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第四話 異彩

*第四話 異彩となります。

*アルタイトの護衛、エルデンと護衛決闘するパーシヴァル。ウォルターは心配…。

*周りの生徒たちが騒ぐ中、始まる戦い。

果たして結果は…?

ウォルターとパーシヴァルは距離感が縮みます。

*新たなキャラや最上級古代アンドロイド登場??

*ぜひお楽しみください♪


*パーシヴァルがアルタイト護衛古代アンドロイド、エルデンと護衛決闘します。

*新キャラ登場します♪

*戦闘シーン苦手な方はご注意下さい。



ーー


ーー


正午の空は、やけに静かだった。


穏やかに雲が浮かび、太陽が真上から暖かく降り注いでいる。


それにも関わらず、昼休みの騎士学校内は、騒然としている。


騎士学校の生徒たちはざわついていた。


『下級護衛が、上級護衛と決闘するらしいよ!?』

『うわ、えぐいな〜…』


『最悪、壊されておしまいだろうな…』


『下級貴族が、上級貴族と喧嘩だって!見に行こう!』


『勝ち目はない。下級と上級は、そもそも個体〝戦闘性能〟が違いすぎるんだから。…』


騎士学校校舎前の、広い円形闘技場には、すでにたくさんの生徒で賑わっていた。


アルタイトと護衛古代アンドロイドエルデンと、ウォルターとパーシヴァルが向かい合う。


アルタイトは、周りの生徒たちを見ながら言う。


アルタイト「ちなみにこれは正式な〝護衛決闘〟だからな。怪我しようが責任は一切問わない。」


そして、エルデンがアルタイトの前に出た。


エルデンの巨体が見る者を威圧している。


パーシヴァルより頭二つ分はでかい。


エルデンはパーシヴァルを見下ろす。


パーシヴァルもウォルターの前に出る。


ウォルターは青ざめ泣きそうだった。


パーシヴァルはウォルターを振り返って言った。


パーシヴァル「すぐ終わらせる、ウォルター。昼休みが終わる前にな。」


それを聞いて、エルデンは眉を寄せた。


エルデン「…お前がすぐ負けるって話しか?」

と、声を上げて笑った。


パーシヴァルはエルデンの目を見た。


ーー目に光はなく、完全に戦場の眼をしていた。


本能的に、エルデンは身構えた。


パーシヴァルは目線を逸さずに静かに言った。


パーシヴァル「素手格闘で戦う。…この場に剣は似つかわしくない。」


それを聞いて、エルデンの目つきが変わった。


エルデン「…素手だと?剣に自信ないのか?下級護衛。」


パーシヴァルは、一呼吸置いて真っ直ぐにエルデンの目を見た。


パーシヴァル「…貴様と戦う為の剣は持ち合わせていない。」


エルデンは、烈火の如く怒り始めた。


マントと剣を荒々しく外し、

エルデン「ボルダー!」

と、それらを後ろにいるボルダーに振り返らず投げた。


ナシュカの護衛、ボルダーは、エルデンの剣とマントを軽くキャッチした。


ボルダーは、薄緑の目が不安げに揺れた。


ボルダー「いいな?加減しろ、エルデン!」


エルデンは、チラッとボルダーを見た。


エルデン「言われなくともだ。」

と、エルデンはパーシヴァルを見た。


パーシヴァルもマントと剣を外した。


丁寧にマントを畳んでから、中に剣を包む。


そして、後ろのウォルターへと近づいた。


少し屈んで目線を合わせる。


パーシヴァル「ウォルター。すまないが、少しの間持っていてくれるか。心配は無用だ。」


パーシヴァルは、ウォルターの頭に軽くポンと手を置いた。


ウォルターは、渡されたマントと剣を両腕に抱えながら制した。


ウォルター「パーシヴァル、無茶だよ…。やめよ?」


パーシヴァルは、ウォルターを見てから、エルデンに視線を向け直した。


パーシヴァル「戦う。」


ウォルター「なんで…相手は上級護衛だ。強いんだよ?」


パーシヴァルは小さく息を吐いた。


深い青の目が、アルタイトとエルデンを真っ直ぐ見据えた。


パーシヴァルは拳を強く握る。


パーシヴァル「…ウォルターの〝信念〟を否定した。〝護衛〟として守る。」


ウォルターはパーシヴァルの言葉に泣いた。


ウォルター「ぱ、パーシヴァル…。」


パーシヴァルは、エルデンの方へ足を踏み出した。


エルデンは、パーシヴァルを見下ろし、腕組みしながら言う。


エルデン「相手が戦闘不能になるまでか?」


パーシヴァル「それで構わない。」


周囲のざわつきが止まない。


円形闘技場の中央で、2人は睨み合った。


次の瞬間、2人の姿は消えた。 


闘技場全体から砂塵が舞い上がる。


砂埃が晴れると、2つの影が闘技場の端から端へと、目に止まらぬ速さで動き回り、攻撃を交わし合っていた。


怒り狂ったエルデンの、拳と蹴りによる猛攻が続いていた。


パーシヴァルは、冷静にそれを受け止め流し、避けている。


目で追えないほど、2人の動きは素早く、拳が交わるたびに、闘技場に鋭い戦闘音が響く。


ウォルターは、初めて古代アンドロイドの素手格闘を見た。


その瞬間、


ーー〝戦闘兵器〟とアルタイトが言った言葉が…思わず脳裏をよぎってしまった。


ウォルターは、パーシヴァルの剣とマントを強く握りしめた。


エルデンが、拳をパーシヴァルに思い切り振り上げた。


それをパーシヴァルは、顔の数センチ横から半歩ずらし、手で軌道を下へ逸らした。


ーーズガァアアッ!!!


