043。
ドアがノックされたとき、本の雪崩を受け止めていた俺は手が離せなくて、
「勝手に入っていいよ」
なんていつも通り朝黄か青葉でも来たのだろうかと適当に返事をした。
けれど、開けられたドアから入ってきたのはその2人のどちらでもなかった。
「邪魔するぞ」
「え、」
聞こえた声に慌てて振り返る。
そこにいたのは不機嫌な顔をした黒雪だった。
「どうぞ」
何も言わないで座り込んだ黒雪にお茶を出す。
お茶を何も言わずに見つめたままで居る黒雪にえーっと、と頬をかく。
「どうしたの?」
黒雪はむっとした様子で、顔をあげて俺を睨んだ。
やはり睨まれると腰が引ける。
「どうしたもこうしたもあるか。心当たりがないのか、オレに」
「え、えーと……秘密を知った、とか?」
「それもそうだが、もっとあるだろう、重要なことが」
相変わらずの暴君じみた物言いに苦笑する。
思い当たることがないのに、延々と探し続けるのは効率が悪い。
お茶を一口飲んで喉を湿らせる。それから正直に言う。
「ごめん、わからないや」
「ふざけるな」
「思い当たることがなさすぎて」
「実は結構失礼な奴だと言われないか、お前」
そこでようやく、欠伸と共に視線が逸らされる。
強い視線から解放されて息をつく。
お茶のカップを黒雪がかつん、と弾いた。
「ゲーム、受けるのか、お前」
「え?」
「ゲームだ、桃音の。桃音らしい成功の可能性の無い鬼畜なあのゲームをやるのか、お前は」
成功の可能性がない、とあっさり口にされて思わず吹き出してしまった。
見るからにイラッとしたであろう黒雪に、弁明する。
「いや、あまりにあっさり言うから驚いた。やっぱり俺以外の目から見ても詐欺まがいの嫌なゲームだったんだなって」
「……実は性格がひん曲がってるのか、お前は」
容赦ない黒雪の言葉にまた笑ってしまった。
on a hiding to nothing(成功の可能性の無い




