は、歯を食いしばって叫んだ。


「そっ……そんな! 私は黄泉の女神なのよ!? 亡者達をどうしようと、私の勝手だわ!」


父神はわずかに目を細める。


「神は全知全能だ」


静かな声。


「……しかし、だから何だと言うのだ」


女神が息を呑む。


「神も、人も、獣も、すべてただ“ある”だけの存在。そこに優劣など、初めからない」


女神の顔が、悔しさに歪む。


「くっ……! アナタは! アナタは私に嫌がらせしたくて、こんなことをしているの!?」


髪を振り乱し、叫ぶ。


「私や黄泉のことなんて、忘れて放っておけばいいじゃない!」


その叫びを、父神はまっすぐ受け止めた。


「妻神」


呼びかけは、驚くほど静かだった。


「お前のことを忘れるなど、できるわけがないだろう」


女神の目が揺れる。


「父神……あなた……」


父神は一歩だけ近づいた。


「昔のように、また二人でやり直そう」


白い空間の向こうで、新たな世界の気配がわずかに開く。


「新たに世界を創るのだ」


父神は、静かに微笑んだ。


「我は左回り。お前は右回り。世界を巡り、再び出会った時――」


その声は、遠い昔を思い出すようにやわらかかった。


「そこで我らは、初めて会った男女に戻るのだ」


女神は、しばらく何も言えなかった。


やがて、ほんの少しだけ視線を伏せる。


父神は手を差し出した。


女神は、その手を見つめる。


そして――


ゆっくりと、その手を取った。


二人の足元に、新しい世界への道が開く。


父神と女神は、その光の中へ並んで歩き出した。


今度こそ、やり直すために。

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