闘技場中央に、轟音と衝撃が走る。


砂埃が消え、エルデンの拳が地面に叩きこまれていた。


衝撃により地面が十字にひび割れている。


パーシヴァルは、それを離れて冷静に見ていた。


エルデン「おいおい、逃げ回ってしかねーな!口先だけか、下級護衛!」


パーシヴァルは、少し離れた場所からエルデンを見た。


パーシヴァル「…。」

パーシヴァルは、足を後ろへずらして重心を前に置いた。


再び構えの姿勢を取る。


深い青の瞳がエルデンに固定される。


その時、風が止んだように感じた。


闘技場の空気が変わる。


パーシヴァルの周囲が歪む。


闘技場の壁も床もミシミシと軋んだ。


刹那にパーシヴァルの姿は消える。


エルデン「!?」


次の瞬間、パーシヴァルの掌底が、エルデンの顎に正確に叩き込まれていた。


エルデンは、防げず吹き飛び転がる。


アルタイト「…は?え、エルデン?」


誰も何が起きたかは見えなかった。


エルデンはうずくまり動けない…。


ボルダーが止めに入る。


ボルダー「終わりだ、こちらの負けだ。」


ボルダーの言葉に、アルタイトは青ざめた。


アルタイト「え…エルデンが負けた…。か、下級護衛に…。」


アルタイトは、信じられないという顔でパーシヴァルを見た。


パーシヴァルはウォルターの元へ帰る。


パーシヴァル「終わらせた。」


ウォルターは、剣とマントを持ちながらパーシヴァルに抱きついた。


ウォルターは泣いた。


ウォルター「パーシヴァル…!怪我してない…?」


パーシヴァルは驚いた。


だが、ウォルターの背を優しく撫でた。


パーシヴァル「平気だ。」


放心したアルタイトは、青ざめたナシュカに手を引かれ、ボルダーがうずくまるエルデンを支え、足早に退出した。


周りの生徒たちはざわついた。


だが、そんな騒ぎを冷静に見ていた2人組がいた。


目立たない闘技場の隅に、2人は腰掛けていた。


1人は金色の短い髪、青の目をした少年で、騎士学校生徒である。


どことなく漂う気品がある。


もう1人は、大柄な護衛古代アンドロイド騎士で、紺の短い髪、鋭いグレーの目をしていた。


背中に剣を背負う。


パーシヴァルとエルデンの戦いを静観していた。


大柄な護衛「あれ、ただの下級護衛じゃねーな。」


金髪の生徒「どうかな。僕には…あまり分からない。たまたまかもしれない。」

と、開いた本のページから視線を外さない。


大柄な護衛「いや。分かるさ。…〝圧〟が違った。」


大柄な護衛はにやりと笑った。


大柄な護衛「面白い。久しぶりだぜ?…俺が、戦いてーなと思える奴は。」


金髪の生徒「僕は…平和に過ごしたいから。ほどほどにしてね…フラカン。」

と、本のページを静かにめくる。


フラカンと名前を呼ばれた、護衛古代アンドロイド騎士は、スッと立ち上がる。


大柄な身体でがっしりとした体格をしている。


フラカン「分かってる、ノース。」


ノースの金の髪が、闘技場の風に揺れる。


本から顔を上げず、ページをめくる。


フラカンは、ノースの横で腕組みしながら立っていた。


