061。
青葉が驚愕に息を止めたのは一瞬で、次の一瞬で憤りのままに桃音との距離を詰めようとした。
「あお君……」
「……っ!」
けれど青葉が動くより早く、桃音は青葉の指をそっと掴んでいた。
怒りに染まった青葉の瞳を見つめたままで、桃音はその指を自分の口元に寄せた。
「十中八九、いいえ、絶対に青葉は納得しないと思ったです……だからって単純な力にでようとするなんてあお君らしくないです……」
「そんなもの知るか! 赤城を消す? そんな話を聞かされて黙っていられるわけがない……っ!」
「あお君があか君を大切にするのは自分勝手な理由です……優しくされたから優しくしたい、そんな身勝手で独りよがりな理由です……あか君の危険さを知らないから言える戯言です……」
桃音は射殺さんばかりに睨みつけてくる青葉を見上げる。
その瞳で燃えている感情を、桃音は知っている。
朝黄が害されると思った時の自分と同じ色。
青葉はぎりりと奥歯を噛んだ。
瞳が微かに色を変える。
何かを耐えるように、苦しげに青葉の口から言葉が吐き出される。
「違う。俺が赤城を大切にしようとするのは、あいつが誰にでも手を差し出そうとするからだ。他人のことを理解しようとするやつだからだ。だからあいつなら」
「ーーーーあお君」
桃音は青葉を黙らせるために、指先にまるで祈るように口付けた。
びくりと震えた青葉に桃音は作り物の笑顔で問う。
「選んでです……」
伸ばされた手は難なく青葉の頬に触れて、そして引き寄せる。
吐息も触れる距離で目を見開く青葉に桃音は選択を迫った。
「あか君とあさ君。あお君はどっちが大事で大切です……?」
in all probabillity(十中八九




