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異世界配信革命〜追放された無能ポーターをバズらせる転生イベント屋、死の大地でダンジョン配信と領地経営を始めます〜  作者: プロテイン長田
第6章「追放者たちの居場所」

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第39話「十歳領主たちの異世界配信革命は続きます」

## 第39話「十歳領主たちの異世界配信革命は続きます」


### 【あらすじ】


 ダンジョンの暴走を止め、領地へ生還したエリオットたちは、騎士団とギルドを交えた話し合いに臨んだ。


 クレハが人々を守るために戦った功績は、騎士団の公文書へ記録された。彼女は暫定的に領民として認められ、命を縛っていた契約も破棄される。


 さらに、エマとバッド・クレイジー・ドッグスは登録者十万人を達成した。課題を残しながらも、追放者たちの居場所は守られたのだった。


### 【本文】


 死の大地、エリオットの領地を取り巻くダンジョン事件から、数ヶ月が経った。


「ようこそ! エリオット領冒険者ギルドへ!」


 ここは、その場所に新たに設置された冒険者ギルド。


 豪華な装飾こそないが、小さいながらに立派なギルドが、今日も賑わっている。


「エリオットさん、今日もすごいですね」


「そうですね。今日も王国のダンジョン配信の上位はほとんどウチのダンジョン攻略で埋まってます」


 その様子を見ているのは、エリオットとエマの二人。


「まさか、その日のうちにダンジョンを宣伝し始めるなんて……相変わらずの行動力ですよね」


「もともと、僕たちの目的はレイド・スターズに負けない配信を作ることですから。この場所が有名になれば、それだけエマさんにも注目が集まります」


「そ、そうですね……」


「レイド・スターズのこと、まだ気にしてるんですか?」


「は、はい……そう、ですね」


 レイド・スターズ。そのリーダーのルシアンは、この場所で行われたダンジョン配信によって、その“仲間を置き去りにする”ような言動が取り沙汰された。


 先日のエリオットの発言から、“ダンジョンの難易度を誤認し、やむを得ない行動だった”という認識が広がったものの、そのカリスマは大幅に失われていた。


「ガレスさんとヴェロニカさん、レイド・スターズを脱退したみたいなんです」


「えっ!? そうなんですか!?」


「やっぱり知らなかったんですね……」


「最近配信していないと思ったら――」


「私も、詳しいことは知らないんですが……ここのダンジョン攻略の荷物から魔法薬を外したミレイユさんの責任を巡って、対立が起こったみたいです」


「……なに朝から深刻な話してんのよ」


 話題を聞きつけてか、やってきたのはリゼットとクレハだ。


「今日のダンジョン調査の結果報告に来たぞ」


「あ、ありがとうございます。どうでしたか?」


「ああ……今日も特に異常はない」


「やっぱりそうですか……ありがとうございます。こちらで報告を上げておきますね」


 領地経営に並行して行なっていたダンジョンの調査。それも一定の成果を収めていた。


 ギルドとの共同研究の結果、ダンジョンの暴走は、エリオットの配信における過度な魔物討伐とダンジョン芋の乱獲による魔力の不安定化が原因だと結論づけられた。


 その後、ダンジョン芋は調達禁止物資に登録され、ダンジョンは安定を見せていた。


「これで……王都からの通達には応えられそうですかね」


「そう……だといいんですけど」


 騎士団を通して伝えられた、王都の決定。


 “魔族を領民とすることを一時的に認める”


 “領主はダンジョンの危険性を管理し、王国民に危険が及ばないよう努めること”


 まとめると、このような内容だった。


(“一時的に”ってのが気になるが……まあ、今のところ横槍が入るようなことはない。このまま何事もなければいいんだが……)