明らかに、規格外な〝異彩〟を放つ下級護衛古代アンドロイド騎士を見下ろしながら…。


風にフラカンのマントが揺れ、黒の騎士服が見える。


ーーそれは、最上級護衛古代アンドロイド騎士の証だった。


周りの生徒や、護衛古代アンドロイド騎士がざわつく。


『さ、最上級護衛古代アンドロイドだ…』


『国家最強格の古代アンドロイドの1人、…フラカンだ…!』


『すごい…初めてみた。最上級護衛古代アンドロイド騎士…!』


『あそこにいる…ノース第二王子専属護衛兼、王宮第一警備部隊隊長だよ…』


『すごい…カッコいい…!』


周りの喧騒に、フラカンは、露骨にめんどくさそうな顔をした。


フラカン「…全く。騎士学校は騒がしーな。」


ノース「フラカン。そろそろ戻ろう。」


ノースは、本を閉じて立ち上がる。


フラカンは小さく息を吐いた。


フラカン「はいはい、王子様。分かったよ。」


フラカンは、チラッとパーシヴァルに視線を落とした。


その瞬間、フラカンはパーシヴァルとしっかりと目が合った。


フラカン「は…?」


パーシヴァルは、変わらず目線を外さない。


通常、フラカンには、誰もが恐れて近づかないし、目は合わさない。


それだけ国家最強の存在だからだ。


フラカンは初めてだった。


ーー〝畏怖〟を抱かない眼差しを向けてこられたことが……。


フラカンは、通路で立ち止まった。


ノース「フラカン?」


それから、フラカンは小さく笑った。


フラカン「へぇ…。やっぱ面白いじゃねえか。…騎士学校。」


フラカンは、パーシヴァルから目を離さない。


パーシヴァルも同じだった。


2人はすでに本能的に、お互いの戦闘性を認識し計りあっていた。


パーシヴァルは身構え警戒した。


傭兵時代から、危険な敵とは数え切れないくらい対峙はした。


しかしながら、フラカンから目が離せなかった。


フラカンが、周りの護衛古代アンドロイド騎士とは、全く異なる威圧感を辺りへ放っていたからだ。


パーシヴァル「…。」


ウォルター「パーシヴァル?」


パーシヴァルは、ようやく目線を外し、ウォルターを見た。


パーシヴァル「すまない、ウォルター。」


パーシヴァルは、ウォルターから受け取り、マントを羽織って、剣を装備し直した。


ウォルターは、首を傾げたがうなずいた。


すでに、ノースとフラカンは闘技場を後にしていた。


ーー


ーー


夕焼けに包まれた、騎士学校からの帰り道だった。


ウォルターとパーシヴァルは、穏やかな川沿いを歩く。


パーシヴァルは半歩後ろから離れない。


ウォルター「パーシヴァル、かっこよかった。」


パーシヴァルは、ウォルターをみて固まった。


今まで誰からも、そんな風には言われたことはない。


養成所でも、評価は数値や点数で決まる。


直接告げられたことなど無かった。


パーシヴァル「そうか。」


パーシヴァルは、やっと一言だけ返した。


ウォルターは振り返って目をキラキラさせた。


ウォルター「すっっっごくカッコよかった!!フィリップやリチャード、マルコ、ジャックにも話さなきゃ!パーシヴァルってとっても強かったんだね、僕も頑張らないとだ!!」


