002。
元々このアパートは寮として利用されていたらしい。
だから、共通の玄関があり、今は機能していないが食堂など共有の空間が多くとられている。
「ブルー。それが例の新入居者くんー?」
アパートに足を踏み入れれば、階段上から声が降ってきた。
見上げるより先に影が目の前に着地する。
「ようこそ、今日からよろしくしよーじゃん」
俺はぎょっとして仰け反り、青葉は不快そうに非難の声をあげる。
「うるさい、黙れ、直ちに埋まれ」
「もーブルー、友達の前だからって照れなくたっていいじゃーん」
「俺はお前の知り合いってだけで十二分に恥ずかしい」
青葉と珍入者の会話に着いていけず、俺は目を白黒させる。
深いため息をついて、青葉が心底嫌そうに紹介してくれた。
「こいつは朝黄。303号室に住んでる」
「えー、以上!みたいな説明止めてよー。僕は奥ゆかしい人間なんだからもっと言うことあるじゃんかー。まあ、なにはともわれ、よろしくね、レッド!」
ぐっと親指を立てられ、やっと状況に追いついた俺は叫んでいた。
「なんでこの人、お面なの!?」
くたびれたフード付きの白いトレーナーも、黒いサルエルも細身の体に似合ってはいる。
ただ、朝黄は縁日で売っているような安っぽい戦隊もののお面を被っていた。
指摘された朝黄は仮面の上からでもわかるくらいに嬉しそうになる。
「よくぞ、ツッコんでくれましたー! 僕のもう一つの名は金色仮面イエローゴールド! 世界の平和を守るため愛と正義の名の下に、はこびる悪を徹底壊滅!」
ぴしっと綺麗に決められたポーズに青葉は深く重く息を吐き、
「あー・・・、わーすごーい・・・・・・」
俺はパチパチと拍手をする。
どうしよう、すでにものすごく帰りたい。
今日から帰る家がここだと言うことをどうか頭打って誰か忘れさせて。
put on an act(心にもない行動をとってみせる、芝居を打つ




