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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第5章 ブレイヴ・ハーツ
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短くて長い最高の旅路 1/17

「撃ってこいよ。第1席。ほら、俺に対して怯む理由がないだろ。俺は最弱なんだから」


「ほざけ、雑魚がァッ!」


 あいつが煽り耐性皆無で良かった。再び、金色の雨が降ってくる。


「お前の、魔法無効化属性を宿した、剣と剣がぶつかり合ったら……さぁどうなる?」


 俺は二本の向かってくる剣を、空中で体を捻らせながら掴み、体の回転に任せた二刀流で全ての剣を薙ぎ払う。N極同士またはS極同士の磁石を近づけたように反発し合って、お互いが触れることなく、弾け飛んだ。


「な、なんだと……!?こんな事が、あり得るのか……?」


「大空流最終奥義廻・螺旋双龍千本桜。

 第1席の力って……こんなもんなのか?

 真霧、落ちている剣を取れ。それなら、あいつの魔法に太刀打ち出来る」


 俺は回転しながら高く飛び、全ての剣を反発させて撃ち落とした。


「お、大空君。君は、一体?」


 俺は動揺する真霧に微笑む。


「弱者の足掻き、つまり下剋上さ。それ以外何でもない。それも、最後の、な」


 これで、長かった長かった俺の戦いも終焉(フィナーレ)だ。本当に、短いようでとても長かった。




 あれは『ラグナロク』総当たり戦2戦目が終わった時の事だった。俺は保健室で、氷牙だけに、いつしか芽生えていた決意を告げた。


『俺はもう闘ったら、皆に迷惑を掛ける。皆には、俺の苦しみや死という十字架を背負って生きてなんて欲しくない。このチームが存在するのはきっと今回で最後なんだ。俺の技も、氷牙や椿の実力も考慮すると絶対に。

 実は心の片隅にこの思いがあった。チームがこのままバラバラになってしまうなら、『ブレイヴ・ハーツ』も解散で良いんじゃないかって。でもきっと思い入れがある氷牙が反対すると思って、胸にしまってきたんだ』


『そうか。この『ラグナロク』が終わったら、お前はチームを壊すって言うのか……』


『勝手な事言って悪いな。俺がこんな状態になっちまったからには、チームに迷惑をかける。駿河先輩にも止められたしな』


『今は、お前がチームの主将だ。全てお前の好きにすればいい。だが絶対に後悔だけは、するな。俺の言いたい事はそれだけだ』


 悪いな、氷牙。それに恭介、爽乃、椿、音坂先生。俺は、この『ブレイヴ・ハーツ』で過ごした1年間を一生忘れない。

 それは、短くて長い最高の旅路だったから。本当に楽しかったよ。そして、本当にありがとう。




「他の10席の奴らも全員倒せたからといって、調子に乗りやがってぇ!」


 全フィールドの金属を使い、黄金の鎧を城ヶ峰は身に纏い始める。そして、かつてないほどの光を秘めた剣を創出する。だが……。


 たった一人で勝てるわけがない。勝ちを分かち合う仲間、それを得る事自体が本当の勝利だ。

 冷姫氷牙、鳳爽乃、榊原恭介、雪ノ下椿。彼ら達こそ、俺が得た宝であり、唯一無二のものだ。


「……俺は負けられない。夢を捨ててまで、未来を願った仲間がいるから。勝利を約束した仲間が待っているから。絶対お前を倒して、NOAHをブチのめす」


「クソがあぁぁぁぁあ!!!聖剣演舞ニダヴェリール!!!」


 黄金の色に包まれた剣が、螺旋を描き始める。どでかいチェーンソーを彷彿させるような禍々しき回転音。まるで、呪怨の輪唱のように聴こえる。


「屈するな、正義君。俺達なら、できる」


「俺は1人じゃない、だろ?

 ……勿論、わかってるよ。真霧」


 真霧はニヤッと笑う。昔の俺は1人だった。だが、今は最大の好敵手であり、最強の仲間がいる。心強い仲間達が。そして、彼らと歩んだ約1年間の思い出が。


「行くぞ!正義君!」


「ああ!」


 真霧は崩れ行く世界の中、閃光のように走り始める。俺もその横を並行に走る。そして、光が鏡を反射するように、時が針を縫うように、聖剣の雨を避けるように、闇と光が混ざり合うように、俺達は最速のスピードでクロスを描いて走る。光と闇が交わる最終地点には、高く高く立ちはだかる第1席。


「「夜桜よざくら盈月(えいげつ)煌影(こうえい)双覇斬そうはざん!!!」」


殲聖滅神ノ御剣(エクスカリバー)!!!」


 エネルギーとエネルギーがぶつかり合う。今まで感じたことのない衝撃波が身体中を襲う。だが、俺達は一人じゃない!俺達はお互いを信じあっている!こいつをお前となら倒せると!!

 城ヶ峰が創り出した剣で、城ヶ峰の5倍の刀身があろうかという最強の御剣(みつるぎ)。それと俺達が生み出した闇と光の剣がぶつかり合う。それがヒビが入り始め、ボロボロと崩れ始める。


「そんな、馬鹿な!ありえない!ありえない!ありえない!俺はお前達を認めない!お前達に負けたということを!」


「残念だな。負けを認めて、強くなったお前となら、もう一度闘いたいと思ったんだがな。負けを知って、人間は強くなるんだよ。

 お前の敗因は、負けを、友と悔やむことを知らなかった。そして、認めなかった。それだけだ」


 第1席は自身の嘆きと風と共に消えた。

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