 今日も、冒険者ギルドは大盛況。


 領地での芋栽培も始まり、バッド・クレイジー・ドッグスのメンバーたちが食堂を盛り立てる。


 死の大地に、領地と呼べるだけのインフラが、整い始めていた。


「領主殿、ここにいましたか」


 すると、聞き覚えのある声がエリオットを呼んだ。


「き、騎士団長さん……!? どうしてまた――」


「重要な伝達事項があり……というのもあるが、単純に状況をこの目で見ておきたくてな」


 騎士団長シルヴィア・エルンフォード。


 彼女は、ダンジョン暴走事件の後、自らの行動を包み隠さず報告し、王都の判断を仰いだらしい。


 その結果、貴族の命を最優先にしなかった行動と、領土の新たな可能性を切り拓いたこと両方が判断材料となり、この領地に一定の責任を負うことで決着した。


「クレハ殿も、変わりないか?」


「ああ……お陰様でな」


 シルヴィアは魔族であるクレハの定期的な現状確認も任されている。


「それで……伝達事項というのは?」


「そうだったな。新たな移住希望者についてだ」


「ま、またですか!?」


 そして――エリオット領には、何人もの移住希望者が殺到していた。


 理由は単純。新興の領地、仕事は山ほどある。


 最寄りの村から領地までの安全な道の整備、宿などの建設、食料品、物資の販売。


 これだけ冒険者が集まっていることもあり武器防具の販売を望むものも多かった。


 事件から数ヶ月で、領地は信じられないほどの発展を見せていた。


「受け入れるかは領主殿に任せる。まだ希望の段階だ」


「ええ……わかりました。検討します」


 その勢いは、居住地に対して希望者が上回るほど。


(うれしい悲鳴だが……こうなると配信業務に支障が――)


 エリオットに、一瞬、前世での記憶が蘇った。


 抱え込みすぎて、常に過労気味だった生活。


 最後は、一人で死んだ。


「……ットさん? エリオットさ〜ん?」


 我に返ると、エマがエリオットの目の前で手を振っていた。


「す、すみません。ぼーっとしてました」


「珍しいですね……今日の配信はお休みにしますか?」


「まさか、今日も予定通り配信しますよ」


「じゃあ、準備はじめますねっ!」


「私も手伝うわ」


「私も行こう」


 続々と持ち場につく仲間たち。


「…………いい領地だな」


 そう呟いたのはシルヴィア。


「……領民に恵まれてますから」


「追放ポーターと迷惑配信者、魔族を抱えてか?」


「それでも、僕にとっては大事な仲間です」


「……そうか。領主殿は……時折、年齢にそぐわぬ達観を見せることがあるな」


「そうですか……? いや、そうかも、しれませんね」


 エリオットはそう言いながら、ギルドを後にする。


(今日の配信は……ダンジョンの攻略配信。俺とエマさんとリゼットさん。それにクレハさんのパーティーが、現状最も攻略を進めているパーティーだ。このまま順当に攻略が進めば、このダンジョンの権利は手に入る)


 エマをスカウトしてから、エリオットが目指していた最強のイベント屋への道。


 その目標と方法は変わらない。


 だが、少しだけ、彼にも変化があった。


「あ、エリオットさん! 遅いですよ〜!」


 ダンジョンの入り口、エマ、リゼット、クレハの準備は万端だった。


「じゃあ、今日は十五階層を目指して……そろそろ中ボスが出てきてもおかしくありませんので、その場合は引きに使って、次回配信に持ち越します」


 彼の変化。まず、予定調和的な配信をやめたこと。


 エリオットは仲間の実力を信用し、不測の事態をある程度許容するようになった。


 もちろん、安全第一の方針は変わらない。


 しかし――それは、一切の危険を排除するというわけではない。助け合って危険に立ち向かう。その様子を配信することを目指した。


 そして。


「それじゃあ、配信、始めますよっ!」


 エマが合図すると、配信用の魔道具に魔力が充填される。


 直後、エマが配信用魔道具を担ぐエリオットをぐいっと引き寄せた。


「ちょ、ちょっと!? エマさん!?」


「たまにはエリオットさんも映ってください!」


「そうだな……視聴者も期待していると思うぞ」


「いいわね。今日はエリオットにも頑張ってもらいましょ」


 エマに続いて、クレハ、リゼットもエリオットをカメラの前に引っ張った。


(ま、まあ……たまにはこういうのも悪くないか……)


 彼の一番の変化。それは――


「じゃあ、今日もダンジョン攻略、始めましょうか!」


 異世界配信革命〜追放された無能ポーターをバズらせる転生イベント屋、死の大地でダンジョン配信と領地経営を始めます〜 完



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