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008。
時々、自分が選ばれなかった夢を見る。
夢の中でこれは夢だとわかる時があって、それは大抵あの夢だ。
まっさらな何もない場所で声が問う。
どうして、と無垢な声で尋ねる。
周りを見渡せばガラクタが転がっていて、何を問われているのかさえわからない。
それでも、幾度も幾度もその声は繰り返す。
温度のないそれはやがて耐えられないほどに鼓膜を支配して、たまらず膝をついて耳を覆う。
本当は何を問われているか、自分は知っているのだと浮かべる笑みと涙が零れて、幾度目かの問いにようやく応える。
それでも、生きなければ。
そう応えれば途端に声は止んで、くすくすとした笑い声が木霊する。
そして、声は言うのだ。
ーーーー嘘つき。
そうして、いつも目が覚める。
Life goes on(それでも生きなければ