003。
俺が住む部屋は202号室だそうだ。
新しい我が家で段ボールの中身を床に広げながら、ぼんやりとしていれば、青葉がふいに口を開いた。
「後悔してるか、ここに来たこと」
え、と振り返れば荷解きの手を止めずに青葉が言葉を続ける。
「騙すつもりはなかった。でも、ここがこういう場所だということを伏せていたのは俺だ。……悪い」
「ちょ、頭上げろって」
下げられた頭に慌てる。
顔を上げた青葉は、暗い顔をしていて俺は戸惑う。
青葉はかっこいい。
いきなりで脈絡がないと思うかもしれないけれど、同性から見ても性格を含めかっこいい。
女子に黄色い悲鳴を頂戴するタイプの人間だ。
本人はまったく周りに興味がなさそうな感じがさらに人気を集めている。
文武両道で部活には所属していないものの、生徒会役員なのだからもう非の打ち所がない。
そして、そんな青葉がいま俺に頭を下げている。
しかも善意でやってくれたことに対して。
「もったいない! てか、恐れ多いっ!」
あああっと頭を抱える。
「天下の生徒会役員なのにっ」
「俺は下っ端だと思うが」
「生徒会役員なだけで天下人だって。てか、頭とか下げなくていいから、飛びついたのは俺だし」
むしろ感謝してる、と笑いかけると青葉はみるみる目付きを険しくした。
え、なに、と内心で怯えれば、正大な舌打ち。
「せめてあいつだけでも、埋めておくべきだった」
……えーと、青葉くんキャラ変わってるよ?
a low man on the totem pole(下っ端