【木の神様】
ぽよんとでてきたやる気のなさそうな表情の【木の神様】を見てダンテはため息を吐きました。
「...っで? こいつが何か役に立つのか?」
そう呟く彼に私はいいます。
「ええ。もちろん。今はまだ2人しか信仰者がいないですから弱い力しか持っていませんが、これから必ず役に立つ時が来ますよ」
「だといいが」
彼はまだ私の信仰する神様の存在を認めようとはしていないようでした。
彼はそう言いながらも「取り敢えずレベル上げに行くぞ。お前も勇者ならそれなりに強いんだろうな?」と言われたので「はい」と答えました。
〜初心者ヶ原〜
弱い魔物が集まると言う場所でレベルを上げることになったのですが...。
「おっとと...」
剣を振るう度に重心が揺れ動きすぎて無様な動きしかできていないダンテを見て私は唖然としました。
「ちょ! ちょっと! ちゃんと戦ってください!」
「わかってる! くそっ...! スライム相手になんてざまだ!」
そう! ダンテはなんとスライム1匹すらまともに狩れない軟弱者でした。
しばらく私がその様子を見ていると遠くからヒョロガリの冒険者の集団が笑い声をあげながらこちらを見て煽ってきます。
「おやおやおや!? アレは最弱の王様候補と名高いキラダンテさんじゃないですかぁ? 最強の勇者である王様の血筋を引くくせにクソ雑魚で有名な!」
その言葉に取り巻きの男たちも笑い声をあげました。
「ははははっ!」
「そうだよな! スライム1匹まともに狩れない雑魚の王様候補キラダンテ様!」
「ボロ小屋に住んでて母親もおっちんだ可哀想なガキだよなぁ!」
最後の言葉にダンテは男達を睨みます。
「おい! 俺様をバカにするのは良い! だがな! 母上をバカにするのは許さない!!!! 蜜香! 絶対に手を出すなよ!」
そう言いながら剣を振り上げて立ち向かうダンテでしたが...、結果は言わずもがな。
ボッコボッコにされた上に弱そうなヒョリガリ共に袋叩きにあっているのを私はただ見ているだけなのでした。