惨敗の第三王子
「いちち...」
そう言いながら傷口を抑える彼に私は声をかけました。
「多勢に無勢でしたね。流石にあの数の冒険者を相手にするのは無理だってわかっていたのになぜ戦ったんですか?」
と言う私の問いに彼はこう答えます。
「それは...、俺様の母上をバカにしたからだ。俺様を産んでくれた母上をバカにするには誰であろうと許さない」
「...そうですか」
それを聞いた私は彼が無謀な戦いを挑んだだけの単なる馬鹿ではないと言うことを悟りました。
「と言うか....、本当に手を貸してくれないのな」
「ええ、ダンテが言ったんですよ。絶対に手を出すなって。仲間の意思は尊重すべきですから。それよりも早速【木の神様】の出番ですよ」
そう言いながら私は先ほどの木の神様を彼の傷ついた場所におきました。
「なんだ? まさかこのヘンテコなのが傷を癒してくれるとでも言うのか?」
その言葉に対して私はニコリと笑いました。
「ええ、そのまさかですよ」
私が呟くと一瞬にしてダンテの傷は治ってしまいます。
「まさか!? 本当に治ったのか!?」
彼は飛び上がり自分の体を触っていますが、本当に傷が治っていると実感した時になってようやく【木の神様】の有用性に気がついたようでしたね。
「嘘だろ?」
その言葉に私は内心こう思うのでした。
(もちろん嘘でーす)
と。
種ばらしは次回ですね。