ウォルターは、パーシヴァルに向かって笑った。


パーシヴァルは面食らってしまい何も返せない。


とりあえず、ウォルターの中で評価価値が上がったということは、飲み込めた。


パーシヴァルは、視線がすこしだけ泳いだ。


パーシヴァル「…守れたならそれでいい。」

と、ウォルターに少しだけ口角を上げて言った。


夕焼けが深まっていく中、川沿いの道に風が吹き抜け、パーシヴァルの栗色の髪が揺れた。


ウォルター「…パーシヴァルって笑うんだ。笑った顔初めて見た

。」


ウォルターはきょとんとした。


パーシヴァルは、完全に無意識だった為、表情をすぐ戻した。


パーシヴァル「…。」


ウォルター「あっ、黙らないでよ。もっかい笑って?」


パーシヴァル「命令でも笑わない。」


ウォルター「違うよ、笑ったほうがいい。」


パーシヴァル「任務外だ。」

と、目線を逸らして前に戻す。


ウォルターはくすくす笑った。


パーシヴァルは考えていた。


ーー笑うなんて、いつぶりなのだろうか。分からない。

遠い過去に…あった気もする。


ウォルターは、自然にパーシヴァルと手を繋いだ。


ウォルター「帰ったらみんなに話すの楽しみだな〜!」


パーシヴァルは、ウォルターに目線を落とし、そっと握り返した。


川沿いの道を、穏やかな風が吹き抜けていく。


2人の影が細く伸び、夕陽が川に煌めいている。


ウォルターは、パーシヴァルを見上げて話しかけ続ける。


パーシヴァルは丁寧に言葉を返していく。


空には一番星が輝いた。


パーシヴァルは空を見上げた。


それは、養成所で見た時より、傭兵時代の戦場でみたときよりも、


ーーとても美しく輝いて見えた。


ウォルター「夕ご飯食べたら、剣の稽古見てくれる?パーシヴァル。」


パーシヴァル「あぁ。…今日の授業のおさらいからやろう。」

と、パーシヴァルはうなずいた。


ウォルター「パーシヴァルが剣の師匠だね。」


パーシヴァル「師匠?」


ウォルターはうなずいた。


ウォルター「パーシヴァルより綺麗な剣、見たことないから。教わりたい。」


パーシヴァル「剣ならいくらでも教える。だが…古代アンドロイドに教わる人間は…あまりいない。」

と、目線を落とした。


通常は人間騎士に依頼し、専属で剣術を教えてもらうからだ。


ウォルターは強く首を振った。


ウォルター「僕は、パーシヴァルから教わりたいんだ。」


パーシヴァルは目を閉じた。


それから、ウォルターを見て言った。


パーシヴァル「いいだろう。師匠として、私の剣を教える、ウォルター。」


ウォルターは喜んだ。


ウォルター「やった、嬉しい!」


パーシヴァルは静かにウォルターを見ていた。


それから、夕闇と夜が、混ざり合う空へと輝く1番星を見上げる。


ウォルターも暗くなりがかった空を見る。


2人は手を繋いで、星空が瞬き始める、川沿いの道をゆっくりと歩いて行った。


ーー


ーー


*長文読んでいただきありがとうございます♪

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